ニコラス・スパークス作品のページ


Nicholas Sparks  1965年、アメリカ・ネブラスカ州オマハ生。大学卒業後不動産仲介、家屋修繕業、ウェイター等々の職業を経て作家活動。「きみに読む物語」は祖父母の実話に題材を得て一気に書き上げた処女長篇作品。


1.きみに読む物語

2.メッセージ イン ア ボトル

3.奇跡を信じて

 


 

1.

●「きみに読む物語」●  ★★☆
 
原題:“The Notebook” 


きみに読む物語画像

1996年発表

1997年03月
新潮社刊
(1800円+税)

 
1997/03/30

 
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アメリカでベストセラーになった作品とのこと。邦訳はぼくの美しい人だから」「あるがままに愛したいと同じ雨沢泰氏。それだけでも、愛の姿を追求した作品だろうと思ってしまう、期待とともに。
帯の宣伝文句には、
「結婚を決める情熱。それはどこまで続くのか?」とあります。しかし、この作品の中味はそんな安文句を完全に忘れてしまう程の感動に充ちていました。

本の1時間程と思って読み始めたものの、頁から指を離すことができなかった。すべき予定の事があったのですが、とてもこの本から離れることはできなかった。
何が素晴らしいかと言えば、全く飾るところのない、無垢な愛の姿を見たからでしょう。そこには、現代の恋愛劇にあるような、技巧や駆け引きや、激情などまるでない。むしろ、信じ難い程の静けさがあるように思います。それだけに、深々と、読む側の心の奥底に染み透ってくるようです。
登場人物は、きわめて僅か。中心となるのは、彼:ノア、彼女:アリー、アリーの母親、アリーの婚約者。彼らはいずれも真摯で、好感が持てます。
この物語の構想は、作者の妻の祖父母から得たとのことです。どこまでが実際の事なのかは判りませんが、全くの創作でないということに改めてため息してしまいます。

 ※映画化 → 「きみに読む物語

  

2.

●「メッセージ イン ア ボトル」● ★★
 
原題:“Message In A Bottle”

メッセージ イン ア ボトル画像

1998年発表

1998年12月
ソニー・
マガジンズ刊
(1400円+税)

2011年12月
ソフトバンク
文庫化

1999/07/25

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「最愛のキャサリン 君が恋しい。いつもと同じように。だが今日は特別つらいんだ....」
テレサ・オズボーンが海岸で偶然見つけた瓶の中に入っていた手紙は、こんな出だしで 始まっていた。
更に同様な2通の手紙を手に入れたテレサは、手紙を書いた男性
ギャレットに会いに行く。そんなロマンティックな出会いから始まる、テレサとギャレットとの新しい恋を描くストーリィ。

現代的な恋愛小説に比較すると、古典的と言うようなラブ・ストーリィです。前作きみに読む物語もそうであったように。
綺麗事過ぎるような気もしますが、そんなひたむきな恋愛を読むのは、快いものです。以前にはたくさんあった純朴な恋愛小説ですが、何時の間にか珍しいものになってしまったようです。だから、尚のこと貴重に思えるのかもしれません。都会を離れ、海辺の近くでストーリィが展開するのも良い気分。
平凡な恋愛小説を印象的なものにしているのは、何と言っても瓶に入れられた手紙です。ギャレットから亡き妻キャサリンへの3通。そして、最後のギャレットからテレサへ、さらにテレサからギャレットへの手紙。それぞれに快い感動を与えてくれます。
時折こんなラブ・ストーリィを読んでいたい、そんな風に思います。

   

3.

●「奇跡を信じて」● ★★
 
原題:“A Walk to Remember”


奇跡を信じて画像

2000年発表

2000年11月
アカデミー
出版刊
(1200円+税)

2001年11月
新書版化

 
2001/04/08

 
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過去スパークスの2作品を読んで、それぞれに感動してきましたので、この3冊目も当然に関心がありました。でも、今日まで読まなかったのは、アカデミー出版の“超訳”に抵抗感があったから。図書館の棚に本書があるのを偶然見つけたことから、本書を読むことになりましたが、超訳本については今後も読みたいとは思わないでしょう。私なりのこだわり故です。

本書は、現在57歳のランドン・カーターが語る回想記。彼が17歳の時に体験したラブ・ストーリィです。そして、その恋愛は彼の一生を支配することになった、という設定です。
ランドンが愛するようになった同級生の女の子は、ジャミー・サリバン。いつも聖書を持ち歩き、普通の高校生のように馬鹿騒ぎをする代わりにボランティア活動に熱心な彼女は、生徒たちから変人扱いされています。
そのジャミーをランドンがダンス・パーティの相手として誘ったのは、女の子が誰も残っておらず、他に選択がなかった為。そう書くとジャミーのことを堅苦しい娘と想像しがちですが、決してそんなことはない。変わっているけれど、彼女なりの魅力をちゃんと備えた娘なのです。
そのジャミーを、ランドンはどうして恋するようになり、2人の関係はどうなったのか、それが本書の主ストーリィです。
ストーリィは、誰もが涙を浮かべるような感動的なもので、かつて評判になったエリック・シーガル「愛の詩(ラブ・ストーリィ)」を思い出させます。その意味では、平凡なストーリィ。でも、ジャミーには、読むだけの魅力があります。

 


 

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