○茶杓

○形

最初は象牙などの薬匙が使われていたが、足利義政の頃には竹を削った茶杓が使われるようになった。村田珠光の頃は無節(真)、武野紹鴎の頃は止節(行)、利休の頃は中節(草)のものが中心となった。

茶をすくうところを櫂先(カイサキ)、その先端を露といい、その反対の端を切止(キリドメ)という。樋の有無があり、1本のものを単樋(ひとひ)、2本のものを双樋(ふたひ)、それ以上のものを諸樋と呼ぶ。竹の根本の方を櫂先の側に削ったものを順樋、その逆のものを逆樋という。利休、三斉の頃まで順樋のものは中節の裏側をえぐるように削込み”蟻腰”と呼ぶ。(腰が平らなものは”直(すぐ)腰”)またこの頃までは拭き漆が施されることもあった。

○筒

利休の頃、茶杓は無銘(銘は無くケラ判(花押)のみ)か送り銘(贈る人の宛名と作人の署名)であった。この頃から、筒が添えられるようになる。茶杓と共に筒を作り銘を書いたものが共筒、人に送るのが送り筒、後世の人が筒を作り、茶杓の作人名を書いたものが、極め筒と言う。この時、後から銘を入れるのを追い銘と呼ぶ。

○毎月の風物、行事とそれにちなんだ銘

1月   睦月(ムツキ) 王春 春孟 初春 青陽 端月 太郎月

瑞雲 翁 初暦 若松 金龍 颯々 三番ソウ 七福神 長生殿 常磐(トキワ) 老松 長熨斗 いくひさし 初日影 千歳 千代の友 蓬(ヨモギ)が島 蓬莱 初笑ひ 松の緑 青陽 神路 吉兆 丹頂 緑毛 不老門 千代の寿 千秋楽 萬歳楽 千代八千代 寿山 去年(コゾ)今年 雪あかり 1陽来福 玉春 初春 福禄寿 金鳥

元旦  大服茶 お年玉 門松 四方拝 初詣 若水

人日  七草 小松引

成人の日  若松 颯々(サツサツ) 初冠 吉祥 宝船 曙

 

2月   如月(キサラギ) 仲春 麗月 衣更(キサラ)月 初花月 梅見月

花の兄 好文木 はるつげ草 木の花 清友 清客 世外佳人 君子香 香雪 未開紅 雪梅 玉笛 雪見舟 雪の下折 宮柱 東風 初音 下萌 雪間 名残の雪 冬ごもり 

節分  厄払 悪魔払 福は内 鬼が城 鬼やらい 関 

立春  立春大吉 一陽来復 春立つ日

初午  三ツ峰 小狐丸 宝珠 稲荷山

涅槃会 紫雲 浄明 南無阿弥陀仏

梅花祭 梅の花笠 梅日和 鴬笛

 

3月   弥生 清明 桃月 花見月

夢の浮橋 糸遊 青丹(アオニ)よし 佐保姫 花の絵 春の山 都の春 舞の袖 百(モモ)千鳥 青柳

楽浪 流し雛 おぼろ夜 若草 春霞 紅霞

雛祭り  五人囃子 雛の宵

 

4月   卯月 花残り月 清和月 得鳥羽月(エトリハヅキ)

春風 よしの 花の影 春霞 熊野 桜川 春の宵 花曇り 花の宴 花子袖 花染衣 吉野山 花衣 花ガタミ 玉笛 芝舟 昔の春 玉琴 花の鏡 桜人 竹の秋 天道花 揚雲雀 百千鳥

花祭り  天上天下唯我独尊 龍華 無憂華

十三詣  知恵のかざし 渡月橋 

吉野忌  花紅 花の影 花供養

 

5月   皐月 仲夏 啓明 薫風 ジュン月 菖蒲月

清泉 清流 御裳スソ(ミモスソ)川 薫風 清風 和か葉 若みどり 緑陰(万緑) ほととぎす 一声

初声(夏鴬) 八つ橋 早乙女 花橘 青々 杜若 五月晴(別れ霜) 雲井路

端午の節句  菖蒲太刀 飾り太刀 小太刀 牛若 弁慶 緋おどし 初冠 五条橋 金太郎

葵祭     祭 神楽 かざし草 懸葵斉王

業平忌    むかしおとこ 都鳥 八つ橋 杜若

安居(アンゴ)夏行 夏こもり

 

6月   水無月 長夏 積陽 涼暮(スズクレ)月

蝉羽(セミノハ)月

松風 泉声 笹の葉 緑陰 夏草 夏木立 常世花 舟遊び 末摘花 浮舟 涼し 滝の糸 山井 布引 橋姫 てまり花 今年竹 涼一味 早苗 田植 早乙女

一日  川開き 氷室守 更衣

大祓  夏越の祓 おみ衣 茅の輪飾り

 

7月   文月 文ヒラキ月 孟秋 桐月 愛逢月 七夜月

さざなみ 石清水 苔清水 清流 岩もる水 渓声 青嵐 松風 森の梢 夏木立 飛瀑 浦浪 白雲 雲の峯 タツ瀬 青々 松陰 朝露 一滴 蝉しぐれ 空蝉 ひぐらし 夕涼み せせらぎ

祇園祭  夏祭り 長刀鉾

法要   昔語り おもかげ 雲井 雲井の旅 しのぶ草 荷葉 露草 夢

七夕   銀河 天の川 織衣 綾の衣 織姫 水陰草 通い路 浮舟 釣舟 雲居の橋(鵲(カササギ)の橋)

 

八月   葉月 初来月(ハツキ) 仲秋 竹春 迎寒 穂張月

浦風 簾の風 露の光 玉すだれ 有明 浮雲 彩雲 月明 眞如の月 月の桂 星の夜 さざ波 せせらぎ

川辺の声 波の音 水藻 桐一葉 はかなしごと おもかげ 天の川 清風 初秋 初嵐 ほととぎす おみなえし 撫子 都鳥 露草 うつし花 蝉しぐれ

大文字送り  光芒 大文字 火祭り

定家忌    通い路 月の桂 明月

 

9月   長月 季秋 授衣 菊月 寝覚月 色取月

月の鏡 月の桂 月の客 月の雫 月の眉(三日月) 月の林 風のささやき 想夫憐(ソウブレン) 紫雲 東リ 水鏡

桐一葉 月の宿 菊の枝 初雁 玉兎 雁来 松風 松虫 砧 雲井 雁の竿 明月 村時雨 宮城野 嵯峨野 むさし野 萩の里 虫の里 小男鹿(サオジカ) 露 白露 山路 稲舟 秋の野 風の音 木の葉の露 雲井の雁 虫の声 壺中

重陽    菊慈童 菊合せ 菊日和 

敬老の日  千代の寿 寿老人 福寿

 

10月  神無月 開冬 良月 小春 時雨月

深山路 すすき かくれ里 大原女 秋風 金風 玉笛 千秋 つれづれ 返り花 彩雲 峰の雲 紫雲 野々宮 小男鹿(サオジカ) 柴の戸 菊の露 みのり 雁の玉章(ズサ) 村時雨 秋時雨 山路の月 秋さぶ 秋深 神楽歌 神舞 里神楽 豊の秋 笛の音 笛声 初紅葉 薄紅葉 紅葉狩 紅葉ひろい 深山の錦 秋の山 惜秋 稲雀 むら雀 虫の声 虫の宿 松声 松ライ 落穂 柿太郎

 

11月  霜月 霜降月 陽復 黄鐘 チョウ月 雪待月

深山路 すすき野 かくれ里 千秋 大原女 つれづれ 返り花 月の桂 彩雲 紫雲 野の宮 みのり 雁の玉章 敷松葉 村時雨 木守 小春日 秋風楽 猿蓑 峰の紅葉 小倉山 山の錦

炉開き  敷松葉 関 一陽来復

七五三  髪置 袴着 七五三

 

12月  師走 窮冬 蝋月(ロウゲツ) 限月(カギリノツキ) 親子月 春待月

師走 窮冬 蝋月 限月 親子月 春待月 閑 千鳥 磯千鳥 浦千鳥 友千鳥 篭り居 名残りの空 柴の戸 笹 関 せきもり 歳の市 年の瀬 年の夜 年忘れ 惜年 数へ日 冬ごもり 冬木立 冬野 冬の月  

虎落笛(モガリブエ) 鉢叩 網代木 本来 風花 六つの花 薄氷 寒月 月氷る 山眠る 千石万石 昔話 夢のうき橋 雪 雪の曙 雪峰 雪片 雪折

成道会  ロウ八 宵の明星 悟道 出山 如意

義士討入り  討入 雪の夜 千秋萬歳 雪折 山川

クリスマス  聖夜 ジングルベル みめぐみ 救いの御子 

 

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