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無限の始まり…もくじ |
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1
七月末のある晴れた日、あぶみはいつものように応接間の掃除をしていた。 |
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2
それから数日が経った。 |
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3
八月中旬、札幌で開催された新馬戦に渡会牧場の産駒と繁之の父が新たに買った馬がデビューし、繁之の父が主催する恒例のパーティが開かれた。 |
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4
何件か店を変えて飲みながらも、あぶみは自分のことを話し続けた。物心ついた頃からひびきと佑騎の喧嘩の仲裁ばかりしていたこと、中学生になった頃に父親から家事全般を教わったこと、佑騎が新人王争いに最後まで残って嬉しかったこと、ひづめがちっとも家の手伝いをしないこと……。あぶみには大しておもしろくない話に思われたが、悟は熱心に聞いていた。それがあぶみには嬉しかった。――この世に自分のことを知っている人がいる――そう思うと気分が楽に<なってきた。 |
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5
あの日――ひびきとたづなが大喧嘩をした「あの日」から一ヶ月が過ぎた。 |
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6
静かな昼食が終わると、あぶみは自分の部屋に入り鏡台の前に座った。 (了) |
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あとがき
あぶみさんを主人公にしたお話の第二弾です。今回は、STEP 195 p.4 2コマめのあぶみさんのセリフ「そう…」の「…」の部分にインスピレーションを得て書きました。完成まで約5時間と、まあ、比較的一気に書き上げましたね。 |
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