ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー作品のページ


Dorothy Canfield Fisher  1879〜1958 米国カンザス州生まれ、その後バーモントへ移り住む。子供向けの読み物を多く書き、アメリカの児童文学作家のさきがけと評される。長年の功績により、1957年バーモント州にて<ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー・チルドレンズ・ブック>賞が設立された。

 


 

●「リンゴの丘のベッツィー」● ★★★
 
原題:"Understood Betsy"       訳:福本友美子 絵:佐竹美保




1917年発表

2008年11月
徳間書店刊
(1600円+税)

 

2009/08/02

 

amazon.co.jp

孤児のベッツィー、町に住むハリエット大おばさんフランシスおばさんに可愛がられ、大事に育てられてきましたが、大おばさんが病気療養をすることになり、バーモント州の田舎に住むパットニー農場に世話になることになります。
ところがそのパットニー家、思いやりがなく、平然と子供たちに家事や農場の仕事を手伝わせると、大おばさんたちはひどく評判が悪い。。
さてそのパットニー農場にやってきたベッツィー、これから一緒に暮らすヘンリー大おじさんアビゲイル大おばさんアンおばさんの振る舞いはハリエット大おばさんたちとはまるで違い、ベッツィーは困惑するばかり。
いつも忙しく何かをしていて、ベッツィーにも自分のことは自分で考えて行動するよう仕向けてくる様子。

町暮らしで神経質な女の子だったベッツィーが、豊かなバーモントの農場でしっかりとした少女に育っていくという、少女の成長物語。
パットニー農場にやってくる前、そして駅に着いてから大おじさんの荷馬車に乗って農場へ向かう途中の様子と、孤児という境遇は共通していても赤毛のアンとはまるで対照的。
トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」の如く「赤毛のアン」が少女の夢冒険物語的であるのに対し、本ストーリィはごく普通の日常生活を描いた地道なもの。
でも、だからこそベッツィーが健やかにしっかりと成長していく姿が実感できて、素晴らしい。

ごく普通の生活の中でのひとつひとつ、アビゲイル大おばさん、アンおばさんから仕向けられる度、どうしたらいいのだろうかと読み手もベッツィーと一緒になって戸惑い、考える。そんな繰返しがとても楽しい。
子供への大人の対し方、子供のあり方について考えさせられるだけでなく、猫や犬、木々や果実など生命あるもの全て、自然の恵みについても考えさせられます。。
「赤毛のアン」に勝るとも劣らない児童名作。お薦めです。

         


 

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