|
|
●「ある秘密」● ★★ |
|
|
1950年代のパリが舞台。 スポーツ万能の両親から生れたにもかかわらず、主人公であるフィリップ少年は虚弱な一人っ子。 フィリップは悲しみや恐怖を感じる心を愛情深い両親に打ち明けることはできず、いつしか想像上の「兄」を作り上げることとなった。 両親とフィリップは、施療院を営むルイーズと親しい。フィリップが15歳になったある日、ナチスの非道を語るルイーズの言葉から、フィリップは周囲が自分に隠していた秘密の一端を知ることになります。 それはフィリップには兄となる少年がいたこと。そして、理想的なスポーツマン同士の夫婦と見られる両親の過去に隠されていた秘密、苦悩。戦時中のホロコーストの恐怖。 ルイーズが物語る、秘密のベールに隠されていた出来事を知り、自分が知っていることを両親に秘密にすることによって、フィリップは徐々に強い少年となっていきます。 本書で描かれているのは、著者自身のことだそうです。 |