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12.果樹園のセレナーデ 13.ストーリー・ガール 14.黄金の道−ストーリー・ガール2− 15.青い城 16.もつれた蜘蛛の巣 17.銀の森のパット 18.パットの夢 19.丘の家のジェーン |
【作家歴】、赤毛のアン、アンの友達、アンをめぐる人々、赤毛のアン、アンの青春、アンの愛情、風柳荘のアン、アンの夢の家、炉辺荘のアン、虹の谷のアン、アンの娘リラ |
●「果樹園のセレナーデ」● ★★ |
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1910年発表 1961年01月
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本作品は「赤毛のアン」「アンの青春」に続いて3番目に出版された長篇ですが、実際に書かれたのは「アン」以前、つまりモンゴメリの処女長篇のようです。 舞台はやはり、カナダのプリンス・エドワード島。本作品は、友人に代わって臨時に田舎の中学校で教えることになった主人公エリックと、キルメニイという少女とのラブ・ストーリィ
です。 “アン”のような活力あるストーリィと違い、本作品はもの静かで、終始エリックとキルメニイ2人だけの恋物語です。ラブ・ストーリィにしても、あまりに綺麗すぎる、という気も
します。 |
●「ストーリー・ガール」● ★☆ |
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1980年03月 2010年01月
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母親が早くに亡くなっているベバリー13歳とフェリックス11歳の兄弟。 ただし、本書はそのストーリー・ガールが繰り出す夢のような物語、ということではありません。 このストーリー・ガール、「赤毛のアン」のアンと相似形であることは疑いありません。物語ることの上手さは、アンを彷彿とさせてくれます。ただし、アンのように突拍子もない空想家でありませんし、といってとかく対立関係に陥りやすいフェリシティーに比べ、格別良い子という訳でもありません。 |
●「黄金の道−ストーリー・ガール2−」● ★☆ 原題:"The Golden Road" 訳:木村由利子 |
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1983年12月 2010年10月
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「ストーリー・ガール」の続編。 本ストーリィの特徴は(前作と同じですが)、主人公はストーリー・ガールということではなく“子供たち”全員であること、ごく普通の日常が繰り返し描かれているところにあります。 前作と異なるのは、子供たちが自分たちの新聞「われら」を編集・発行し始めたこと。本書中では計4回発行されますが、子供たち一人一人の個性が発揮されているとともに、徐々にうまくなっているという変化が見受けられて楽しい。 一緒になって遊んだ子供たちも、一人一人子供から大人へという時期を迎え(最年長のカレンダー・ガールはもう15歳)、そして現実面でも別れの時期を迎えます。 |
●「青い城」● ★★☆ |
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1983年01月 2009年02月
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主人公は29歳のオールド・ミス、ヴァランシー・スターリング。 「赤毛のアン」と異なり、本書は大人の女性を主人公にしたストーリィ。 本作品の圧巻は、それまで恐れていた伯父・伯母たちに向かってヴァランシーが思ったとおりのことを怖気ずに言い放つところ、そして自らの本心に従って率直に行動するところです。 ヴァランシーが愛することになるミスタウィス湖周辺の風景描写も美しいのですが、自らの行動によって幸せを勝ち取ったヴァランシーの姿がとても清々しい。 |
●「もつれた蜘蛛の巣」● ★★ |
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1981年06月 2009年08月
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「青い城」に続く、モンゴメリ作品の文庫化・復刊、第2弾。 長い年月、幾組もの結婚を通じて複雑に絡み合ったダーク家とペンハロウ家。 ちょうど「アンの友達」に描かれたようなコミカルな恋愛を、一気に一つ網の中にぶち込み、多重ロマンス小説に仕上げたといった観のある作品。 冒頭、ダーク家とペンハロウ家に属する多数の登場人物が紹介される章、やたら姓がダークとペンハロウばかりで頭が痛くなりますが、一気にそこは突破してしまいましょう。 |
17. | |
●「銀の森のパット」● ★☆ 原題:"Pat of Silver Bush" 訳:谷口由美子 |
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2012年02月
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白樺の森に囲まれているところから名づけられた“銀の森屋敷”。 ところが実はこの作品、余り面白くない。私には余り面白いとは思えません。 パットも、プリンス・エドワード島の美しい景色や詩等を愛する少女ですが、アンに比べずっと抑制されている印象。その一方で思い込みが激しい性格で、逆にそれしかないとも言えそうです。 余り面白くなかった割に本書、あぁ長かった。 |
18. | |
●「パットの夢」● ★☆ 原題:"Mistress Pat−A Novel of Silver Bush−" 訳:谷口由美子 |
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2012年04月
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「銀の森のパット」の続編。 相変わらず主要な登場人物は、パットとばあやのジュディ・プラム。それに加え、成長したパットの妹=カドルス(レイチェル)に尽きます。 それにしても前作と変わらず、本書もまた長ったらしい。続けて読むとじれったい程。 本作品の訳本刊行があまり広がらなかった理由が、理解できたように感じます。 |
19. | |
●「丘の家のジェーン」● ★★☆ 原題:"Jane of Lantern Hill" 訳:木村由利子 |
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2011年08月
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トロントにある重苦しい祖母の邸、そして厳格で抑圧的な祖母の元で母親と共に暮すジェーン。 突然現れた父親に対して懐疑的だったジェーンですが、会った途端、父親が自分を愛していること、お互いに気が合うことを発見します。 というと、いくらでもある少女の成長物語のように思われるかもしれませんが、本作品はモンゴメリ晩年の物語。身内の大人に対する辛辣な目線も有しており、「アン」のような夢見る少女物語には決してなっていません。 トロントでは愚かで鈍で不美人と思われていたジェーンが、プリンス・エドワード島での生活を機に聡明で溌剌とし、度胸もある少女に一変。これまでと違って祖母に対しても堂々とした受け応えができるようになる、という展開は小気味よく痛快です。 |