○お茶の葉

 お茶には多くの品種がある。というより1本1本が違うと言っていいほど様々だ。葉の大小、厚み、細長いもの、丸いもの、色の濃淡などなど。そのため、古くからの茶所では雑種混生であった。これらの茶は種子から育てたもので干ばつ等にも強く、なにより自然にブレンドされるのでそれを好む人も多い。しかし摘み取り時期のばらつき、葉の不揃いによる製造作業の困難さなどにより近代化のさまたげでもあった。

 近年では生産上の短所を解消するため、それぞれの風土に見合った単一品種を栽培する方式が普及している。(在来茶園に対して均一品種園と呼ばれる。)代表的な品種は”やぶきた(茶農林六号)”で全国の均一品種園の85%を超える。樹勢が強く、収穫量が多い。煎茶、玉露、抹茶いずれにも適する。

 抹茶には葉が大きく、厚みが薄く、美しい緑色の茶が適する。それを追求して生まれたのが”あさひ(平野十一号)”や”こまかげ(平野五五号)で宇治を中心に栽培されている。ちなみに抹茶は挽かれる前は碾茶(てんちゃ)という。

 お茶の葉はいわゆる八十八夜の頃新茶が摘まれ始める。枝先の”一芯二葉””一芯三葉”を手摘みされたものは最上。この後40日ほどたって伸びてきた側芽を摘んだのが二番茶となる。摘まれた葉は蒸してから揉みあげられ商品となる。

 美味しいお茶を飲む1つの条件としてお湯の温度がある。うま味のアミノ酸は60℃で、渋みのタンニンは80℃で溶け出すことから、70℃程度のお湯を使うとマイルドなお茶が楽しめる。もっともタンニンはカテキンとも呼ばれ、昨今薬効に注目を浴びているので、そのときどきで楽しむようにしたい。

 

茶の湯の世界にもどる

ホームに戻る