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「ざんねんなスパイ The Ballad of an Old Spy」 ★ |
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仮想未来社会におけるスパイ劇。 一口にスパイといっても本書の主人公であるスパイは、73歳。 しかも、ずっとスパイ養成機関に所属していたと言っても、ずっと果たしてきた任務は清掃員。スパイとして任命を受けたのは、今回が初めてにして最後となる予定、とのこと。 そして与えられた任務はというと、ニホーン政府からの独立を画策している市長の暗殺。 ところが現地に乗り込んだ主人公、市長の顔は知らず、問われると簡単に自らのコードネームを答えてしまうという具合で、こんな体たらくではどうなることやら、と呆れるばかりの展開です。 全てがドタバタ劇と言う他ないストーリィなのですが、ここまでハチャメチャな展開を繰り広げられると、これを面白いと思うかどうかは、結局は読み手の好み次第と言わざるを得ません。 つい比べてしまうのは、小林信彦「唐獅子株式会社」。同じようなドタバタ劇ですが、こちらは現実社会に舞台設定しているから笑えたように思います。 それに比べて本作の舞台は、近未来。そこからして既に荒唐無稽なところがいっぱい、だから笑ってかつ面白い、と感じるまでには至らなかったのではないかと思う次第。 あくまで、読み手の好み次第です。 |