池井戸潤作品のページ No.2



11.下町ロケット−ゴースト

12.下町ロケット−ヤタガラス

【作家歴】、空飛ぶタイヤ、鉄の骨、下町ロケット、ルーズヴェルト・ゲーム、ロスジェネの逆襲、七つの会議、銀翼のイカロス、下町ロケット2−ガウディ計画−、陸王、花咲舞が黙ってない

池井戸潤作品のページ No.1

  


              

11.

「下町ロケット−ゴースト ★★


下町ロケット−ゴースト−

2018年07月
小学館刊

(1500円+税)



2018/08/06



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下町ロケット第3弾。
今回、佃が目を付けたのは
トランスミッション(変速機)。しかし、これまで全く手掛けたことのない部品である故に、まずはトランスミッション用のバルブからその分野に入り込もうとします。
その相手となったのは、トランスミッション専門メーカーながら急速に業績を拡大している新興ベンチャーの
(株)ギアゴースト
部品設計のみ自社開発、製造は全て外注という徹底した割り切り方。
同社を率いる両輪は、かつて帝国重工・機械事業部に所属していたが冷遇されて飛び出した社長の
伊丹大と、同社で天才エンジニアと称された副社長の島津裕
さっそく佃製作所は、ギアゴーストからの新規受注を狙います。

そのギアゴーストに、かつて佃製作所が経験したと同様の危機が襲い掛かります。
今後の業務提携を見込んで佃製作所の面々は誠意をもって同社を応援するのですが・・・・。

「下町ロケット」過去2作の内容をお浚いするような縮小版ストーリィといった印象。
でもそれを非難する理由はありません。今秋刊行予定という
第4弾「下町ロケット−ヤタガラス−」とは実質上下巻と言って良い関係。本作はまずその舞台設定という内容なのですから。

一方、帝国重工は、米子会社で多額の損失計上したために、自社も赤字転落。社長の
藤間が引責辞任必須の状況。後任社長と目される的場俊一は最初からロケット開発に否定的。佃製作所の注力してきた「スターダスト計画」に暗雲が垂れ込みます。
また、佃製作所で経理部長を務めてきた
殿村に、代々農家を引き継いできた父親が倒れるという窮状が発生。

あぁ、第4弾「ヤタガラス」が早くも待ち遠しい・・・。

1.ものづくりの神さま/2.天才と町工場/3.挑戦と葛藤/4.ガウディの教訓/5.ギアゴースト/6.島津回想録/7.ダイダロス/8.記憶の構造/最終章.青春の軌道

         

12.

「下町ロケット−ヤタガラス ★★


下町ロケット ヤタガラス

2018年10月
小学館刊

(1500円+税)



2018/10/02



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「下町ロケット」第4弾。
新たに農業機械向けのトランスミッション(変速機)参入を目指す
佃製作所の挑戦ストーリィ、前半部分のゴーストに続き、いよいよ後半戦の「ヤタガラス」。

汚い手も厭わないライバル会社とのし烈な競争という構図は、これまでと変わらず。
会社の窮地に手を差し伸べてくれた佃製作所を裏切り、
ギアゴースト社長の伊丹は、佃のライバル会社となるダイダロス社長の重田と手を組み、無人農業ロボット“ダーウィン・プロジェクト”の製造を大々的に世間に発表します。
それに対し、
財前率いる帝国重工と佃製作所はどう対抗していくか、というところなのですが、帝国重工内部が不穏。
次期社長の座を狙う
的場が、強引にプロジェクトを自分直轄にして自分の手柄にしようとする。しかし、強引さだけが取り柄で技術を全く評価する能力のない的場は、かえって墓穴を掘り、さらに重田・伊丹連合の攻撃を受ける羽目に。

「ゴースト」に始まる長編ストーリィの実質後半部分とあって、次から次へと急展開に続く急展開、まさに息を呑むばかり、ぐいぐいとストーリィに引きずり込まれます。
もちろん、文句なしの面白さは、言うまでもありません。

しかし、これまでの「下町ロケット」以上に、的場の悪役ぶりは群を抜いています。
そこから思うことは、一般社員がどれだけ真面目に仕事に取り組み、そのことによって社会の役に立ちたいと願っていても、上層部の出世争い、権力争いの道具にされかねないというサラリーマン世界の虚しさです。
その典型例が、伊丹。そして、それでも道はあるという例が、ギアゴーストからも追われた天才エンジニアの
島津裕と言えるでしょう。

これは本作中の帝国重工だけのことではなく、選挙の得票大事で農業改革を先延ばし先延ばしして来て、本作中で指摘される危機を招いた政治家にも言えること。

なお、そうした理屈は抜きにして、アクション、冒険ものに劣らないスリリングな面白さを楽しめる一冊であることに間違いありません。そもそも勧善懲悪劇ですしね。

1.新たな提案と検討/2.プロジェクトの概要と変遷/3.宣戦布告。それぞれの戦い/4.プライドと空き缶/5.禍福スパイラル/6.無人農業ロボットを巡る政治的思惑/7.視察ゲーム/8.帝国の逆襲とパラダイムシフトについて/9.戦場の聖譚曲(オラトリオ)/最終章.関係各位の日常と反省

    

池井戸潤作品のページ No.1

          


  

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