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21.日暮れ竹河岸 22.漆の実のみのる国 23.早春 25.藤沢周平未刊行初期短篇 26.海坂藩大全(上) 27.海坂藩大全(下) 28.帰省 29.乳のごとき故郷 |
【作家歴】、暗殺の年輪、刺客、用心棒日月抄、消えた女、橋ものがたり、春秋の檻、隠し剣孤影抄、隠し剣秋風抄、密謀、よろずや平四郎活人剣 |
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●「日暮れ竹河岸」● ★ |
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藤沢さん逝去の直後に刊行されたのが、文芸春秋刊「日暮れ竹河岸」。しかし、未発表作品かと思っていたのですが、何の事はない、本巻に収録されていた短篇集でした。 「江戸おんな絵姿十二景」 |
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2000年02月 |
名君との評判が高い、米沢藩の上杉鷹山(治憲)の物語。同じ鷹山を書いた優れた小説として、童門冬二氏の「小説上杉鷹山」(学陽書房文庫)があります。同作品を読んだときは、鷹山公の人となりに感動せざるを得ず、故ケネディ大統領が尊敬する人物として鷹山公をあげたのも当然、と納得するばかりでした。 今回藤沢さんがどのように鷹山公を書くのか、大いに興味があったのですが、実際読んでみると、驚くことばかりです。 上記「小説上杉鷹山」を意識し、同作品での感動的な場面をことごとく排除している、というような描き様。また、いつもの藤沢さんらしい味わいはみられない、ということもあります。 では、この作品が読む価値がないのかと言えば、そんなことは決してありません。 できうることなら、本作品を読む前に「小説上杉鷹山」を読み、読み比べてみることをお勧めいたします。 |
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1998/02/24 |
時代もの2篇+珍しい現代もの1篇+エッセイ。 時代もの2篇はまさしく藤沢さんの世界。 現代ものについてはちょっと戸惑いも感じますが、読み始めればそこはやはり藤沢さん、何の違和感もなくストーリィの中に入り込めます。でも何故現代小説を、何故このストーリィなのか、その辺は判りません。 深い霧/野菊守り/早春/エッセイ4篇 |
●「静かな木」● ★★ |
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2000年09月 1998/03/15 |
円熟した巧さを感じさせてくれる、海坂藩もの短篇3作。 表題作は以前からあるような藩内抗争がらみの作品。 「岡安家の犬」では、自らを張り詰めていたような若い娘の救われたような笑い、涙が、読んでいて一緒に心救われるような楽しい思いがします。 岡安家の犬/静かな木/偉丈夫 |
●「藤沢周平未刊行初期短篇」● ★★ |
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2006/12/13
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本書に収録されている作品は、藤沢周平さんが作家デビューを果たす前に「読切劇場」等の雑誌に掲載された14篇。 一口に“武家もの”といっても公儀隠密ものが多く、切支丹に関わるストーリィもあります。そんな冒頭2篇は、ストーリィ展開がゴツゴツしている感じでやはりそこは初期作品らしいところ。それらの作品は、どうしてもやや暗い感じがあります。どうもがいても抜け出せない主人公たちを描いたストーリィ。当時の藤沢さんの心境が作品に反映されているからでしょう。 この短篇集、藤沢ファンなら見逃すべきではないでしょう。手にとって読み出せば、きっと新たな喜びに出会えるに違いありません。 暗闘風の陣/如月伊十郎/木地師宗吉/霧の壁/老彫刻師の死/木曾の旅人/残照十五里ヶ原/忍者失格/空蝉の女/佐賀屋喜七/待っている/上意討/ひでこ節/無用の隠密 |
●「海坂藩大全(上)」● ★★☆ |
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2007/01/30
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“海坂藩”に関わる短編を集めた作品集の上巻。 海坂藩絡みといっても、読むにあたってそれを意識する必要はありません。むしろおかげで、初期の陰ある作品からどこか明るいユーモラスな作品まで幅広く収録されているところが、ファンにとっては嬉しい短篇集。なお、一応は海坂藩絡みである故に、どの作品も武家が主人公です。 本書中気に入った作品は次のとおり。 暗殺の年輪/相模守は無害/唆す/潮田伝五郎置文/鬼気/竹光始末/遠方より来る/小川の辺/木綿触れ/小鶴 |
●「海坂藩大全(下)」● ★★☆ |
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2007/01/31
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上巻に比べ、下巻に収録された作品は執筆時期が後である分、いずれの作品も情愛がより細やかに描かれていると感じます。 男女の情愛を描く作品の中でも、「梅薫る」は特に好いなァ。一人の女性を慈しむ三人の男性の存在。父親、元の許婚者、現在の夫。これはもうお見事という他ありません。 その他、「泣くな、けい」「泣く母」「山桜」も快い作品です。 梅薫る/泣くな、けい/泣く母/山桜/報復/切腹/花のあと−以登女お物語−/鷦鷯(みそさざい)/岡安家の犬/静かな木/偉丈夫 |
●「帰 省−未刊行エッセイ集−」● ★★ |
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2008/09/10
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阿部達二さんの「解題」によると、藤沢さんのエッセイ集は「周平独言」「小説の周辺」「ふるさとへ廻る六部は」の3冊で、他に自伝的エッセイとして「半生の記」があるとのこと。 藤沢周平さんは自分の書いたものをすべて保存し記録しておくという、作家としてごく普通の習慣を持たなかったのだという。 本書エッセイの内容はともかくとして、どのエッセイをとってもいかにも藤沢さんらしいものばかり。 |
●「乳のごとき故郷」● ★★ |
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2010/05/22
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22年04月鶴岡公園内に鶴岡市立藤沢周平記念館が開館された記念として出版された、故郷である庄内・鶴岡に関するエッセイを集めた書。 子供の頃の思い出、故郷の味覚についてのエッセイ、両親や親族のこと。 なお、出典となるエッセイ集は「小説の周辺」「周平独言」「ふるさとへ廻る六部は」「帰省」「半生の記」という5冊。 子供時代/ふるさとの風景/忘れられない味/父の血・母の血/友と恩師/変わりゆく故郷/<詩 二篇> |