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●「ボート」● ★★★ |
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2010/02/19
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生後3ヶ月で両親とともにボートピープルとしてベトナムからオーストラリアに渡り、渡米して研鑽を積み、新鋭作家として注目を集めるに至ったという作者の経歴を語らずして本作品集を語ることはできないでしょう。
何もよりもまず冒頭「愛と名誉と憐れみと誇りと同情と犠牲」という長い題名の篇。作者自身の境遇に似た作家志望の主人公の元を、ボートピープルだったベトナム人の父親が訪ねて来るというストーリィなのですから。 ストーリィは無国籍にして、まさに舞台は世界中のあちこち。 あえて7篇に共通するものを探すと、切羽詰った状態に置かれた時の人間の姿、ということになるでしょうか。 愛と名誉と憐れみと誇りと同情と犠牲/カルタヘナ/エリーゼに会う/ハーフリード湾/ヒロシマ/テヘラン・コーリング/ボート |