波木 銅
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1999年茨城県生。大学在学中の2021年、「万事快調(オール・グリーンズ)」にて第28回松本清張賞を受賞し作家デビュー。


1.万事快調(オール・グリーンズ) 

2.順風満帆(クラウド・ナイン) 

  


       

1.

「万事快調 (オール・グリーンズ) ★★       松本清張賞


万事快調

2021年07月
文芸春秋

(1400円+税)

2023年06月
文春文庫


2021/07/21


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田舎の、底辺高校というべき工業高校が舞台。
機械科ということもあり、2年生クラスで女子はたった3人。
だからといって3人の仲が良い、という訳ではないところが現実的ですねぇ。
ところが紆余曲折があってこの3人(
朴秀実・岩隈真子・矢口美流紅)、園芸同好会を立ち上げ、何と校舎の屋上で大麻栽培を始めるとは!

いくら何でもそれはアウトだろう、と言うべき処ですが、その背後にある閉塞感、鬱積感を描き出すための道具立て、ということなのではないか。
なんとなく
金城一紀“ゾンビーズ”シリーズを思い出させられましたが、同作におけるような明朗感がなくひたすら破壊的であるのは、今やそれだけ閉塞感が深刻になっているということなのでしょう。
柄でもないのに、朴秀実が3度も乱闘騒ぎに巻き込まれるのですから、堪えてきたものを一気に爆発させた、という印象です。

最後はもうメチャクチャ。ストーリィがということではなく、朴たちや、その周辺にある人物たちの置かれた状況が。

結末の後、主人公たちがどうなるのか、楽しみというより心配になりますよね。

      

2.

「順風満帆(クラウド・ナイン) ★☆   


順風満帆

2025年12月
文藝春秋

(1600円+税)

2026/01/16

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万事快調のスピンオフ短篇である「順風満帆」+4篇。

「順風満帆」、前作の記憶が薄れてしまった所為なのか、どういうスピンオフなのか分からず、面白さは感じるものの、消化不良が残った感じです。

他4篇、いずれの主人公も、今のモヤモヤっとした状況に留め置かれている、いや囚われているといった印象を受けます。
ただ、思い切り足を踏み出せば、壁を突き破れば、そこに新しい世界を見出すことが出来る、そんな雰囲気を漂わせている。

そんな感じは、前作「万事快調」に通じる処があると思います。


順風満帆(クラウド・ナイン)/ラッキーパンチ・ドランカー/結局のところ、わたしたちはみな/フェイクファー/楽園ベイベー

   


  

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