伯耆大山麓&船上山
1997/4/27〜4/29

目次へトップ4/274/28船上山4/29


伯耆大山の麓から(4/27)

大山寺前の木の芽吹き

 ここは大山の麓。大山寺から大神山神社まで散策した。今年の春は早い。同じ時期に来ているのに違うシーズン模様だ。あちこちの足下には、コミヤマカタバミが咲き誇っている。この花は、特に遠慮がちに開く白い花の様子が美しい。スミレも負けていない。よく見ると群落があちこちにある。すっくと地中から花茎を伸ばして紫色の花をつけている。葉が縮れているものもあるが、ハート型で先が尖っている。どうやらスミレサイシンか。キブシが多く、あちこちで花が見られる。今年は豊作か?見上げるとタムシバだろう、白い花が見られる。


←大山寺前の木の芽吹き


キブシの花を眺めてみよう!




コミヤマカタバミとスミレサイシン

 


クロモジの花

 大神山神社の手前に咲いていたマンサクはもう花を落としていた。元谷への登山道へ入る。ここはブナの森だ。林床には、コミヤマカタバミとスミレサイシンが。このあたり、クロモジがずいぶん多いと改めて認識した。若い枝は濃い緑色で黒い斑点が付いている。失礼してちょっと小枝を折ると、特有の良い臭いがする。ふと見ると、アジサイの花が枯れて残っている。

 野鳥の声が美しい。シジュウカラやヤマガラ、コガラの声がする。ここへの途中、ミソサザイが枯れた灌木のさきっぽに姿を見せてくれた。なぜかいつもは尾をピンと上げて鳴くのだが、降ろしたまま鳴いていた。姿形に美しいさえずりは間違いなくミソサザイ。しばし楽しんだ。ただ、ここの鳥たちは人の気配を感じてか、あまり姿を見せてくれない。

 残念ながらここではブナの花はよく見れない。高木遠望だから。一昨年はここは残雪の世界だったが、今年は雪が残っていない。元谷から降りてくる人たちに聞くと、少しは雪が残っているという。

 この日の大山館の夕食に山の幸が出たのが嬉しかった。コゴミ(クサソテツ)、フキノトウ、タラの芽、コシアブラ、ユキノシタと、山菜オンパレードの天ぷらに子持ちのワカサギもついていた。


伯耆大山の麓から(4/28)

 なんと今日はあいにくの雨。雨だといって後込みしていたのでは山に来ている甲斐がない。大山の連なり、船上山へ出向く。車を最大限に生かして。

ミヤマキケマンの花

 まずは朝、下山キャンプ場に立ち入る。目的はブナの花。が、残念ながら見られない。終わったのか、それとも咲かなかったのか。一昨年咲いていた白樺は、もう花の時期は終わっていた。コミヤマカタバミとスミレサイシンも咲いていた。何の花かと思ったら、ミヤマキケマンの黄色い花が咲いていた。連休の谷間だが、テントはある程度張られている。今朝からの雨で、皆の行動は重たいようだ。

 県立自然科学館で情報を仕入れてと思ったら休館日(;_;)。んではと、雨なら行くかと思っていた船上山へ向かう。道路が心配だったが山頂の近くを通る道は通行できた。有り難い。途中、大山を巻く県道を行くと、旭橋というところがあった。休憩していると、アマツバメがどうやら橋の下に巣を作っていて飛び回っている。各種の水仙を育てている民家がある。ホオジロも姿を見せてくれた。

 船上山の登りでは、イカリソウが道の左右に咲いている。図鑑で見てはいたが、自分初めてだ。少なくとも記憶にはない。スミレも負けていなくて、どうやらタチツボスミレの仲間らしい。大山寺で見たスミレサイシンと比べて、葉が丸っぽい。三出複葉のまだ開ききっていない白い花はイチリンソウらしい。ミヤマキケマンも咲いていた。

 ミズナラの落ち葉が多い道を登ったが、行宮跡のある船上山から雨の中を散歩がてら尾根を行くと、なんとミズナラの純林があった。周りの高木がすべてミズナラだった。この先、もう少し行くとブナの森があるらしいが、今回は家族連れ。雨も止まないし、今日の行動はここまでとした。


鳥取・船上山はミズナラの森

船上山の案内図

 大山の麓、大山寺に来ている。本来、今日は夏道から大山に登ろうと話ししていたのだが、あいにくの雨。夜中からずいぶん雨音がしていた。大山館で朝食を取っても、まだ雨足は緩まない。それではと予定は柔軟に変更する。あ、4月28日の話しです。

 まずはドライブとしゃれ込む。船上山にはどう山道を走ったものか。ブナの森を見るなら、もう少し踏み込まねばならないが、今日は家族連れ。そんなに無理はできない。ひょっとしたら通行止めかと思った道は通じていて、県道だろう、35号線だかから30号線とたどっていくと、船上山の北にある展望台に出た。工事をしている人に尋ねると、こんな天候で山に登るのかと。ガスが出て展望も皆無、1歳を越えたばかりのヨチヨチ歩きの娘を連れている。山好きの家族だといわないと、遭難騒ぎが出るのではないかと思うのが当然だろう。

船上山への登り口

 大山館で朝食をとり、ゆるゆると出かけたものだから、もう昼前。ここはアウトドア派で、登山口の駐車場の一角を占領して昼食だ。大山館で頼んだおにぎりを食す。シャケ、昆布、梅干しの大きな3色おにぎりが2個入っている。1人前食べれば、もう満腹。雨は止んで晴れ間も見えているから都合がよい。昼食を済ませて、天候が回復に向かっているから晴れてくるだろうと登り始める。ひめしゃら(娘)は自分が背負子で背負い、荷物はつまばやしが。こぶな(長男)は小2年にもなるからリュックを背負う。


イカリソウの花

 船上山はイカリソウが満開。道のあちこちに咲き誇っている。スミレも多く咲いている。どうやらタチツボスミレか。イチリンソウとミヤマキケマンも見られた。この花達が小雨の降る中を家族で歩いている慰めになった。今朝、ここに来る前に、下山キャンプ場のブナの花を探しに行き、見つけられなかった無念を一掃してくれた。やはり一昨年はブナの豊作だったのだと自分に言い聞かせたものだ。

 小1時間で船上山の行宮碑という道標を見る。実はこの日、船上山神社の前の建物を手入れしているのだという人達が板を担ぎ上げておられた。ここで一休みしようかと話していると、その内の一人が休んでおられて、この先に小屋がありますよと話してくれた。お教えに従い小屋に入ると、なんと雨が本降りになった。んでは雨宿りだと一家で腰を落ち着ける。鉄筋の土間だけだが、雨の降りしきる中、これほど有り難いものはない。

 で、よく地図を見ると、この前が船上山の山頂ではないか。もう少し先かと思ったのだが、どうやらこの碑が建っているところが船上山の山頂らしいと、雨の中を家族で足跡を残す。ここまでミズナラの葉が多く落ちていたが、この先に散歩してビックリ。なんとミズナラ林だ。周りの高木がすべてミズナラだ。足下には相変わらずイカリソウが咲き誇っている。

モミジイチゴの花

 雨宿りにも限度がある。こぶながもう帰ろうよと声を上げ、おまけにひめしゃらが泣き出した。まだ雨が続いているが腰を上げる以外にない。3時も回っているし下山とする。降っていると、雨が止む。とともにガスっていたのが下が見えるようになった。どうやら雲の中にいたらしい。


←モミジイチゴの花
 (小屋の前で)


 登山口の駐車場に戻り、違う道を帰る。先の工事の人に聞いていたのだが、「船上山桜祭り」が明日だと。八重桜が咲いているが、これはどうやら植樹。横目で通り過ぎる。赤崎を目指して走る。この一家は山も海も好き。日本海沿いの道を、海を眺めながら大山口から大山館に戻った。明日は晴れだという。夏道を途中まででも登ろう。


伯耆大山の麓から(4/29)

 大山への夏道をブナの森まで入った。下山キャンプ場では見られなかったが、標高900mを越えた辺りで見たブナは、花をたわわにつけていた。大豊作とはいかないけれども、それなりに実をつける年でしょうか。

何の実でしょうか、花でしょうか。

 ところで、不思議な光景を見ました。ブナの花が咲いていないかと眺めていると、赤い実のようなものが付いていたのです。標高900mまでに至らない、下の方でした。ブナの花が真っ赤に燃えている、そんな風情でした。何かの見間違えでしょうか。


大山2合目?の看板

 ゆっくり出てきたために、野鳥の朝食の時間は過ぎていたようでした。残念ながら、姿が確認できたのは、ヒガラのみでした。声からすると、シジュウカラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ。遠くはキツツキ類の叩く音が聞こえましたが。

 一昨日の元谷への道と同じく、山道で家族4人が休憩しました。自分は昼寝はしませんでしたが、ごろりと横になり、遥か上のブナの花を双眼鏡で眺めてましたわ。かなりの人達が大山へ登ってました。こうして一家は昼には大山寺を後にしたのでした。



目次へトップ4/274/28船上山4/29