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●「夜と灯りと」● ★☆ ライプツィヒ・ブック・フェア文学賞 |
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2010/04/15
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率直に言って、どの篇も、よく判らないストーリィである。 そのうえ現在と過去が入り乱れるので、なおのこと混乱します。 さらに、ストーリィらしいストーリィが、そもそもあるのかないのか。 それでもはっきりしていることは、各篇主人公の「今」がそこにあること。 気力のない失業者や服役者、ドラッグ中毒者、小学生の女の子の恋する教師、ホモの美人局等々、ろくでもない人物ばかりとしても。 紹介文によると、本短篇集は「東西統一後のドイツで「負け組」として生きる人間たちの姿を、彼ら自身の視点から鮮やかに描き出す12の物語」とのこと。 作者は統一前の東独生まれ、いろいろな職の労働を経験してきたらしい。自らそうした道を辿ってきたという事実こそ、この作者の強みなのではないでしょうか。 小さな死/南米を待つ/銃と街灯とメアリー・モンロー/デブは恋してる/犬と馬のこと/夜と灯りと/おれたちは旅する/ヨハネス・フェッターマンの短くも幸福な生涯/川への旅/通路にて/君の髪はきれいだ/老人が動物たちを葬る |