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1.愛の旅だち−フランバーズ屋敷の人びと1− 2.雲のはて−フランバーズ屋敷の人びと2− 3.めぐりくる夏−フランバーズ屋敷の人びと3− |
●「愛の旅だち−フランバーズ屋敷の人びと1−」● ★★ |
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1973年 1981年01月
2009/06/07
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北上次郎さんが“大人もはまる児童文学作品”として本シリーズを推奨していたのが読もうと思ったきっかけ。
両親が事故死した5歳の時以来親戚中をたらい回しされてきたクリスチナは、12歳となった今度はラッセルおじの元に引き取られます。田園風景の中にあるそのフランバーズ屋敷は、ラッセルおじが馬と狩猟にばかり金をつぎ込んでそれ以外は見向きもしないため荒れ果てていた。 従兄弟の長男マークは馬も巧みで、狩猟がこの世の全てという若者で、身勝手さ・粗暴さも父親と瓜二つ。一方、次男ウィリアムは馬から転落して片脚が不自由になったことを馬に乗らなくて済むというくらいの馬嫌いで、発明されて間もない飛行機大好き人間。おかげで父親からはすっかりいないも同然の扱いを受けているが、優しい心をもった若者。 理屈ぬきに面白いです。まず、馬を愛し馬とともに野をかけめぐる喜び、躍動感がたっぷり楽しめます。 少女の成長物語+人間ドラマ、そして変わり行く時代を描いている本シリーズ、これが児童文学?と思わせられる大河小説の片鱗を早くも見せ付けてくれます。 |
●「雲のはて−フランバーズ屋敷の人びと2−」● ★☆ |
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1979年 1981年01月 2009/07/21 |
第1巻の最後、手を携えてフランバーズ屋敷を後にしたクリスチナとウィルのその後を描く巻。 第1巻では物語の中心は“馬”にありましたが、第2巻ではそれが“飛行機”に代わります。 本書は、初期の飛行機時代にかけた人々を描いた巻。その主役となるのがウィルであるのは、勿論のこと。 第1巻でまさしくヒロインだったクリスチナは、本巻では全てにおいて飛行機優先のウィル、危険をものともせず大空へ舞い上がるウィルのことを常にハラハラと見つめる存在という立場に追いやられています。 ひとつのことだけに夢中になって、その他一切のことに対する配慮をどこかにやってしまう。馬が飛行機に代わっただけで、ウィルもまたフランバーズ屋敷の一員であることがこの巻では明らかです。そしてそこから逃れられないのもまた、クリスチナの運命か。 |
●「めぐりくる夏−フランバーズ屋敷の人びと3−」● ★★ |
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1979年 1981年01月
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ウィルが戦死し、ラッセル家の長男=マークもまた戦地で消息不明。 第3巻は、荒れ果てたフランバーズ屋敷に戻ってきたクリスチナが、自らの手でフランバーズ屋敷と農場を再建する物語。 フランバーズ屋敷が再び舞台となり、クリスチナが再び主役となったことから、第1巻の面白さが蘇ったようです。 父子の問題、階級社会の問題、戦争問題といろいろな要素を含んだ大河小説といえる本物語、本当に児童向け小説だろうかと、いつも感じてしまいます。 |
第4・5部 愛ふたたび