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「百年厨房」 ★★ | |
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美味しい食事が縁となって人々の繋がりを作っていく、という作品はいろいろありそうですが、それに大正浪漫とタイムスリップが加わると、それはやはり珍しいと言うべきでしょう。本作はそんなストーリィ。 主人公の石庭大輔は32歳。宇都宮市大谷町にある元石材商だった旧家の現当主とはいうものの、桜沼市役所で情報専門職員、独身で交際嫌い、食べ物に興味がなく、コンビニ弁当常習者。 ある日、女性の悲鳴が聞こえたと思ったら、裏山にある祠の階段から昔風の女性が転げ落ちてきた。 その女性、アヤと名乗り、明治生まれの22歳、亡き祖父に女中として仕えていたと・・・・つまり、タイムスリップ。 さらに音信不通だった妹が死去したからと突然に7歳の姪ルナが現れるといった混乱が続きます。 郷土博物館の学芸員である篠原紫、すかさずアヤさんとルナを世話する人が必要だろうと同居を宣言し、独身暮らしがいきなり4人の疑似家族暮らしへ・・・。 開かずの蔵の鍵をアヤが見つけ出し蔵を開けた処、そこは当時の最新型設備を揃えた厨房蔵=“百年厨房”。 そこでアヤ、次々と当時の料理を作りだし、皆を喜ばせます。そして次第に大輔も皆も変わっていく。しかし、またもや新たなタイムスリップが起きて・・・。 タイムスリップも面白いのですが、何より楽しいのは、アヤさんが説明しながら作り出してくれる数々の庶民的な料理です。そしてもう一つ、個性的な面々がひとつ家族としてまとまっていく姿が実感できるところ。 さて、最後にどう決着するのか、どうぞお楽しみに。 プロローグ/1.冷やしコーヒーをもう一度/2.楽しい「ご飯」/3.レモンとミルクのサムシング/4.柿と七五三/5.ベーキャップルをあなたに/6.昔日のミルクセーキ/7.「時」が結ぶ味/8.「おいしい」は世紀をつなぐ/エピローグ |