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1.大人のための残酷童話 |
●「大人のための残酷童話」● ★★ |
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1998年8月
2004/02/19 |
童話、昔話、神話等々を入り交え、倉橋さんが強烈な逆説に仕立て上げた作品集。 本書収録26話中最も強烈だったのは冒頭の「人魚の涙」。アンデルセンの原作では、上半身が人間、下半身が魚というのが人魚の姿ですが、本書ではそれが逆。その結果故の本ストーリィは、何ともはや。 人魚の涙/一寸法師の恋/白雪姫/世界の果ての泉/血で染めたドレス/鏡を見た王女/子供たちが豚殺しを真似した話/虫になったザムザの話/名人伝補遺/盧生の夢/養老の滝/新浦島/猿蟹戦争/かぐや姫/三つの指輪/ゴルゴーンの首/故郷/パンドーラーの壺/ある恋の物語/鬼女の島/天国へ行った男の子/安達ヶ原の鬼/異説かちかち山/飯食わぬ女異聞/魔法の豆の木/人は何によっていきるのか |
●「大人のための怪奇掌篇」● ★☆ |
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1988年3月 2006年2月
2006/03/11 |
不気味で恐ろしい話ばかりなのですが、読んでいると何故か楽しくなってくる、という短篇集。 恐ろしくはあってもホラー話がそれなりに人気があるのは、恐ろしさと併せて楽しさがあるからでしょう。 吸血鬼を扱った「ヴァンピーツの会」、身体の中から蟹が争う声が聞こえるという「革命」、最後におおっとと仰け反らされた「首の飛ぶ女」、ガリバーのパロディ「オーグル国渡航記」、妖しい面を描く「鬼女の面」、食人嗜好の「カニバリスト夫妻」、乱交パーティに鬼が混じるとどうなるかを描いた「無鬼論」が、私のお気に入り。 ヴァンピールの会/革命/首の飛ぶ女/事故/獣の夢/幽霊屋敷/アポロンの首/発狂/オーグル国渡航記/鬼女の面/聖家族/生還/交換/瓶の中の恋人たち/月の都/カニバリスト夫妻/夕顔/無鬼論/カボチャ綺譚/イフリートの復讐 |
●「老人のための残酷童話」● ★★ |
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2006年6月
2004/01/13 |
書店店頭で「姥捨山異聞」を立ち読みし、何と恐ろしいストーリィかと本書に興味を持ったのですが、そんな話はその一篇のみ。 “残酷童話”という題名ではありますが、カラッとしていて、むしろユーモラスな短篇集です。 いずれも、男女を問わず、老人が主人公。 元裁判官が非常勤で冥界の閻羅長官を勤める「閻羅長官」、臓器移植故の混乱に閻魔大王らが非常作戦を展開する「臓器回収大作戦」、死後世界の見学ツアーをネタにした「地獄めぐり」は、如何にも現代的なストーリィ。 ある老人の図書館/姥捨山異聞/子を欲しがる老女/天の川/水妖女/閻羅長官/犬の哲学者/臓器回収大作戦/老いらくの恋/地獄めぐり |