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「読書セラピスト」 ★★ シェルバネンコ賞 原題:"La lettrice scomparsa" 訳:橋本勝雄 |
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2022年02月
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読書セラピーの仕事を開始したヴィンチェ・コロソが、同じアパートに住むイザベッラ・パロディ夫人の失踪事件を探偵する文学的ミステリ。 つまり、読書セラピー&文学的ミステリ、という作品。 “読書セラピスト”という看板を掲げて商売を始めたものの、そう簡単ではありません。初めての女性客には逆ギレされたりと、冒頭から悪戦苦闘。これではアパートの家賃も払えるのかどうかと心配なところ。 そして、同じアパートの階下に住むパロディ夫人が行方不明となる事件が発生。最後に目撃したのはヴィンチェとのことで、警察は殺害事件ではないかとその夫を容疑者視するといった状況。 本好きとしては、悩みを抱えた人に対して相応しい本を勧めるという読書セラピーに興味があるところですが、ヴィンチェが挙げる本は海外小説が殆どで、一応内容の説明はあっても、今ひとつピンと来ないところが残念。 ミステリ部分は、思いがけずヴィンチェが探偵役を務めることになるのですが、その謎解きが文学作品に関わっているという点がミソなのですが、はっきりそうと認識しないまま何時の間にかそうなっていた、という感じで少々面喰った思いもあり。 なお、解決部分では、ルブラン“アルセーヌ・ルパン”シリーズの一作を思い出しました。 読み終えた後にもう一度ざっとお浚いをしてみると、本ストーリィの構成が良く分かる、と思います。 ※ヴィンチェが挙げた小説の中で私の既読は次の3冊のみ。 ヘミングウェイ「移動祝祭日」、ホーソーン「ウェイクフィールド」、小川糸「あつあつを召し上がれ」 |