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1.黒いピラミッド 2.ツタンカーメンの心臓 |
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「黒いピラミッド Black Pyramid」 ★★ 日本ホラー小説大賞大賞 |
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2021年02月
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エジプト古代文明の遺跡、ピラミッド、ミイラと続くと、如何にも“呪い”は似つかわしい。 その部分はフィクションとしても、エジプト古代文明の歴史に関わるストーリィとなれば、歴史好きとしては興味津々です。 聖東大学古代エジプト研究室に所属する講師の二宮智生が、遺跡発掘現場の近くで偶然に発見した<アンク>(古代において冥界への鍵とされる)。 それは呪われたアンクだったのか。女子学生、二宮・・・、そして研究室を予想もできない惨劇が襲う 主人公となるのは、聖東大学古代エジプト研究室で二宮と同期の講師、日下美羽。 呪われたアンクをあるべき場所に戻そうと、アンクを携えてエジプトへ向かいます。そして・・・。 エジプト古代文明にまつわるストーリィですから、当然のことながら古代エジプト文明、その遺跡、ミイラ発掘等の知識が多少は必要になります。 その辺りの知識が蘊蓄がましく語られることなく、自然に、必要な最低限に抑えられて語られるので、スムーズに読む進むことができます。 そして最後の章では、実にスリル満点。映画“インディ・ジョーンズ”“トゥームレイダー”に引けを取らない、映画ばりの展開です。 ただ、犠牲になった人たちについては心傷みます。 二宮智生、美羽と親しい修士生の橘花音、2人の最後の言葉が印象的、本ストーリィの根幹を明確に告げています。 古代エジプト文明への興味を思い出させられ、想像を超えたサスペンス。読み易くもあり、まずは満足です。 序章.ハムシーン/1.アンク/2.カース/3.ピラミッド・エリア/4.ワディ・グール |
2. | |
「ツタンカーメンの心臓」 ★★ |
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「黒いピラミッド」の続編。 前作に引き続き日下美羽が登場、本作では聖東大学の嘱託研究員となった後輩=小栗陽(あきら)と共に活躍します。 京南大学から聖東大学に移籍した桐生蘭准教授が主導する発掘作業により、新たな墓が発見されます。 その墓の中で見つかったカノポス(内臓入れ)をスキャン検査するため、カノポスは東京の聖東大学へと移送されます。 そのカノポスが到着した当日の夜から、事件は起こります。 アテン神の復活。さらにツタンカーメン王を復活させようと暗躍する謎の組織。復活させるためには、その心臓を探し出す必要がある、というのが本作表題の所以。 今回もストーリィとしては“インディ・ジョーンズ”張りの展開なのですが、それよりも関心を惹かれたのは、古代エジプト王朝における宗教対立。 昔、世界史の授業において、エジプト王朝でアメンホテプW世が唯一神“アテン”を唱えたと習いましたが、そのアメンホテプW世こそ、本作でツタンカーメンの父王と説明されるアクエンアテン王。 アクエンアテン王が信奉した<アテン神>対古来より神官たちが守り、ツタンカーメン王になって復活した<アメン神たち>という対立構図。歴史としても実に面白いです。 日下美羽を案内人とする古代エジプト・ミステリ、第3弾がありそうです。楽しみです。 ※なお、33百年も前、誰がツタンカーメン王を殺したのか?という問題については、ボブ・ブライアー「誰がツタンカーメンを殺したか」がとても面白い。興味がありましたら是非。 序章.アメリカ人新聞記者/1.聖都アケトアテン/2失われたパピルス/3.三千三百年前の殺人/4.破壊の日 |