○茶器

 濃茶を入れるものを”茶入”といい、一方薄茶を入れるものは”(薄)茶器”という。やきものが主である茶入に対し、茶器は棗(ナツメ)と呼ばれる塗物が主である。棗も本来は濃茶入に用いられていたものが濃茶、薄茶を立て分けるようになった頃薄茶器として使われるようになった。現在でも棗を濃茶に使用されることはあり、その時は大津袋(大津の商人が道中首から掛けた風呂敷包みからヒントを得て利休が考案)に入れて出す。

 棗の始まりは、後醍醐天皇が吉野の金輪寺で一字金輪法を修めた際配られた金輪寺茶器で頭切(寸切)形と呼ばれる。

 武野紹鴎は頭切、臨器(ノゾキ)、薬器、帽子、薬籠(ヤロウ)飯器、棗形の七種を考案した。その後利休は大中小の棗形、中次、面取、雪吹(フブキ)、尻膨(シリブクラ)、平棗、鷲棗の形を定めた。棗はその後も新しい形(好み)が考案されることから”利休好みの中棗”といった言い方をする。塗りは黒(真塗)を主に一閑張、蒔絵などがある。

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