小田雅久仁
(まさくに)作品のページ


1974年宮城県仙台市生、関西大学法学部政治学科卒。2009年「増大派に告ぐ」にて第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し作家デビュー。

  


     

●「本にだって雄と雌があります」● ★★


本にだって雄と雌があります画像

2012年10月
新潮社刊

(1800円+税)

2015年09月
新潮文庫化

  

2012/11/08

  

amazon.co.jp

本にも雄と雌があり、書庫の中で交合し新たな本を生み出す。だから見覚えのない本がどんどん増え、本は家一杯に溢れだすのである、というのが深井與次郎の回りくどい言い訳である、という文章から始まるストーリィ。
てっきり書庫の世界、本が主役となるストーリィかと予想していたら、話はどんどん逸れていき、ついアレレと面喰ってしまった次第。
本書において本は主役ではなく、本の蒐集家である深井與次郎こそが主人公。
ただし、直接與次郎が主人公となるのではなく、その與次郎を母方の祖父とする
が、息子の恵太郎に曾祖父のことを語って聞かせるという入り組んだ設定。時間軸は自在に前後し、都合4代にまたがるストーリィへと膨らみます。

読み始めは何が何だか判らず面喰ったまま。ようやくストーリィの骨子が判って面白く感じられるようになったのは、かなり読み進んでからです。
ですから何がどうなっているのか理解ができなくても、構わず強引に読み進んでしまいましょう。そうすれば何時か視界は晴れる筈。

奇妙奇天烈な語りで読み手を翻弄する辺り森見登美彦さんを連想させられますが、主観的な妄想ではなく、饒舌な言葉で読み手を引きずり回し珍妙な世界に溺れさせるのも厭わず、といった風ですから全く別の異色さです。
幻書がバタバタと鳥のように空を飛び、白い象が何処からか現れるという、綺譚尽くし。
それでも書物好きの人間であれば、書物のことなら何でもあれと受け入れられ、楽しめるのです。
そんな珍妙で不思議な面白さを味わえる一冊。

 


  

to Top Page     to 国内作家 Index