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●「おおきな木」● 作・絵 : S.シルヴァスタイン ★★★ |
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1997/01/15
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私が子供の頃の木って、確かにあのような存在でした。大なり小なり、それぞれの場所の木に、遊んだというか、遊ぶ場所に木が常にあったというか、そんな存在だったと思います。それなのに、そこからどれ程遠い場所に今いるのか(気持ちの上で)。 薬師寺再建の宮大工西岡常一さんの、木に対する考えを本で読むと、そのことをつくづく感じさせられます。木と寄り添うように生きてきた。木から離れ、木を軽視して生きるようになったところから人間は破局に向かって歩み始めた。そんな気さえします。森林破壊や、日本海のタンカー座礁により海が死ぬのを見ると胸が本当に痛みます。子どもたちがこの本を読んで、感動してくれるなんて、嬉しいことです。この本の訴えをを感じ取ってくれる感受性が失われているとしたら、そのこともまた寂しいことだったでしょう。 この本を図書館から借りてきたら、我が娘が自分用と勘違いして読んでいました。感想を聞いてみたら、この本の訴えをまだ理解できていないようでした。小学校2年ではまだ仕方ないとも思うのですが、こうした本を読んで感動できる子供に育って欲しいと、願うばかりです。短く、すぐ読み終わってしまう本ですが、感動は大きく、その余韻が未だに強く残っています。 ※大人にとっても素晴らしい絵本に、バスカーリア「葉っぱのフレディ」があります。本書と合わせて如何でしょうか。 |