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「誰がツタンカーメンを殺したか」 ★★★ |
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1999年06月
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3千年以上も昔の殺人ミステリ。それも、被害者がかの有名な少年王ツタンカーメンであるというのですから、興味そそられることこの上もない一冊です。 テーマ自体魅力がありますが、それだけでなく、本書はとても読み易く、また判り易いのが、何よりの魅力。 3千年以上も前のエジプト古代王朝の世界が、我々の前に生き生きと蘇ってきます。 エジプト王朝の様子、ミイラ作り開始の経緯と、なんと歴史は面白いのでしょうか! そして圧巻は、ツタンカーメンの祖父・アメンヘテプ三世、唯一神への宗教改革を企てた父・アクエンアテンの時代。 そしてその後に、幼いまま王・王妃の座に就いた仲の良い夫婦、ツタンカーメンとその異母姉(?)アンクエスエンアメンが登場してくるのです。 そこに至る展開はとてもドラマチック。 ツタンカーメンの若き死、残されたアンクエスエンアメンが抱く恐怖感と思い切った行動は、まさにサスペンス小説の如きスリリングさがあります。 そして最後は「容疑者検挙」「起訴」「弁護」「公判終了」と進み、真犯人の推定で締めくくられます。 本書は、歴史の面白さを満喫させてくれる、傑作のひとつと言えます。 |