クオ・チャンシェン作品のページ


Chiang-Sheng Kuo 郭 強生 1964年生。劇作家、エッセイスト、小説家。国立台湾大学外国語文学学科卒、ニューヨーク大学で演劇学の博士号を取得、2018年から国立台北教育大学言語創作学科教授。
1987年に短編小説集「作伴(仲間)」にて作家デビュー。89年渡米し、米国在住の台湾人劇作家として活躍。2000年台湾へ帰国、劇団「有戯制作館」を設立。12年発表した初の長編小説「惑郷之人」にて第37回金鼎賞を受賞。20年発表「ピアノを尋ねて」にて台湾文学金典奨、Open Book 2020度好書賞・2020金石堂年度十大影響力好書賞・2021台北国際書展大賞・第8回聯合文学大賞等、主要文学賞を総なめにした。

 


                

「ピアノを尋ねて」 ★★         
 
原題:"The Piano Tuner 尋琴者"        訳:倉本知明


ピアノを尋ねて

2020年発表

2024年08月
新潮社

(1950円+税)



2024/09/25



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台湾の実業家=初老の林サンは、音楽教室を経営していた音楽家の妻=20歳のエミリーをすい臓がんで亡くしたばかり。
音楽教室や」、妻の遺したピアノをどうすればよいか迷っていた処に出会ったのは、冴えない中年男性のピアノ調律師。
そこから、二人の物語が始まっていきます。

調律師の「わたし」、実は昔、ピアノに対する天賦の才能を高く評価された子どもだった。
しかし、両親は音楽や文化について何の理解もなし。
ピアニストの道へ進むことを熱心に勧めてくれた先生もいたが、結局自分で棒に振ってしまった。

わたしはピアニストの道について、実業家は妻のことをもう一つ理解していなかったことに、悔恨を抱えている。
そうした2人が一緒に何かしようとするストーリー。

誰にしても、これまでの人生において選択を悔いること、幾らでもあるのではないでしょうか。
悔いがあってもその都度、それを乗り越えてやってきた。
でも、この二人の悔恨は深い。だからといって単なるミスと片付けられるものではなかったのでは。

悔恨を抱えてこれからも生きていこうとする姿に、深い哀切感があります。

※シューベルトやリヒテル、グールド、フジコ・ヘミングといった音楽家たちの人生も語られます。何が違ったのか。

    



新潮クレスト・ブックス

   

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