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1.遺失物管理所 2.黙祷の時間 |
●「遺失物管理所」● ★★ |
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2005/02/18
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ドイツ連邦鉄道の、ハンブルクらしい駅にある遺失物管理所。そこが主人公ヘンリー・ネフの新しい職場。 楽しげな雰囲気は、主人公ヘンリーの子供っぽい、かなりおちゃらけた性格からもたらせるところが大きい。人妻であるパウラにつきまとったり、仕事を逸脱したような行動をとったりと、いい加減にしたら、と言いたくなる程。 ドラマティックなストーリィ展開こそありませんが、すこぶる居心地の好い小説。 |
●「黙祷の時間」● ★★☆ |
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2010/09/26
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冒頭、事故で亡くなった女性教師シュテラ・ベーターゼンを同僚教師や教え子の生徒たちが追悼する、ギムナジウムでの式の場面から本ストーリィは始まります。 高等学校の生徒が年上の女性を愛するというストーリィは、古典的名作・思春期小説の定番と言っても良いでしょう。本書は、そうした名作の味わいを懐かしく感じさせてくれる一冊です。 彼女は若くて美しい英語の教師。そして主人公は、海辺の町で育ち、海底の石を集める父親の仕事を時々手伝っている少年。 シュテラの姿には気品すら感じられ、「シュテラ」と何度も呼びかけるクリスティアンの姿には豊かな抒情が感じられます。 |