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●「月のころはさらなり」● ★☆ |
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2008/02/15
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無理やり母親に同行して山奥の庵にやってきた悟、17歳。 その庵にはおんば様と呼ばれる老女と、茅という美少女が住んでいた。 母親が独りで山に入って足を挫いたことから、夏休みということもあって悟は母親と共に暫く庵に滞在することになります。 電気やガスも引かれておらず、TVもなく、風呂は五右衛門風呂という生活。 そして悟と茅の間を遮るように飛び込んできた、真という小学生の存在。 おまけに彼らの口からは聞きなれない言葉が次々と出てきます。預かり子、鈴鳴らし、はふり、魂振り・・・。 それらの言葉は何を示すのか? そしてこの庵、おんば様とはどんな存在なのか? 山奥にある滝、その先にある神域とも言うべき禁足地、祠。体を満たして吹き抜ける風。文章を追うだけで清々しい大気に包まれたような気分になります。実に爽快。 本作品は“青春ミステリ”という触れ込みですが、その対象となる悟の父親に関する部分。しかし、その謎が明らかにされると、余りに陳腐という思いがします。 |