Travel Graphic/ASIAT0/In the world
Phan Thiet/Vietnam
2008/08
そこは、青い海と、打ち寄せる白い波と、赤みかかった灰色の砂浜が続く美しい海岸線があった。
私が嘆声を発し、あそこは何というところかと訊ねると、スチュワーデスが教えてくれた。
「ファンティエットよ」
私はそれを聞いて、一号線を北上する旅では、必ずファンティエットによってみようと思い決めたのだ。

「ヴェトナム横断」沢木耕太郎著(一号線を北上せよ より)


ホーチミンのホテルで「ファントエットまでタクシーで」と頼むと長い長い井戸端会議がはじまった。
たぶんそんな客はいないのだろう。運転手さんも走り出しても「遠い。遠い。」と繰り返す。
途中土砂降りの嵐もあったが、タクシーはなんとか5時間かけてこの街にたどり着いた。
新しさとなつかしさをもつこの街でのリゾートな生活がはじまった。。。。
バスが止まったところは、ファンティエットとムイネーの海岸線のちょうど中間くらいにあるハンカフェという
旅行会社の前だった。・・・このあたりが最もリゾートホテルの多いところなのだという。・・・
私が困惑して
いると、彼女がどこかに電話をしてくれ、ここなら空いているようだからと、ホテルの名前をかいてくれた。
三軒離れた、ヴィクトリア、という名のホテルらしい。
「ヴェトナム横断」沢木耕太郎著(一号線を北上せよ より)


残念ながら沢木さんはこのあと、歩き出し、最初にたどりついた「サイゴン・ムイネー・リゾート」に止まってしまった。
ヴィクトリア・ファンティエットは、中央の管理棟の周りにコテージが点在し、日本の3つ分くらいの広いリビング兼寝室
が気持よかった。もちろん、ここでの生活は、日常を忘れる別世界が広がっていた。
聞こえてくるのは波の音だけだ。人の声はまったく聞こえない。ほとんど無音の世界に近い。
その中にいて本を読んでいると異なる星にいるような気がしてくる。
「ヴェトナム横断」沢木耕太郎著(一号線を北上せよ より)


この時、沢木さんが読んでいた林芙美子の『浮雲』を同じようにプールサイドやビーチで読んでみた。
今度は、高原の都市ダラットに行ってみよう。
高原のダラットの街は、ゆき子の眼には空に移る蜃気楼のようにも見えた。・・・
ダラットの段丘の街はゆき子の不安や空想を根こそぎくつがえしてくれた。
「浮雲」林芙美子著 より

白い波と青い海、太陽が疲れた気持ちを体をほぐしていく。この街はそれだけではなかった。
次へ
海外編TOPへ戻る
TOPへ戻る
Copyright (c) Ko Ito