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12.ユーラシアの双子 13.エンプティスター |
【作家歴】、聖の青春、将棋の子、パイロット・フィッシュ、アジアンタムブルー、九月の四分の一、ドナウよ静かに流れよ、孤独かそれに等しいもの、別れの後の静かな午後、ドイツイエローもしくはある広場の記憶、タペストリーホワイト |
●「Railway Stories」● ★ |
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2010/04/18
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列車または電車に揺られ、あるいは車窓から外を眺めていると、ふと思い出がよみがえってくる。 印象に残ったのは、大崎さん自身と重なるように思える部分。 また、20歳も年下の妻と幼い息子を伴い寝台特急カシオペアに乗って札幌を目指す「キャラメルの箱」は、実際の大崎さん自身の家族風景を思わせます。 最後の「確かな海と不確かな空」は、高校時代から喫煙中毒だった作家が突然禁煙を思いつき、地獄の苦しみを味わうと一方で、亡き父親への想いを語るという忘れ難い一篇。 思い出アルバムをめくるような、短篇集。 夏の雫/橋または島々の喪失/失われた鳥たちの夢/不完全な円/もしその歌が、たとえようもなく悲しいのなら/フランスの自由に、どのくらい僕らは、追いつけたのか?/さようなら、僕のスウィニー/虚無の紐/キャラメルの箱/確かな海と不確かな空 |
●「ユーラシアの双子 Eurasian Twins」● ★★☆ |
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2013年07月
2010/12/06
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2年前に離婚、1年前に会社を退職した石井隆平、51歳。 紀行、そして長い旅を背景にした小説、大好きです。 本作品を通じて思うことは、人生は旅に似ている。そして、その旅に良き道連れを得たかどうかで、旅は楽しいものにも辛いものにもなりうる、ということ。 ※なお、宮脇さんの乗ったロシア号に比べて本書のロシア号、食事の不味さ、酷さは相当なものだったようです。それもまた旅好きにとっては面白く読める部分ですが。 1.出港−Nihonkai/2.出会い−Vladivostok/3.倦怠−Irkutsk/4.矛盾−Moscow/5.躍動−Berlin/6.郷愁−Colmar/7.流浪−Paris/8.共鳴−Barcelona/9.叫び−Lisboa |
13. | |
●「エンプティスター empty star」● ★☆ |
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2015年01月
2012/03/27
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「パイロットフィッシュ」「アジアンタムブルー」に続く恋愛三部作の完結編。 前2作のような、山崎の恋愛ドラマが新たに繰り広げられるというストーリィではありません。これまでどちらかというと受け身に終始してきた山崎が、これまでの生き方にひとつの決着をつける、という意味での完結編という印象です。 山崎がこれまで経験した恋、ソウルで新たに出会った恋模様を描きつつも、本作品は恋愛小説というより展開はむしろサスペンス小説。 |
14. | |
●「西の果てまで、シベリア鉄道で ユーラシ大陸横断旅行記」● ★☆ |
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2012/04/10
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思い立ってのユーラシア大陸、端から端までの列車旅。もちろんその出だしは、シベリア鉄道という次第。 シベリア鉄道というと、宮脇俊三「シベリア鉄道9400キロ」があり、また時代は遡って森まゆみ「女三人のシベリア鉄道」があります。ただし列車旅といっても宮脇さん程の鉄道ファンということもなく、ただ列車で大陸横断するのが目的、また列車に乗っている間は酒を飲んでばかりとあって、列車紀行としての楽しみは少々薄い。 前半のロシア、後半のワルシャワを経てドイツ〜フランス〜スペイン〜ポルトガル。不愉快なことをあえて経験したいならいざ知らず、やはり楽しい旅行は西欧地域に限るようです。 はじめに−どこへどうやって行くか/シベリア鉄道に乗る/陸路でパリへ/西の果てまで/終わりに−旅の熟成、言葉の鮮度 |