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1.ニューヨークの魔法使い 2.赤い靴の誘惑 3.おせっかいなゴッドマザー 4.コブの怪しい魔法使い 5.スーパーヒーローの秘密 6.魔法無用のマジカルミッション |
●「ニューヨークの魔法使い−(株)魔法製作所−」● ★★ |
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2006年07月
2011/01/21
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テキサスの田舎から大都会ニューヨークへ出てきて1年、というごく平凡な若い女性=キャスリーン(ケイティ)・チャンドラーが主人公。 ここNYでは、背中に羽を生やしていたり、地面から少し浮いている女性がいたりするのに、誰もいちいち驚いたりしていない。変わった街だ、というのがケイティのNY観。 会社では攻撃的ヒステリックな女性上司との関係にいい加減うんざりしていたところ、意外にもケイティにヘッドハンティング話が持ち込まれます。 相手は、(株)マジック・スペル&イリュージョン(略称MSI)という会社。その事業内容を聞いて驚いた、何と、魔法製作会社なのだという。そのうえCEOは、「アーサー王物語」に登場する伝説の魔術師、あのマーリン! 実はケイティ、魔法の影響を受けない体質(=免疫者)なのだとか。そのため魔法で目をくらませられる心配がないから、MSIにとっては貴重な人材らしい。そのおかげでケイティ、幹部社員らから大歓迎されて入社、まずは検証部に配属されます。 本書、「ハリポタ」に触発されて生まれた魔法ファンタジー・シリーズだそうです。既に5作目まで訳本刊行済。 魔法が特別なものではなく、身近なもの、ビジネスの対象となっているところも面白いのですが、魔法ファンタジー作品でありながら主人公ケイティが魔法にかからない、普通の女の子だからこそ活躍できる素地がある、という魔法ファンタジーの逆を突いた設定がユニーク、とても楽しいのです。 おまけに、本書は魔法ファンタジーであると同時に、ケイティにとってはお仕事小説という展開になってますし。 さほど期待せずに読みだした本書ですが、登場人物も皆ユニークで愉快とあって、予想以上に楽しいです。 本シリーズ、結構はまるかも。(笑) |
●「赤い靴の誘惑−(株)魔法製作所−」● ★☆ |
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2007年03月
2011/06/12
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都会的な魔法ファンタジー&ラブ・ストーリィ、“(株)魔法製作所”シリーズ第2弾。 主人公ケイティ・チャンドラーが心惹かれる魅力的な男性であり、(株)MSI・研究開発部理論魔術課の責任者でもあるオーウェン・パーマーの重要な書類が盗み見られるという事件が発生します。果たしてMSIの中に社内スパイがいるのか? 魔法に免疫力をもつイミューン(免疫者)である能力と信頼性を買われ、CEO=マーリンのエグセブティブアシスタントに抜擢されたケイティ、免疫があって眼識を備えた君こそ最適と、マーヴィンらスパイ捜査の担当を命じられます。 途方に暮れる思いをしながらもとにかく行動し始めたケイティですが、付き合い始めたばかりの弁護士イーサンとのデートに心躍らせる一方、突然テキサスの両親が彼女の様子を見にNYにやってきてあたふたしたり、そのうえケイティの免疫力が消えるという事態が! イミューンだからこそ職を得られたのに、その免疫力が失われたら?と、オーウェンやマーリンの信頼を裏切ることにケイティは人知れず悩みます。 社内スパイの正体、ケイティの免疫力をめぐるサスペンスに、イーサンとの恋の行方は如何に?というラブ・ストーリィ。 そして、題名の“赤い靴の誘惑”の意味は? 気軽に楽しめる、洒落た都会的魔法ファンタジー物語。まだまだ楽しみは続きます。 |
●「おせっかいなゴッドマザー−(株)魔法製作所−」● ★ |
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2008年03月
2011/06/30
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都会的な魔法ファンタジー&ラブ・ストーリィ、“(株)魔法製作所”シリーズ第3弾。 それなりに楽しく読んできた本シリーズですが、本巻については、率直に言ってどうもいけない。 その理由は、本書題名にもなっている、“おせっかいな”フェアリーゴッドマザーの登場にあります。 ファアリーゴッドマザーとは何か。いわば恋が成就するよう手助けするおばさん妖精、というところでしょうか。 突然ケイティの前に姿を現し、あなたの担当だと名乗り出たフェアリーゴッドマザー=エセリンダ、風体からしてとてもトップクラスのファエリーゴッドマザーとは言い難い。 その懸念どおり、せっかく順調に進みかけているケイティとオーウェンのロマンスを、ことごとく余計な手出しをしてハチャメチャにするばかり。ところがその張本人は2人の恋の成就のために良いことをやっているつもりでいるのですから、手に負えません。まぁ、感覚が時代遅れなんですねぇ。 それに輪をかけていけないのが、主人公であるケイティ。 オーウェンと2人きりの時に限ってヘンな事態が生じるというのに、ニブ過ぎるというか、エセリンダの仕業であるということにちっとも気づかないばかりか、それをオーウェンに打ち明けて相談しないというお粗末。 結局、ロマンス場面も、オーウェンらとイドリスの対決場面も、ことごとくエセリンダが引っ掻き回し尽くす、という巻。 大魔術師であるはずのマーリンも、ダンブルドア程の存在感がないのも、問題なのですねぇ。 本巻の結末は寂しい限り。次巻以降での復活を祈るばかりです。 |
●「コブの怪しい魔法使い−(株)魔法製作所−」● ★☆ |
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2009年02月
2011/07/13
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都会的な魔法ファンタジー&ラブ・ストーリィ、“(株)魔法製作所”シリーズ第4弾。 第3弾ではがっかりだったのですが、この第4巻では面白さが息を吹き返した、という感じです。 オーウェンの脚を引っ張ってはいけないと、ケイティが故郷の町コブの実家に戻ってから3ヵ月。 NYと違って魔法には縁のない筈のこのコブで、何やら魔法が使われたみたいな出来事、チンケな魔法を使ったのではないかと思われるコソ泥騒ぎが発生。 ケイティ、やむなく(株)MSIのCEOであるマーリンに連絡を取ったところ、さっそくやって来たのは警備担当者であるガーゴイルのサム。そしてさらに、オーウェン・パーマーも。 舞台がNYではなく自分の故郷である所為か、ケイティに落ち着きが見られて、楽しめます。 まだぎこちない関係ながら、オーウェンとケイティがコンビを組んで、魔法が絡んだ事件の真相解決のため、活躍する、というストーリィ。 何と言っても、ケイティを囲む家族、友人ら大勢が各々個性豊かであるところが楽しい。ここコブではオーウェンらこそ客人、魔法使いが遠慮がちにしていることで、ケイティら一般人とのバランスが上手く取れているようです。 また、魔法対決といった大騒ぎがあること、ケイティ一家の秘密が明らかになることも、面白さの理由の一つです。 ※なお、それにしてもケイティの3人の兄たち、そして兄嫁3人の内の一人、ひどいもの。 ケイティがはるばるNYに出てきたこと、オーウェンならずとも納得できる、というものです。 でも最後は、憎めないんですよねぇ。 |
●「スーパーヒーローの秘密−(株)魔法製作所−」● ★★ |
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2010年12月
2011/07/31
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都会的な魔法ファンタジー&ラブ・ストーリィ、“(株)魔法製作所”シリーズ第5弾。 「描き下ろし日本版オリジナルで登場」とは何のことかと思うのですが、続編の売上低下により米国で出版の機会が得られず、いきなり日本での翻訳出版に至った、ということらしい。 さてストーリィ、NYに戻ったケイティ、以前とは違って感化魔術とその防止グッズの流行により、街全体が騒々しくなっていること、それによってスペルワークスの勢いが増していることにすぐ気づきます。 イドリスは(株)MSIに降伏したのに何故か。これまでの事件の黒幕は別にいたのではないか、そしてそれは誰なのか。 そしてその過程で、オーウェン出生の秘密が明らかになります。題名の「スーパーヒーロー」とは、もちろんオーウェンのこと。 今回登場率が高くなっているのは、マーリンにCEOの座を譲った元CEOのアイヴァー・ラムジー。かつて魔法界を乗っ取ろうとした魔法使い=モーガン夫妻の事件の際、2人を倒して事件を解決したことで名を馳せた人物。 何やら「ハリー・ポッター」とその最終巻を思わせるような展開になっていく辺りちょっと気になるのですが、いずれにせよケイティとオーウェン&マーリンと、魔法界を牛耳ろうと周到な奸計をめぐらせてきた悪党らとの激戦、というストーリィ。 これまでの総決算、といった読み応えです。 |
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●「魔法無用のマジカルミッション−(株)魔法製作所−」● ★ |
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2012年09月
2012/10/15
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都会的な魔法ファンタジー&ラブ・ストーリィ、“(株)魔法製作所”シリーズ第6弾。 もはや米国で出版の機会が確保できていないようで、前巻に引き続き本巻も日本オリジナル書下ろしとのこと。 前巻で魔力を失ってしまったオーウェン・パーマーと、元々魔法免疫者であることから(株)MSIに雇われるに至った主人公=ケイティ・チャンドラーの2人が、今度は魔法使いが関わるとかえって権力への渇望心が生まれて危険という石“月の目”を巡り、エルフロードら、古典的魔法への回帰主義者<魔法界の清教徒>らとの争奪戦に息絶え絶えの活躍を見せます。 魔法が使えないのは苦しいが、逆に魔力がないからこそ任務が果たせる筈という、やや苦しくも強引なストーリィ設定。 本巻では、強力な魔女である祖母グラニーが孫ケイティの窮地を救う為故郷から駆けつけてくる他、何とMSI転職前の会社でケイティの強烈な身勝手上司であったミミ・パーキンズが再登場、その傍若無人ぶりで皆を唖然させ圧倒するところが見処。 こうしたシリーズものファンタジー物語ですから、最後は主人公たち側が勝利するのはお定めのルール通りというところなのですが、何と最後の最後にオーウェントとケイティにとんでもない事態が・・・。 今度はそっちかよ、という気がしますが、次の巻にも引き続き読者を取り込もうとする策略なのではと思う次第。 |