クリス・ヴァン・オールズバーグ作品のページ


Chris Van Allsburg  1949年米国ミシガン州生、ミシガン大学、ロードアイランドデザイン学校で彫刻を学ぶ。彫刻と絵画は、ホイットニー美術館や近代美術館に展示されている。86年「急行「北極号」」にてコルデコット賞を受賞。他の絵本作品に、やはり映画化された「ジュマンジ」「ザスーラ」あり。

 


   

●「急行北極号」● ★★★            コルデコット賞
 
原題:"The Polar Express"       訳:村上春樹




1985年発表

2003年11月
あすなろ書房
(1500円+税)

 

2008/12/06

 

amazon.co.jp

日経新聞で“大人に贈りたい絵本”第3位に上がっていた絵本。
急行列車という題材に惹かれて手を出したのは、やはり旅行好きの故。
その時からどこかで見たような絵本だなぁとは思っていたのですが、3年前に見たファンタジーCG映画「ポーラー・エクスプレス」の原作だったとは、図書館にリクエストした時点では思い至らず。

ストーリィはクリスマスイヴの夜中、家の前に停まった急行列車「北極号」に乗って主人公の少年が北極点へ旅するというもの。北極点で少年が出会うのはサンタ。そして少年はサンタから素敵なプレゼントをもらって・・・。

映画は盛り沢山の登場人物、盛り沢山の展開、という内容だったのに対し、原作は絵本ですからストーリィはごくあっさりとしたもの。映画に比べて物足りなさを覚えてしまうものの、最後の1頁、いいですねぇ〜。このメッセージこそが、本作品を名作にしている所以でしょう。
あとは付け足しでしか過ぎませんが、トナカイの橇という古典的なアイテムに対し、列車という近代的なアイテム。その取り合わせが楽しい。また、"特急"ではなく"急行"であるというのも古の良さを感じさせてくれますし。

それにしてもクリスマス、サンタ、というアイデアは歴史的な大発明と言って良いのだろうなァと改めて感じました。宗教、歴史事実を越えて、これはもうファンタジーとしての傑作です。
さて、大人はこうしたファンタジーを信じることができるのでしょうか。
事実とファンタジーが同一でないことは知っているにしろ、ファンタジーを信じる気持ちはずっと心に持ち続けていると思いますよ、私は。

※映画化 → 「ポーラー・エクスプレス

  


   

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