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3.そばかすの少年 鹿田昌美訳(光文社文庫版) |
●「そばかすの少年」● ★★★ |
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1964年03月 絶版
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私が初めて読んだ中学生の頃からの
愛読書、手許から放すなどと決して考えられなかった一冊です。そして、それは正解でした。まもなくこの文庫は
絶版になってしまったからです。 主人公“そばかす”は、アン同様に孤児の少年です。でも、もっと悲惨なことには、生まれたばかりの頃、右手を切り落とされた状態で孤児院の前に捨てられ、自分の名前すら知らないという身の上です。 単なる成長物語ではなく、リンバロストの森、そこに生きる鳥や動物たちの美しさ、自然に対する感動が、この作品には満ち満ちています。 |
●「リンバロストの乙女」● ★★☆ |
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角川文庫刊 2014年08月 2000/02/05 |
「そばかすの少年」の姉妹編と言うべき物語 エルノラの父は早くに死んでおり、彼女は母との2人暮らしで育ちますが、その母は夫の死の原因をエルノラに転嫁し、娘に対しずっと冷たい仕打ちを繰り返してきた女性。 リンバロストの森という自然の中で学び、成長し、自立心と気品を身に着けた少女の成長物語という点では、むしろ前半の方が魅力あると言っても良いかもしれません。 ※2014年08月、待望叶って河出文庫から復刊されました。 |
●「そばかすの少年」● ★★★ |
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2009年05月
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私が最も愛している小説のひとつ、長年待ち望んでいた村岡花子訳の復刊ではなく、新訳の刊行です。とても嬉しい。 孤児院育ち、しかも片手がないというハンデをもつ“そばかす”が、木材会社を経営するマクリーンに雇われ、リンバロストの森の番人という孤独で辛苦の多い仕事に耐え忍び、やがてリンバロストの森の美しさを発見するとともに、人間として大きな成長を遂げていくという少年の成長ストーリィ。 舞台となる、太古からの森とも言うべきリンバロストは、知らない人間にとっては恐怖尽きない場所です。 本作品に感動するのは、どの頁を読んでも、そばかすの懸命さ、忠実さ、誠実さ、謙虚さ、そして勇敢さに打たれるからです。 少女の成長を描いた名作は数多くありますけれど、少年の成長を描いた名作はそれ程ではありません。 |