その5

稀覯本

最初に書いたように、ペーパーバックの値段は多寡がしれたものだし、格式の高い古書店になるとペーパーバックなど相手にもしないところもあるくらいだが、なかなかお目にかかれないという意味では以下のものは稀覯本といっていいかも知れない。

Export (Canada) 1946

表紙:不明

World Distributors (UK) 1950

表紙:不明

これぞレア中のレアアイテム。コレクターからコレクターの手に渡り、市場に出ることは滅多にない。状態の良いものはオークションで400ドルの値を付けたことがあると言う。

と知ったような事を書いたが、実はさる有名コレクターからついに手に入れたぞ、と興奮のe-mailが来るまでこんなものが有る事すら知らなかった。上の画像は、その後ebayで見つけて手に入れたもの。あまりレア過ぎて知名度が低いのか、誰も入札せず、最低価格の10ドルで落ちてしまった。御覧の通りの状態だが、まあ許しましょう。

初出はWeird Talesで、1938年 11月号より4回連載。作者は画像では破れてしまって一部見えないが、カナダの作家のThomas P. Kelley。1977年にFax Collector's Edition(上記の興奮コレクターは、その関係者です)からリプリントが出るなど、パルプファンの間では結構有名な作品。

ハミルトンは、作品の量に較べると米国ではあまり本に恵まれない作家で、最初のハードカバーのHorror on the Asteroid and Othersも英国から出版されたが、この最初のペーパーバックも英国で出版された(もう1冊、The Monsters of Juntonheimというのが、同じ出版社から出ている)。

初出はThe Prisoner of Marsのタイトルで、1939年5月号のStartling Stories誌。

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