○茶入と仕覆

○茶入の系譜

・唐物

漢作(中国製 宋代)

唐物(宋代以降の中国製または陶祖加藤藤四郎景正が中国より持ち帰った陶土と釉薬で焼いたもの)

島物

・和物

瀬戸

 瀬戸 古瀬戸 鎌倉から室町。道元に随行した陶祖加藤四郎左衛門景正を代表とする。景正の隠居作を春慶と呼ぶ。

    真中古(まちゅうこ) 二代目藤四郎を代表とする。藤四郎の隠居作を藤四郎春慶と呼ぶ。

    中古 金華山 三代目藤二郎を代表とする。 

       破風(はふ) 桃山時代、四代目藤三郎を代表とする。

 後(のち)窯 桃山から江戸初期。織田信長の瀬戸六作、古田織部の織部十作の陶工がある。その他、利休窯、織部窯、京瀬戸など。 

瀬戸茶入には”手分(てわけ)”という分類がある。小堀遠州が試みた方法で中興名物と総せられる。標準となる1つの茶入を”本歌”と定め、それに類するものを”○○手”と称する。

 ・真中古

 野田手 橋姫手 思河手 大瓶手 大覚寺手 面取手 小川手 藤四郎 柳藤四郎 糸目藤四郎 虫喰藤四郎 藤四郎春慶 正信春慶 

 ・金華山

 飛鳥川手 玉柏手 瀧浪手 生海鼠手 大津手 広沢手 真如堂手 盤余野(いわれの)手 二見手 藤浪手 天目手

 ・破風窯

 翁手 凡(およそ)手 口広手 渋紙手 皆の川手 音羽手 正木手 橋立手 玉川手 米市手 市場手

 

国焼

 唐津 祖母懐 備前 伊部(インベ) 薩摩 高取 丹波 膳所(ゼゼ) 信楽 志戸呂(シドロ) 伊賀 朝日 上野 宇治田原

○茶入の見所

茶入は通常下釉(地釉)と上釉の二重掛けになっていて、別に水釉が掛かっているものもある。上釉の”なだれ”の景が一番の見所で、この場所を置形(おきがた)といい、茶入の正面とする。また、裾から底にかけては土を見せており、(土見という)大事な見所である。台土から切り離す際出来る底の糸切は、右に流れているものを順糸切、左に流れているものを逆糸切と呼ぶ。原則として和物は右、唐物は左。その他、板起し、輪糸切、渦糸切などがある。

○形

・文琳

林檎に似た形に因する。唐物、古瀬戸に多い。

・茄子

・文茄

・丸壺

・尻張(尻膨)

・瓶子

・勢高

・芋の子

・芋頭

芋の子より背が低く、胴が張っている。

・釣鐘

・瓢箪

・箪瓢(短瓢)

瓢箪を逆さにした形。

・瓜(阿古陀)

・達磨

・柿

・餌フゴ(餌袋)

鷹の餌の鳩を入れた竹籠に似ているため。

・橘

橘の実に似ていることから。

・蝋燭手

・四滴

四つ茶器とも称し、弦付、手瓶(てがめ)、油滴、水滴の四種の総称。

・大海

平茶入で口の広いもの。

・内海

・皆口(寸胴)

・広口(口広)

・ロ蹄口

・十王口(十王頭)

・鮟鱇

・鶴首

・累座

・肩衝

・撫肩

・車軸

・面取

・耳付

 

○蓋

象牙製で蓋裏に金紙を張る。茶に毒が含まれていると金色に曇りができるということから用いられるようになった。例外として広沢手は蓋裏を月に見立てて銀紙を張る。また象牙の神経が通っていた穴を”す(穴かんむりに果)”といい、蓋の中心をはずして左右どちらかに出るように削る。(利休の頃までは”す”のないものがほとんど)

 

○仕覆

裂地(キレジ)の種類

・金襴・銀欄

斜紋、繻子(シュス)などに文様を金箔糸(平金糸)、銀箔糸で織り出したもの。牡丹唐草紋が多く、地布全面を金糸で埋めたものは金地金襴と呼ばれ、菱つなぎ紋が多い。名物裂として富田、大燈、鶏頭金襴など。華やかさが特徴。景色の少ない地味な茶入に取り合わせられる。

・緞子(ドンス)

繻子地に文様を地の裏組織をもって織り出したもの。名物裂として珠光、紹鴎、遠州、荒磯、笹蔓緞子など。渋く物静か、手触りがよく、しなやかな質感を持つ。景色の美しい茶入に取り合わせられる。茶入の仕覆として最も重宝される。

・間道(カントウ)

縞柄のもの。格子縞、千鳥格子、絣(カスリ)文様、太子間道などがある。名物裂として鎌倉、吉野、日野、青木間道など。絹織物の他、絹と木綿の交織物、木綿織物(利休愛用のものとして利休間道)などがある。渋みと新鮮さを併せ持つ美しさ。

・紹糸巴(ショウハ)

様々な色の経緯(タテヨコ)糸を使い綾織風に文様を織り出したもの。厚手と薄手がある。皺になりにくくしっくりとした風合いを持つ。

・錦

2色以上の色糸で文様を織り出したもの。経糸で文様と地を織り出す経錦と緯糸による緯錦に分けられる。豪華さと重厚な風合い。厚手の為、挽家や帛紗、水指などの袋の裂地として重視される。

・風通(フウツウ)

表と裏、地と文様が別々に組織されている二重組織のもの。それぞれの文様が明確にあらわされ独特の風合いを持つ。

・モール

経は絹糸、緯に金糸、銀糸を巻きつけた金モール糸、銀モール糸を用いて織り出したもの。インドやペルシアからの舶来で異国情緒に富む。漢作唐物、唐物茶入のような格調高い茶入にふさわしく大名物、中興名物の仕覆裂として用いられている例も多い。

 以上の他、ビロード、更紗、金紗などがある。

 

茶の湯の世界に戻る

ホームに戻る