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北斗星、南へもくじ |
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1
たづなは、食堂車のテーブルにつくと夕食をオーダーし、目の前におかれたグラスの水を少し飲んだ。気がつくと、車両の壁を通して冷気が伝わってくる。 |
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2
「あたし、ひとりで旅行に行きたい」 |
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3
「たづなちゃん、大変! 大変! 列車が引き返してるぞ!!」 |
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4
高校でのたづなは、かわいくて頭の回転が速く、はっきりした物言いから、クラス内ばかりでなく、同じ学年の男子の間でも人気が高かった。中には「たづマニア」とかいうウォンバットでも出てきそうな名前のファンクラブを作る者まで現れる始末だった。そんな状況をたづなは、ばかばかしい、と思っていた。当然、デートを申し込んでくる男子も多かったが、たづなは全て断っていた……今年の一学期までは。 |
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5
「たづなちゃーん、起きろー!」 (了) |
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あとがき
恵知仁さんのウェブサイト『むきりょく☆すていしょん』(現『新無気力』)さんとの相互リンク開通記念(もしくは、弊紙の『むきりょく☆すていしょん』駅売店売り出し記念)の作品です。『むきりょく☆すていしょん』にアップされていたイラスト『食堂車』@お絵かき作品集にインスピレーションを得て書きました。 |
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