ボブ・ブライアー著作のページ


Bob Brier  アメリカのエジプト学者。専門は古病理学で、これまで数多くミイラの解剖を行ってきた。現在はロングアイランド大学C・W・ポストキャンパス哲学部教授。

 

 


  

誰がツタンカーメンを殺したか ★★★  
  原題:"The Murder of Tutankhamen" 




1998年発表

1999年06月
原書房

(1800円+税)



1999/10/25



amazon.co.jp

3千年以上も昔の殺人ミステリ。それも、被害者がかの有名な少年王ツタンカーメンであるというのですから、興味そそられることこの上もない一冊です。
テーマ自体魅力がありますが、それだけでなく、本書はとても読み易く、また判り易いのが、何よりの魅力。
3千年以上も前のエジプト古代王朝の世界が、我々の前に生き生きと蘇ってきます。

エジプト王朝の様子、ミイラ作り開始の経緯と、なんと歴史は面白いのでしょうか! 
そして圧巻は、ツタンカーメンの祖父・
アメンヘテプ三世、唯一神への宗教改革を企てた父・アクエンアテンの時代。
そしてその後に、幼いまま王・王妃の座に就いた仲の良い夫婦、
ツタンカーメンとその異母姉(?)アンクエスエンアメンが登場してくるのです。
そこに至る展開はとてもドラマチック。

ツタンカーメンの若き死、残されたアンクエスエンアメンが抱く恐怖感と思い切った行動は、まさにサスペンス小説の如きスリリングさがあります。
そして最後は
「容疑者検挙」「起訴」「弁護」「公判終了」と進み、真犯人の推定で締めくくられます。

本書は、歴史の面白さを満喫させてくれる、傑作のひとつと言えます。

    

 

 


 

to Top Page     to 海外エッセイ等 Index