垣谷美雨
(かきやみう)作品のページ No.2



11.四十歳、未婚出産

12.姑の遺品整理は、迷惑です

13.うちの子が結婚しないので

【作家歴】、竜巻ガール、七十歳死亡法案可決、ニュータウンは黄昏れて、あなたの人生片づけます、避難所、老後の資金がありません、農ガール農ライフ、あなたのゼイ肉落とします。、嫁をやめる日、定年オヤジ改造計画

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11.
「四十歳、未婚出産 ★★


四十歳、未婚出産

2018年07月
幻冬舎刊

(1500円+税)



2018/08/23



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現代社会における様々な問題を、毎度コミカルなストーリィに仕立てて楽しませてくれる垣谷さん、今回のテーマはシングルマザー。
まさに、シングルマザーのための応援歌、という内容です。

「四十歳、未婚出産」というシチュエーションにはついつい興味をそそられて止みませんが、問題となるのは<未婚出産>。
四十歳という設定は、主人公が出産を決断する重要な要素、というに過ぎません。

主人公は旅行会社に勤める
宮村優子、39歳、独身。
部下である
水野匠28歳とカンボジア視察に出張したところ、偶発的に一夜の関係をもつ。ところがその一回で妊娠とは!
年齢からして優子にとっては最後の出産チャンスかもしれない。迷いつつも何故か堕ろすという考えは優子の中で生まれず。

と言っていつまでも隠し通せる訳でもなし。優子の妊娠を知る人間が増えるに連れ、周囲は騒がしくなり、最終的には母親・姉・兄、元同級生たちも巻き込む騒ぎとなります。
最終的には大団円となるのですが、余りに都合よく物事が展開し過ぎ、という批判はごもっとも。
でも逆に言うなら、それだけうまく条件が整わないと、シングルマザーの道は極めて厳しい、ということでしょう。

元同級生で住職の
近藤凡庸のような考え方、出稼ぎブラジル人のマリアのような考え方が広まっていくと良いのに、と心から思う次第です。

ストーリィ展開はテンポ良く、未婚・既婚・離婚者それぞれ本音丸出しの群像劇といった側面もあり、存分に面白い。
なお、水野匠や青木紗絵、烏山部長らは如何にも俗物といった印象ですが、実はそれこそ一番多い人間像なのかもしれません。

                  

12.
「姑の遺品整理は、迷惑です ★☆


姑の遺品整理は、迷惑です

2019年02月
双葉社刊

(1400円+税)



2019/03/16



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現代社会が直面する様々な問題をストーリィ化してきた垣谷美雨さん、今回のテーマは遺品整理。

ただ遺品整理といっても、誰の遺品かが問題のようです。
自分の実親の遺品であれば、そこには思い出も絡みますが、義親の遺品ともなるとただの余計もの、ゴミにしか過ぎないようですから。

主人公の
望登子(もとこ)が直面したのも、姑=多喜の遺品。
しかもその多喜、エレベーターの無い団地の4階住まい。それだけでも大変そうなのに、家の中を点検した望登子はもう愕然。冷蔵庫、押し入れ、箪笥等々みな中身がぎっしり。
回収業者に依頼したいところですが、多喜は貯金を全く残さなかったとあって、とても〇十万円にもなる費用など負担できず。
とあって望登子、(亭主は余り期待できず)五十代後半の身でひとり遺品整理に格闘することになります。

いやあ、本当に大変だと思います。
私の実家の場合、父親が片づけ好きでしたし、既に母親も老人ホームに入所済、古くなった実家も借地だったということもあって売却済と、早々整理は付きました。あとの課題は、自分の遺品整理、かな。

望登子、遺品整理に格闘する傍ら、余計なものを残さなかった自分の母親のこととついつい比べ、姑への愚痴ばかり。
しかし、いつしか強力な応援者が現れ、さらに多喜の生前の意外や意外といった交友状況を教えられ、多喜という人間の良さを知ることになります。
それも2ヶ月半にもわたって姑の家に通い、遺品整理に奮闘したおかげ、という次第。


小説だから、読了後は温もりが残る展開になっていますが、現実となれば苦労ばかり、ということになるかもしれません。
少しでも遺品は少なくと親世代には願い、また自分自身もそう心掛けねばと思います。

              

13.
「うちの子が結婚しないので ★★


うちの子が結婚しないので

2019年04月
新潮文庫刊

(630円+税)



2019/05/06



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垣谷美雨さんらしいリアルな“親婚活”ストーリィ。

60歳を目前にした
福田千賀子、友人から届いた娘の結婚を知らせる年賀状に、ふと我が娘のことが気になり始めます。
一人娘の
友美は現在28歳、アパレル企業勤務。仕事が忙しい割に将来に当てがある訳でもないらしいうえ、交際男性の影もまったく感じられず。このままでは寂しく孤独な老後を迎えることになるのではないかと、急に心配し出します。

夫の
清彦も急にネットでいろいろ調べた結果か、このままではマズいことになると、夫婦2人で友美に懸念をストレートにぶつけます。
最初強がり、話を嫌がっていた友美も、現実を理解したのか、両親と懸念を共有。そこから千賀子が主体となって
“親婚活”を始めることに。勿論、友美自身も“婚活”開始。

親婚活、いやぁー、これは本当に大変そうです。
いろいろな業者が主催する親婚活に申し込んで参加した千賀子、その度にどれだけ心折れる気分を味わうことか。
婚活における本人も同様ですが、親婚活において親が味わうストレスはそれ以上ではないかと思える程。
なにしろ自分の子に対する親の欲目があるうえに、親の身勝手な要求が上乗せされるのですから。
千賀子が味わう親婚活の現場、リアルな驚きと衝撃ばかり。

婚活、私も若い頃に多少なりとも経験がない訳でないので、お互いに相手を見定めるようなこと、そこから落とされることのキツさ、回を重ねることのシンドさは想像が尽きます。
早々と脱落しても仕方ない処、娘のため「やるべきことを淡々とこなしていこう」という千賀子の決意は、真に天晴れと賞賛するばかりです。

なお、娘がもううかうかしていられない時期に至っているというのに結婚の「ケ」の字も見えない状況、全く他人事ではないのですよね〜。

親婚活の体験ストーリィとも言える本書、これから“婚活”と考えられている方に、是非お薦めです。

  

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