コルソン・ホワイトヘッド作品のページ


Colson Whitehead  1969年生、ハーバード大学卒後、ヴィレッジ・オフィスで働く。99年作家デビュー。2016年刊行「地下鉄道」にてピュリッツァー賞、全米図書賞等7つの文学賞を受賞。

 


                                   

「地下鉄道」 ★★★         ピュリッツアー賞・全米図書賞等
 
原題:"The Underground Railroad"     訳:谷崎由依




2016年発表

2017年12月
早川書房

(2300円+税)



2019/12/12



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南北戦争~奴隷制度廃止より30年程前のアメリカが舞台。

主人公の
コーラはジョージア州の農園に所有されている15歳の黒人奴隷少女。母親のメイベルはコーラを残して姿を消しており、今はみなし子状態。
農場経営者である
老ランドルは比較的穏やかな農園経営者だったが、その死後に長男も死去、跡を継いで所有者となったテランスは冷酷非道な人物。
そんな折、新入り奴隷の
シーザーに誘われたコーラは、テランスからの逃亡を決意します。
2人を自由な北部へ運んでくれるのは、支援組織が地下に巡らせ敷設した
“地下鉄道”
2人はまずサウス・カロライナへ向かいますが、悪名高い
奴隷狩り人であるリッジウェイが2人を追い・・・。

本作から衝撃を受ける歴史的事実は、アフリカ大陸から黒人たちを拉致し、奴隷として牛馬のように使役してそれを当然と考える白人たちのおぞましさです。
現代から考えると、よくもまぁそんなことができたもの、非道さという点においてナチスのホロコーストと何ら変わるものではないと感じます。

しかし、本作は同時に、スリリングで興奮尽きない、逃亡という冒険小説になっているところです。
その道具立てが“地下鉄道”。駅、駅長、運転手等々、想像するだけでも、自由に向かっての旅立ちの手段として、こんなにワクワクさせられるものはありません。
逃げる者と追いかける者、何度もコーラは窮地に陥りますが、それでもコーラの冒険が終わることはなく・・・。

逃亡は自由への希求、追跡はそれを許さない我欲、だからこそ奴隷制度の残虐さ、非道さがまざまざと目に浮かびあがります。

人種差別意識に対する徹底した批判であると同時に、スリリングな冒険活劇。まさに傑作です。是非お薦め!

※なお、訳者あとがきによると、本作は
H・A・ジェイコブズ「ある奴隷少女に起こった出来事から着想を得たらしいとの由。
 
※各章の題名は、コーラが足を踏んだ州と、コーラが関わりをもった人物の名前とが交互。短いですが、コーラ以外の人物に関する語りも見逃せません。
※また各章冒頭には、逃亡した奴隷の捕獲を依頼する新聞広告の文面が掲載されていますが、実際にあったものらしい。

アジャリー/ジョージア/リッジウェイ/サウス・カロライナ/スティーブンス/ノース・カロライナ/エセル/テネシー/シーザー/インディアナ/メイベル/北部

     


        

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