お茶のいただき方 (1997.10.3)
その1・お菓子のいただき方
○席に着くと、まずお菓子が運ばれてくる。お菓子は鉢に人数分(あるいはそれ以上)盛られており、縁外(へりそと、自分の座っている畳のへりの向こう)を廻ってくる。
※本来、薄茶をいただく場合は、亭主(お茶を立てる人、つまり茶会の主催者)が、自分の為のお茶を立てていただく際、茶杓(ちゃしゃく)を右手に持った時にお菓子をとる。亭主は茶杓を右手に構え、左手を軽くつき、”お菓子をどうぞ”と挨拶をする。
○お菓子鉢が自分に廻ってきたら、まず両手で縁外正面に置く。
○下座(自分の左側)の人に軽く手をついて”お先に(頂戴します)”と挨拶する。顔は下座の方に向くが、手は正面につく。
※当然、上座(自分の右側)の人がお茶をいただく時には同様の挨拶を受ける。この時は、相手と一緒に手をつき、挨拶を返す。
○”頂戴いたします”と言って、手をついて挨拶する。
○お菓子鉢を両手で持って、少し持ち上げて”感謝”する。
※”感謝”とは今、この場でお茶をいただく事にたずさわったすべての人や物に対して感謝すること。
○懐紙(かいし)を縁内(へりうち、畳のへりの手前)に置く。懐紙は2つ折りになって重なっている。折り目(”わさ”と言う)を手前にして、上から1枚を右に抜いて、1番上に乗せる。
※懐紙はいわば和製ポケットテイッシュ。色々と使い道があり普段から携帯するのも良いかと思う。
○お菓子鉢の上に乗っている取り箸を
1 右手で上から取り
2 左手で下から受け
3 右手で普通に箸を持つように持ち替える。
※この3手で箸を取り上げる動作は普段の食事の際にも行えば、実に美しいものです。ちなみに器を手に持っている時の箸の取り方は次のようになります。
1 器を右手で取り、左手の手のひらに預ける。
2 箸を右手で上から取り
3 左手の指の間にはさんで受け
4 右手で普通に箸を持つように持ち替える。
箸を置く場合は逆に行えばよい。
○左手をお菓子鉢に添えてお菓子をとる。
※箸の添えられていない干菓子のようなものは素手でとる。
○箸を左手で受け、右手で上から持ち直し、箸の先端をお菓子を取った懐紙の左上の隅で拭く。
○左手をお菓子鉢に添えながら、箸を鉢の上に戻す。
○お菓子鉢を両手で持って、次客(下座の人)に廻す。
○懐紙を両手で取り、左手に預け、お菓子をいただく。黒文字と呼ばれる木の皮のついた楊子で、切り分けていただく。干菓子のようなものは手で割っていただく。
○お菓子をいただいた後、懐紙は左右に一折り、上下に一折りして、ふところや自分の左側に目立たぬように置いておく。使わなかった懐紙はしまう。
その2・薄茶(”おうす”)のいただき方
○お茶が運ばれてくる。茶碗は縁外正面に置かれる。
※正式な茶事、茶会で小間(四畳半以下の茶室)の場合は、目前で亭主がお茶を立て、客がひざをついたまま取りにいく。
○右手で茶碗を持ち、上座の人との間、縁内に置く。
○上座の人に”お相伴(しょうばん)いたします”と軽く手をついて挨拶する。顔は上座を向くが、手は正面につく。(以下の挨拶の時同様)
○茶碗の右横を持ち、下座の人との間、縁内に置く。
○下座の人に”お先に(頂戴します)”と挨拶する。
○茶碗を膝前正面(縁内)に置き、”(お手前)頂戴いたします”と挨拶する。
○茶碗を右手で持ち、左手の手のひらに乗せる。横から右手を添えたまま少し上に上げる感じで軽くお辞儀をして”感謝”する。
○茶碗を右手で右回り(手まえ)に2回まわす。
※茶碗はその正面が客に向けられて出される。客は正面に口をつけることを遠慮して正面をはずす為に茶碗をまわす。
○お茶をいただく。何口で飲んでもよい。最後の一口は音をたてて吸いきる。
※音は客に正面を向けているとはかぎらない亭主に対して飲みおわったことを知らせる合図。
○手に持ったまま茶碗の口をつけた所を右手の親指と人差し指ではさんで軽く拭う。人差し指の方を茶碗の内側に入れて、左から右へ1回スッと。
○拭いた指先をお菓子をいただいた時の懐紙で拭く。懐紙がなければハンカチ等でもかまわない。
○茶碗を右手で左回り(手向こう)に2回まわす。茶碗の正面を自分の側にもどすことになる。
○茶碗を右手で縁外に置く。
○茶碗を拝見する。まず、両手をついて全体をながめる。両ひじをひざにつけた状態で茶碗を両手で持ち、ながめる。茶碗の中(見込み)や底(高台)もじっくりと。茶碗を元に置いたら、もう一度、両手をついてながめる。茶碗との別れをなごり惜しむような気持ちで。
○茶碗を右手で持ち、左手に預け、右回りに2回まわす。
※茶碗の正面を自分の反対側、つまり亭主の側に向けるということ。
○茶碗を右手で縁外に置く。
○茶碗が下げられる。
※正式の茶事、茶会の場合は客が亭主の所まで戻す。その時は返す時に、茶碗をまわして、正面を亭主に向ける。
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