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No.09




− 風雨の岩木山 − 半日

7 月××日 【雨】

 
5 時 50 分に秋田の家を出発。今日も妻と一緒だ。本当は秋田駒ヶ岳に登る予定だったが、雷雨という天気予報のため、岩木山登山に変更した。雨の中、国道 46 号線で盛岡まで行き、東北道の下りに入る。高速道路も時折強い雨が吹き付ける。約 140 km 走行して大鰐弘前インターで降り、そこからアップルロードという広域農道を通り、岩木山神社前を通過する。この頃から周囲は霧で包まれ、少し先も見えにくい状況だ。その後、岩木山ハイウェイのゲートに「リフトは悪天候のため運休」と書いてある。1,750 円を支払い、ヘアピンカーブを 68 個曲がると八合目だ。8 時 55 分に八合目駐車場に到着。駐車場にほとんど車はなく、がらんとしている。1 人の登山者がレインウエアを着けて大きなザックを背負っている。

 妻は黒部ダムのピンク色のポンチョを、自分はゴアのジャケットだけ着た。登山道に入ったのは 9時 17 分。幅は狭いがまあまあ歩きやすい登りだ。妻はどんどん先に行くが自分は汗が吹き出てきた。汗滝病が発症しないようにジャケットの前を大きく開け、ゆっくりと登る。霧が出ているので遠くは見えないが、時折下の方が見渡せる。雨だが虫がいないのはよいし、陽が当たらないのでくそ暑くないのもよい。9 時 43 分にリフトの降り口付近を通過すると風が強くなってきた。雨もかなり混じっている。ここまでは林の中だったので風も雨も気にならなかったが、吹きっさらしとなり強烈だ。道もガレ場となり、尾根では飛ばされてしまいそうだ。妻はあまりのことに絶句しているが、頑張って登っている。岩場の途中で 10 人程のお遍路さんとすれ違うがレインウエアも登山靴もなしで、ずぶぬれ状態で降りてくる。途中で 2 人の年輩登山者を抜く。1 人は左腕が動かないようだが、頑張って登っている。

 10 時 15 分、山頂に到着。石造りの建物のガラス窓の中に人が座っていてゾッとしてしまった。神社でなにか売っているのだが不気味だ。お遍路さんが登ってくるためらしい。山頂付近は既に大雨状態でレインウエアがなければずぶぬれだ。頂上の北側に神社があり、妻がお参りしていこうと言う。初めは断ったが、「M くん( 0.5 歳)のために」と言われては仕方がない。賽銭箱に 5 円玉を投げ入れた。登頂記念写真を撮ったりしてから避難小屋に入ると、先ほどの 2 人連れがいて休憩している。椅子に座り、コンロを出して湯を沸かした。カップラーメンは味気ないが手軽でよい。すぐに食べられて味も安定しているし、なにより鍋が汚れない。妻も頑張って登れたので嬉しいらしく、ニコニコしている。しかし、子供を実家に預けているのであまりのんびりもしていられない。

 11 時 05 分に避難小屋を出て下りにかかる。妻は思ったよりも元気にどんどん下っていく。あまりに速いので後ろから足元に注意するように声を掛ける。先ほどの 2 人連れを岩場の中程で抜くほどペースが早いので頼もしく思えたが、リフト乗り場付近から林に入るとペースが落ちた。バテバテだ。前から見ると膝がカクカク笑っている。足元にくれぐれも注意してゆっくり下るように言い、下りてくるのを立ち止まって待ちながら歩いた。11 時 55 分に八合目駐車場のデリスペくんに到着。

 実家に預けた子供のこともあるので、そそくさと準備をし、12 時 10 分には駐車場を後にした。アップルロードも東北道も最低燃費を更新するほど飛ばし、15 時 10 分に秋田の家に帰宅した。わが長男は心配をよそにぐっすりと眠っていた。晴れていれば絶景が望めたそうなので、雨だったのが残念だ。後で調べたら日本百名山だったので良かったなあと思うのであった。

( 岩木山= 1,624.7 m )

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