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Shelley Read 五世代にわたりコロラドに住む家族の一員で、エルク山地の西側斜面で暮らす。ウェスタン・コロラド大学で30年近く、創作と文学、環境学等を教えてきた。地元の<ガニソン・バレー・ジャーナル>等の雑誌に定期的に寄稿。2023年「川が流れるように」にて作家デビュー。 |
「川が流れるように」 ★★ "Go As A River" 訳:桑原洋子 |
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2024年04月
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ストーリーの始まりは1948年、コロラド州アイオラ。 主人公は、桃農園の娘=ヴィクトリア・ナッシュ、17歳。 主人公、父親・叔父・弟と男ばかりの家族の中でただ一人の女。そのため、母親が事故死した12歳の時から、当然のこととして母親の代わりを担わされ、農作業と家事に明け暮れるだけの日々を送っている。 そんな主人公の前に突然現れたのは、炭鉱仕事から逃れてきたのだという見知らぬ男=ウィルソン(ウィル)・ムーン。 これまで周囲にいた男たちとは全く違うウィルにヴィクトリアは一目で惹かれるのですが、町の人々から排斥されたウィルとヴィクトリアの恋愛関係は秘められたもの。 しかし、2人の恋愛関係はあっけなく閉ざされてしまう。 そこから23年にわたるヴィクトリアの、孤高の戦いといっていい波乱万丈の人生が幕を開けます。 最初、D・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」と似た処を感じたのですが、そこからの展開は大きく異なりました。 ウィルとの出会いが、それまでの枷に嵌められたようなヴィクトリアの人生を一変させます。そして、彼女一人の手で新しい道を切り開いていく。 悔いを抱えながら、一人の女性の力強く生きていく様を描いたストーリーは、たっぷりとした読み応えがあります。 なお、本作では男性に比べ、女性たちの強さが光ります。 とくに“森の母親”部分が見逃せません。 お薦め。 プロローグ/1.カラスの翼のように黒く、輝いて(1948年~1949年)/2.野生の地(1949年~1955年)/3.わたしの土地(1955年~1970年)/4.もうひとりの母親(1949年~1970年)/5.ひとりの男がいた(1970年~1971年) |