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1.シェフィールドを発つ日 3.蛇の石 秘密の谷 |
●「シェフィールドを発つ日」● ★★☆ 86年英国カーネギー賞 |
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1990年06月
2001/04/03
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本書は児童図書の棚にありました。直訳すると“おばあちゃんは研磨工だった”というのが原題。主人公の祖母ドロシーのことです。 舞台はシェフィールド。かつては金属工業で栄えた町ですが、今は当時のような繁栄はありません。しかし、作者が実際に住んでいる町であり、作者のこの町への愛着が感じられます。 主人公ジェスが1年間のフランス留学に旅立つ前日、母方・父方双方の祖父母、両親、兄がジェスの家に集います。そこで語られるのは、それぞれの祖父母のロマンス(ジャックと亡きブレディ、そしてドロシーとアルバート)、父親マイクの失恋、母親ジョウジィとの出会い、そしてジェスが幼い頃に死んだ兄ダニイの思い出等。 ジェスにとって祖父母、両親であっても、彼等がずっとそうであったわけではありません。其々、ロマンスや失恋を味わう若者だった頃があったのです。年頃になったジェスもまた恋愛の一片を知るようになりますが、それは祖父母、両親たちがかつて経験してきたことと同様のこと。次の世代に繰り返し引き継がれてきたことであり、3世代を越えた共感がそこにあります。 それらの思い出を抱きしめて、ジェスはシェフィールドから旅立つ時を迎えます。訳題は、原題とかなり異なるものですが、そうした思いを篭めたものとして、「シェフィールドを発つ日」という題には、爽やかな印象が残ります。 お祝い/ブリディとジャック/研磨工の娘/土曜のダンス/ルウシイ・クラグウェル/ダニイ/少年と鳥/十七歳の影/巨人/ディスコ/家を去る日 |
●「ディア
ノーバディ」● ★★★ 92年英国カーネギー賞 |
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1994年03月 1998年03月 2007年11月 2001/03/30 |
ヘレンとクリスは、18歳の恋人同士。2人が思いがけなく体験した、初めてでたった一度のセックスは、彼等2人に新たな生命を与えます。
18歳という年齢からすれば、予想もしなかった衝撃的な出来事。ヘレン、クリス2人とも、その事実に大きく揺さ振られます。作者は彼等2人を温かく見守っていますが、2人の心情を思うと、あまりに切ない。その切なさが、本作品全体を覆っていると感じます。 “ディア ノーバディ”と呼びかけるヘレンの言葉を聞きながら、静かに感動を積み重ねていく物語、本書はそんな作品です。 |
●「蛇の石
秘密の谷(旧題:アンモナイトの谷)」● ★★☆ |
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1997年12月 2001年03月
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15歳のジェームズは、有望な飛び込み選手。両親は彼を愛し、飛び込み練習にも一生懸命協力してくれているけれど、彼は養子。両親はそのことを彼に隠すことはありませんでした。 中心ストーリィはジェームズが母親を探し尋ねる旅ですけれど、その間々に、小さな女の子が彼を産むストーリィが断片的に挿入されています。 |
●「ライオンとであった少女」● ★★☆ |
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2010年02月
2010/02/24
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タンザニアの9歳の少女、アベラ。 一方、シェフィールドに母親と2人で暮らすローザは、タンザニア人の血を引く混血の少女。 本書は、アベラとローザを代わる代わる主人公にしながら、ローザとその母親に出会うまでのアベラの試練を描いた孤児物語。 子供向けの本でありながら、大人が読んでも深い感動を呼び起こされる、そうしたところはさすがバーリー・ドハティです。 |