ボーマルシェ作品のページ


Pierre Augustin Caron de Beaumarchais  1732〜99 パリ、時計職人の子に生まれ、自身ルイ15世の元で王室御用職人になった。1856年 宮廷官吏の未亡人と結婚し、その領地名ボーマルシェを名乗る。また、国王書記官の職を買取り、貴族に列せられる。劇作以外に事業家としても活躍、ルイ15、16世の為や、アメリカ独立戦争にも尽くしたが、成功したとは言えない。生涯に3度結婚。自作がオペラになったことで有名。


1.
セビーリャの理髪師

2.フィガロの結婚

3.罪ある母

 


 

1.

●「セビーリャの理髪師、または無益の用心」● ★★  
原題:“le Barbier de Seville ou la Precaution inutile”


1775年発表

1977年12月
白水社刊
(絶版)

 

1999/10/02

フィガロ三部作の第1作。
モリエールの町人劇とほぼ同一のストーリィ。
恋しあう若い男女がいて、それを邪魔する金持ち旦那がいて、若い二人を助ける下男がいる、という恒例の喜劇。
若い恋人が、
アルマビバ伯爵ロジーヌ、下男=理髪師がフィガロ、という組み合わせです。そして、舞台はスペイン。
しかし、モリエール劇の登場人物がやや型にはまった印象があるのに対し、この劇では、登場人物各々が溌剌としている印象を受けます。アルマビバ伯爵、ロジーヌとも、決してフィガロにばかり任せきっているわけではありません。
その辺りがモリエールにない魅力でしょう。

※1816年、ロッシーニにより人気オペラとなりました。

 

2.

●「狂おしき一日、またはフィガロの結婚」● ★★★  
原題:“la Folle Journee ou le Mariage de Figaro”


1784年発表

1977年12月
白水社刊
(絶版)

※新書館による
新刊あり

 

1999/10/02

 

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フィガロ三部作の第2作。
昔、オペラのTV放映を観て、一遍にファンとなりました。言葉がわからなくても、とても面白かったのです。
前作で
アルマビバ伯爵ロジーヌは結婚し、フィガロは今や伯爵の従僕。ロジーヌの侍女頭シュザンヌを許嫁とし、漸く結婚の当日を迎えた、というのが幕開けの設定です。ところが、伯爵がシュザンヌに触手を伸ばす、というところから、様々な騒動が生じるという喜劇です。
本作ではフィガロ自身が主役となっている所為か、前作以上に溌剌としているように感じます。そのフィガロを凌駕するくらい魅力的なのが、許嫁のシュザンヌ。知恵者のフィガロも形無し、というところです。
本作の特徴は、伯爵が代表する貴族に対して、フィガロら町人たちが元気一杯。また、フィガロら男性陣に負けず劣らず、シュザンヌを始めとする女性陣が溌剌としている点。
このため、幕開けからワクワクするような楽しさがあります。こうした傾向は、フランス革命を前にして、町人階級の勢力が高まってきたということにあるようです。
ストーリィも、フィガロの結婚だけにとどまらず、様々なストーリィが絡み合い、楽しい限りです。まさに傑作という名に値する作品です。

※1786年、モーツァルトにより人気オペラとなりました。

 

3.

●「もう一人のタルチュフ、または罪ある母」●   
原題:l'Autre Tartuffe ou la Mere coupable”


1792年発表

1977年12月
白水社刊
(絶版)

   
1999/10/03

フィガロ三部作の第3作。
前作から20年余を経過した設定。
アルマビバ伯爵家に偽善者が入り込み、善良な家族の間に争い事を起こして得をしようという、お馴染みのパターン。「タルチュフ」とはいうまでもなく、モリエール喜劇の題名です。
若い恋人は、伯爵家の次男レオンと、伯爵が後見する娘フロレスチーヌ
この作品では、フィガロが余りに善人・正義の味方になり過ぎていて、喜劇というより、勧善懲悪劇といった印象が強いです。
したがって、前2作のような面白み、楽しさは、あまり感じられません。

 


 

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