セサル・アイラ作品のページ


Cesar Aira  1949年、アルゼンチンのコロネル・プリングレス生。現代アルゼンチンを代表する作家。即興や奇想をふんだんに採り入れた大胆な作風が特徴で、翻訳家、批評家としても活躍。ブエノスアイレス大学およびロサリオ大学で教鞭を執る。フランス政府芸術文化勲章シュヴァリエ、ロジェ・カイヨワ賞等、受賞多数。ブエノスアイレス在住。

 


                

「文学会議」 ★★
 
原題:"El congreso de literatura"    訳:柳原孝敦


文学会議

20XX年発表

2015年10月
新潮社刊

(1700円+税)

 


2015/11/23

 


amazon.co.jp

どうも南米作家は苦手です。
ストーリィ、そして作品が枠に嵌らないというか、縦横無尽に枠からはみ出している、というか。

本書もその典型的な一冊。
「文学会議」は、ベネズエラのメリダという街で行われる文学会議、今風に言えば文学フェスティバルにやって来た<マッド・サイエンティスト>にして作家という「私」=セサルが主人公。
有名なメキシコ人作家
カルロス・フエンテスの細胞を手に入れ、密かにクローンを作成。そのクローンを使って世界征服を企てようと目論んでいます。
作家のクローンを使ってどうすれば世界征服ができるのは謎で、それ自体がセサルの妄想ということなのでしょう。
スズメバチを使って細胞採取に成功したセサルですが、その後の展開はもう破茶滅茶。ここまで至ると妄想というより最早ストーリィの暴走と言うべきかと思う次第。

「試練」の主人公は、太めの少女マルシア
街中でいきなり「ねぇ、やらない?」と声を掛けられたのをきっかけに、
マオレーニンというパンク少女2人を振りきれず、そのまま3人で行動します。
その揚げ句が、試練は恋愛を正当化するという言葉に乗っての、試練=スーパーマーケット強盗を決行。
その強盗ぶりがとんでもなく凄い、ハリウッド映画のバイオレンスアクション並みの惨劇が展開されます。

その2篇から何かをくみ取れと言われても、とても無理。その暴走ストーリィにただただ、呆気に取られるのみです。

文学会議/試練

          



新潮クレスト・ブックス

 

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