・どれくらいの人が来てるのか分かんないので、カウンターつけさせてください。

あなたは2002/07/12より    人目のこのページへの来訪者です。

 

日本学術振興会特別研究員(えせPD)に
申請した書類(2000年)

 これをこういう形で公開するのはすごく迷いました。初めにいっときますが、私は別に「すげぇだろー、学振通ったぞ」と言うつもりで公開するわけではありません。ほんとはそういう風に思われたら辛いから、こういうページを作るのを控えようと思っていました。でも、私は学振の書類を書いたときに、なにも書き方が判らなかったのでホントに困りました。そしてそんなとき、ネットで公開している方のものを参考にさせていただき、すごく参考になりました。だから、私のものが参考になるのかよく判らないけれど、申請が通った一事例として公開したいと思います。なお、とーぜんですが、これをまねして書いたからって通ることを保証するわけではありません、あしからず。あ、私のものは書いた後、指導教官がチェックをしてくれています(ここだけの話マジ感謝!)。「いやあ、お前らしくなくうまく書けてるじゃんかよ」なんて言われましたが、人の参考にして書けばそりゃあ、ねぇ(笑)。

 

※ちなみに私は、この方のものを参考にしました。当然似た書き方してるとこもあると思います。もしも私の奴を見て通った方は、どうか自分のも公開してください。。。

  京都大学文学研究科こだまさんのHPより平成11年度の学振の応募書類 (最終稿)

※最近はこんなページもあるので是非参考にされることをお勧め。私も登録しました。

  が苦心ガンバレ

 

研究題目: 社会規範からの逸脱行動を抑止する方略に関する研究

1. 現在までの研究とその成果

現在まで、以下の3点について検討してきた。

(1) 人々がどのようにして社会規範から逸脱していくのかのプロセスを、Cialdiniの提唱している記述的規範と命令的規範の観点から検討した。
(2) 社会規範の逸脱者と遵守者では、特性的な違いが見られるのかを、認知的側面から検討した。
(3)社会的規範からの逸脱行動を抑止するために、違反抑止メッセージの効果を検討したフィールド実験を行った。

 (1)では、交差点での歩行者の信号無視行動に着目し、歩行者行動に関するフィールド観察を実施した。その結果、以下の二つの知見を得た。@初めの一人に触発されて信号を無視する人が、実際には非常に多い。A触発されて渡る歩行者の中には、記述的規範に従って行動するため、左右の確認が不十分なケースもあり、非常に危険である(北折・吉田,掲載決定)。

 (2)では、(1)の交差点を通る歩行者を対象に、初めに渡る一人となる主唱者、主唱者に触発される模倣者、周囲の行動に関係なく止まる遵守者に分類し、これら3群間で交差点環境(赤信号の現示時間、車両通行量、道路の幅員)の認知バイアスに関する調査を実施した。その結果、以下の2つの知見を得た。B例えば赤信号の現示時間について、主唱者は無駄に長いと感じるなど、逸脱志向的な評価をしていた。しかし、実際に何秒であるかを推定させても、3群間で違いは見られなかった。C男性は女性と比べ、逸脱志向的な評価をしていた(北折,1999)。

(3)では、(1)、(2)を通じて得られた知見をふまえ、逸脱行動を抑止する方略について検討した。ここでは「駐輪禁止」などの違反抑止メッセージを用いて、自転車の駐輪違反に関する効果を測定した。その結果、以下の二つが明らかとなった。D一般に効果的といわれる制裁の提示は、二つの看板の間に1,2台の自転車が駐輪されていた条件でのみ顕著な効果が見られた。E二つの看板を置いたのみでは誰も駐輪せず、看板の間に5台自転車が置いてあれば、1,2台条件で顕著に見られた制裁の効果が消え、記述的規範の影響が顕れた。しかし全員が駐輪したわけではなく、どのメッセージも半数は自転車を移動させた(北折・吉田,印刷中)。

※以上の3つは、それぞれ学術雑誌に掲載が決定した内容に基づいている。

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(コメント)

 もともと私は文章が下手っぴなんで、けっこう悩みました。色々と書きたいことはあったんだけど、最終的にレフリーの要約の日本語訳だけを、出きるだけ平易な表現になおしました。

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2. 研究計画

(1) 研究目的

 社会が秩序を維持していく上で、法律を含む社会規範は大きな役割を果たしている。本研究は、こうした秩序を乱す社会規範からの逸脱行動を抑止する方略を、多面的に検討することを目指す。

 社会規範は人間の社会的行動を理解する上で非常に重要な概念であるが、これまで社会心理学の領域においては、習俗や文化に関連した検討(e. g., Cohen, 1996;Pepitone, 1976)、および定義や意味に関する議論(e. g., David, 1980;Moos, 1973)が中心であった。こうした流れの中でCialdini, Kallgren, & Reno(1991)は、社会規範を当為的な命令的規範と状況依存的な記述的規範の二つに分けて捉え、個人の行動判断にこれらの規範が及ぼす影響について検討した。しかし、社会規範からの逸脱行動を抑止するにはどうすればよいのかについては検討しておらず、こうした研究はほとんど見られない。

 そこで本研究では、社会規範からの逸脱行動を抑止する方略を、Cialdini et al.の主張する社会規範の二つの側面から提案していくことを試みる。今日、電車内での携帯電話の使用や迷惑駐車違反、ゴミのポイ捨てといった逸脱行動は、周囲の人に大きな迷惑を及ぼすこともあり、社会問題となっている。こうした逸脱行動を抑止する上で効果的な方略を検討することは、得られた知見を現実の社会場面に還元する上でも、非常に有意義かつ重要な課題である。本研究は、望ましい行動を制裁で強要するのではなく、自発的に逸脱行為を控えるように志向された方略を、これまでに得られた社会心理学的観点をふまえながら提案していくことを目的とする。

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(コメント)

 これも随分悩みました。結局、修士論文の一部をコピー&ペーストして、体裁を整えて書き直したものです。

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(2) 研究内容

社会規範からの逸脱行動を抑止する方略を検討する。

 一般に逸脱行動を抑止するには、逸脱者に対する制裁を厳しくすることが効果的だといわれる。しかし、厳しい制裁をもって行動の自制を強要することが望ましいかは、暮らしやすい社会とは何かを考えると疑問である。北折・吉田(2000;もっとも主要な研究の要旨を参照)は、逸脱行動を抑止する方略として、広く一般に用いられている違反抑止メッセージに着目し、大学構内における自転車の駐輪違反に関するフィールド実験を行った。この中で制裁を提示したメッセージは、少数の逸脱者が存在する状況において大きな効果が得られたが、逸脱行動によって生じる被害を提示したメッセージについては、特に顕著な効果は見られなかった。この原因として、制裁の提示は、逸脱行動をとった本人自身に生じる被害を提示している(駐輪を見つけ次第自転車を撤去)のに対し、被害の提示は、逸脱行動により第三者が被害を受ける(通行の邪魔であるという苦情が目立つ)形のメッセージであったことが挙げられる。つまり、駐輪違反をした被験者の中には、単純に「自分が損をすることがイヤ」で、別の場所に自転車を移動させたケースも多いと考えられる。もしそうであるならば、逸脱行動の結果、自分が被害を生じるような形での被害提示を行った場合(たとえば上の例では、車に自転車が倒されて壊れたという事故があった、など)、顕著な効果が見られると予測できる。いずれにせよ、制裁提示と被害提示の効果の違いをこれまでの研究をふまえ、さらに検討していくことを第一の目的とする。

 また、北折・吉田(2000)の実験は、習慣性が高い状況におけるメッセージの効果を検討したものであった。すなわち、日常的に自転車を通学で利用している被験者を対象としており、初めて自転車でさしかかったケースなどの、習慣性の低い被験者が起こす逸脱行動については検討できていない。一般に、新奇な事態では慎重な行動をとることが予測されるが、命令的規範、記述的規範のどちらに準拠した”慎重な”行動判断を行うかは、これまでの研究からでは明らかではない。この点を明らかにすることは重要な課題であり、本研究の第二の目的である。

 さらに、自転車の駐輪違反のみならず、広く社会全般に存在する逸脱行為についても、これまで得られた知見が当てはまるのかについて検討していくこと、制裁の提示以上に効果が期待される違反抑止メッセージの開発、違反抑止メッセージ以上に、逸脱行動の抑止に低コストかつ有効であると予測される方法の検討などが今後の課題である。

 なお現在、これまでに得られた知見をまとめる形で、現在の指導教官の下で博士学位論文の執筆を始めているが、この論文を博士後期課程修了までにまとめること(卒業時に学位を取得すること)は、時間的に厳しい状況にある。また現在、指導教官らとともに社会的迷惑行為に関する調査の共同研究プロジェクトにも参加しており、このプロジェクトは申請者の研究ときわめて近い領域でありながら、全く異なった方向からのアプローチであるため、今後とも積極的に関与していきたいと考えている。以上の理由により、PD採用後も、現在の研究室に残り、引き続き指導教官の下で研究活動を希望している。

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(コメント)

 これは、これまでに掲載された論文なんかの【今後の課題】の中から、本当に出来そうなもの & 多少興味を持ってもらえそうなものを選び出し、もっともらしく書き直しました。さいごの吉田研に残る旨は、指導教官に「どう書けばいいっすかねぇ」と聞いて、「こんな感じで書いとけや」と言われました。なるほどなぁ〜、こういう言い方もあるなと納得。

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(3) 年次計画

(1年目)
 博士後期課程の間に行った研究をまとめる形での博士学位論文を提出する。また、習慣性が逸脱行動におよぼす影響を検討するための実験を実施し、データ分析を行う。平行して、社会的迷惑行為に関する共同研究プロジェクトに、Cialdiniの主張する二つの社会規範という立場から参加する。

(2年目)
 習慣性が逸脱行動におよぼす影響を検討した実験結果を、学会発表、およびレフリー論文または紀要にて発表する。平行して、被害提示と制裁提示の違いに関する文献、および社会規範に関する文献の精読を行う。また、それと同時に、「自分が被害を受ける形での被害提示」に関する研究を実施する。

(3年目)
2年目に行った研究の成果を学会発表、論文投稿を行う。さらに、学位論文をまとめる形で研究助成を受け、社会的規範に関する本を公刊したい。また、違反抑止メッセージ以外の方法による逸脱行動の抑止策の検討、および自転車の駐輪違反以外の逸脱行動にも着目し、これまで得られてきた知見が広く汎用化できるのかを、駐輪違反以外の逸脱行動において検討する。

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(コメント)

 実は2年目の研究は今年データをすでに取り終わっていたりする。ついでに学位論文は逃避中だったりする(笑)。

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(4)研究の特色・独創的な点

 社会規範は、人間の社会的行動を理解する上で非常に重要な概念である。社会心理学の領域においても、広範に様々な概念を説明する変数として用いられてはいるものの、解釈や説明上の意味づけにおけるコンセンサスすら確立されていないのが現状である。さらに日本においては、心理学的観点から社会規範を直接扱った研究はほとんど見られず、必然的に逸脱行動の抑止を課題とした研究は皆無に等しい。

 よって、本研究のように、逸脱行動を抑止する方略を心理学的観点から検討することは非常に意義深い。逸脱行動の中には、現代社会において大きな問題を引き起こしているものも多く、申請者が現在共同研究として参加している社会的迷惑行為とも深く関連している。こうした逸脱行動を抑止する方略を提案していくことは、大きな社会問題となっている様々な迷惑行為の抑止とも強く結びついており、心理学的知見を社会に還元できるという点からも、貢献度は高いと思われる。

 なお、本研究の一連の検討は、逸脱行動の抑止を制裁の提示をもって解決しようとするものではない。確かに制裁を提示することは、多くの逸脱行動の抑止に対して効果をもたらすが、単に制裁を恐れてのみの一時的、かつ自己中心的な行動の抑止に過ぎないことが多い。例えば、警察の取り締まりを恐れているだけならば、パトカーが近くにいるときだけ制限速度を守ったり、取り締まりをしているときだけ駐車違反を行わず、警察が行ってしまうとすぐに駐車違反の車が車線をふさぐことになる。つまり、罰金や違反点数を恐れているだけであり、自分がスピードを出すことで事故が起きたり、駐車違反が他のドライバーに大きな迷惑を及ぼすといったことまで考慮しているわけではない。本研究の目的はむしろ、生じる被害や迷惑を逸脱者が自覚し、自発的に行動を抑止するようになるにはどうすればよいのかに主眼をおいている。こうした抑止は、逸脱者がなぜやってはいけないのかをきちんと理解した上で行為を自粛するため、単に制裁を恐れるからではなく、周囲の他者への配慮をもって行われる。本研究は、他者への配慮を相互、かつ自発的に行い、結果として逸脱行動が抑止されるような方略を検討することを目的とする。

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(コメント)

 正直たいそうな研究ではないと思うんだが、いかに自分の研究がすげーぞと思わせるかが大切らしい。指導教官にもけっこう直して貰った、まだまだ修行が足りません。

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3. 研究業績

(1) 学術雑誌等(紀要等は除く)に発表した論文 (掲載を決定されたものを含む。)
(2) 紀要および学会において申請者が発表した論文
(3) その他参考となる事項

(1)学術雑誌等(紀要等は除く)に発表した論文 (掲載を決定されたものを含む。)

※現在掲載された論文、および掲載が決定した論文は以下の通りである。

・北折充隆 1999 歩行者の信号無視と交差点の認知バイアスとの関連について ―主観的評価と推定認知の観点から― 交通心理学研究 15, 1-7.

・北折充隆・吉田俊和 2000 違反抑止メッセージが社会規範からの逸脱行動におよぼす影響について −大学構内の自転車の駐輪違反に着目したフィールド実験− 実験社会心理学研究 印刷中(40号第1巻に掲載決定)

・北折充隆・吉田俊和 2000 記述的規範が歩行者の信号無視行動におよぼす影響 社会心理学研究 印刷中(16巻に掲載決定)

※北折・吉田(実験社会心理学研究)および北折・吉田(社会心理学研究)については、まだ刊行されていないため、論文受理通知のコピーを添付します。

・・・次ページ(だった)・・・

(2)紀要および学会における申請者の発表等

【紀要等】

北折 充隆 1996 社会規範からの逸脱傾向類型化の試みと逸脱行動生起における個人内メカニズム 名古屋大学教育心理学論集 26, 1-7.

北折 充隆 1998 社会規範からの逸脱行為に対する違反抑止メッセージの効果に関する研究 ―禁止メッセージの提示方略に着目して― 名古屋大学教育学部紀要(心理学) 45, 65-74. 

北折 充隆 1999 歩行者の交差点における信号無視行動とその態度との関連について ―公的・私的自己意識も踏まえて― 名古屋大学教育学部紀要(心理学) 46, 197-204. 

吉田俊和・安藤直樹・元吉忠寛・藤田達雄・廣岡秀一・斎藤和志・森久美子・石田靖彦・北折充隆 1999 社会的迷惑に関する研究(1) 名古屋大学教育学部紀要(心理学) 46, 53-73.

【口頭学会発表】

北折充隆・吉田俊和 1998a 違反抑止メッセージの効果測定 〜"駐輪厳禁"は効果的か?〜 東海心理学会第47回大会発表論文集 p.34.

北折充隆・吉田俊和 1998b 違反抑止メッセージの効果に関する研究 日本グループ・ダイナミックス学会第46回大会発表論文集 Pp.16-19.(ロングスピーチ)

北折充隆 1998 歩行者の行動類型別に見た認知のずれについて ―主観的評価・実測値の推定認知の二つの側面に着目して― 日本交通心理学会第58回大会発表論文集 Pp.37-38.

北折充隆 1999 歩行者の交差点横断時の記述的規範が個人の意識に及ぼす影響について 日本交通心理学会第59回大会発表論文集 Pp.14-15.

吉田俊和・元吉忠寛・北折充隆・藤田達雄・斎藤和志 1999 冠婚葬祭における迷惑行為の研究 −社会考慮,社会認識との関連性− 日本心理学会第63回大会発表論文集 p.126.

北折充隆・吉田俊和 2000a 道路工事が歩行者の信号無視行動に及ぼす影響 ―交差点の観察エピソードの実証的検討― 東海心理学会第49回大会発表論文集 p.30.

北折充隆 2000 歩行者の赤信号無視行動に関する時間帯別検討 ―急いでいるから信号無視をする?― 日本交通心理学会第61回大会発表論文集 Pp.66-67.

※なお、本年度は他に以下の2本の口頭学会発表を予定している(すでに発表は申し込み済み)

北折充隆・吉田俊和 2000b 歩行者の赤信号無視行動を抑止する方略について 日本グループ・ダイナミックス学会第48回大会発表論文集 Pp.xx-xx.(ロングスピーチ)

北折充隆・吉田俊和 2000c 低習慣性時の被害アピールの効果について 日本社会心理学会第41回大会発表論文集 Pp.xx-xx.

 

【ポスター学会発表】

北折充隆・吉田俊和 1997 信号無視から見た同調行動 〜皆、本当に自分で判断して交差点を渡っているのか?〜 日本社会心理学会第38回大会発表論文集 Pp.340-341.

安藤直樹・斎藤和志・藤田達雄・北折充隆・吉田俊和 1998 社会的迷惑に関する研究(1) -認知された迷惑度の分析- 日本グループ・ダイナミクス学会第46回大会発表論文集 Pp.236-237.

北折充隆・吉田俊和 1998 信号無視行動に関連する諸要因について ―公的・私的自己意識と動的同調過程の観点から― 日本心理学会第62回大会発表論文集 p.346.

北折充隆・吉田俊和 1998 交差点横断時の状況が個人の規範意識におよぼす影響 〜周囲が気になるのはどんな時?〜 日本社会心理学会第39回大会発表論文集 Pp.376-377.

Kitaori, M & Yoshida, T 1999 Message effects of signs deterring parking violation. -An on-campus experiment regarding bicycle parking- Abstract of the Joint Meeting of the 3rd Conference of the Asian Association of Social Psychology, 174-175.

吉田俊和・安藤直樹・植村善太郎・北折充隆・多川則子 1999 大学生の適応過程に関する研究(1) −縦断調査研究の概要− 日本教育心理学会第41回大会総会発表論文集 p.252.

北折充隆・吉田俊和 1999 交差点での歩行者の赤信号無視行動とその交通意識について 日本社会心理学会第40回大会発表論文集 Pp.376-377. 

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(コメント)

 まえにポスドクやってた人の「書類なんて書いたもん勝ちだよ」と言う一言を真に受けて、とにかく片っ端から書いた。本当は、まだ発表済でないものまで”予定である”なんて言って書いて良かったのかは判らないけど。あと、別に誇示することはないかも知れなかったけど、(ロングスピーチ)というよけーな一言も入れておいた。だって、論文集4ページも書いて疲れたし、OHPも50枚くらい作って大変だったし。「いちおー頑張ってるっす」と言うアピールくらいになればいいかなと思ったので。。。あ、それとここだけは、他のページよりもフォントを小さくした。入りきらなさげだったので。

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最も主要な研究論文の要旨

題  目:違反抑止メッセージが社会規範からの逸脱行動に及ぼす影響
−大学構内の駐輪違反に関するフィールド実験−

掲載決定誌:実験社会心理学研究第40巻第1号

※ なお、本論文は指導教官(吉田俊和)との共著となっている。これは、本論文が申請者(第一著者)が指導教官の下で作成した修士論文を加筆・修正したものであるためである。

 多様な価値観を持つ個人で構成された社会の中では、個人の思うがままの行動は、時として他者に大きな損害を与えてしまう。しかしながら、いかなる個人も等しく最低限の利益や権利を享受する必要があるため、社会を構成する集団成員の行動は、一定のルールに基づいて制限される。人々はルールに従うことで、相互に存在・権利・利益を保障し合うが、こうしたルールは通念上、社会規範と呼ばれる。ところが、ルールに従う上でかかるコストや、逸脱行動が引き起こす被害の見えにくさ、規範を遵守した結果として得られる利益とのバランスからこれに従わず、大きな問題を引き起こすことも多い。そこで逸脱行動の抑止が重要な課題となるが、こうした逸脱行為の抑止を直接の目的とした研究はあまり多くない。

 Cialdini, Reno, & Kallgren(1990)は、社会規範を多くの人々が適切・不適切な行動と評価するであろうとの知覚に基づく命令的規範(injunctive norm)と、多くの人々が実際にとる行動であろうとの知覚に基づく記述的規範(descriptive norm)に分け、ゴミのポイ捨てに関するフィールド実験を行なった。この中で、渡されたチラシに書かれたメッセージが環境美化を訴える内容に近いほど、そのチラシをポイ捨てする割合が低かった。この研究は、メッセージが実際の行動にも反映されることを証明した点で非常に興味深い。しかし、直接環境美化を訴えるメッセージの中にも、その下位区分として様々な種類があり、こうした違いが行動抑止にどの程度つながるのかは検討されていない。

 そこで本論文では、大学構内における自転車の駐輪違反について、その抑止につながる違反抑止メッセージの効果に関する、3つのフィールド実験を実施した。まず予備的検討として、大学構内における駐輪違反に対する違反抑止メッセージに関する実地調査を行い、これを基に、本研究で用いる以下の5つの違反抑止メッセージを作成した。

@普通に禁止:ここは駐輪禁止です。自転車・バイクを止めないで下さい。
A強い禁止(命令):ここは駐輪厳禁。自転車・バイクを止めるな。
B被害の提示:通行の障害になるとの苦情が目立ちます。ここに自転車・バイクを止めないで下さい。
C制裁の提示:ここに駐輪された場合、見つけ次第撤去します。自転車・バイクを止めないで下さい。
D同調の抑止:1人が止めると、後も続きます。ここに自転車・バイクを止めないで下さい。

 実験1では、約3メートル間隔で上記のいずれかの同じメッセージが書かれた2つの看板を目立つように設置し、この看板の間に自転車を駐輪しようとした被験者が、駐輪を行ったか別の場所に移動したかをカウントした。駐輪した被験者には、実験者がその場で心理学の実験を行っている旨を話して理解を求め、自転車を別の場所に移動させている。したがって、2つの看板の間には常に1台も自転車が置かれておらず、駐輪してある自転車につられたケースは存在しない。自転車が1台も置かれていない状況からスタートするため、実験は、朝の7:30より4限目の授業が始まる14:45まで行われた。また実験中、周囲の駐輪場は常に整理され、駐輪場に自転車を置くスペースがないという理由で、実験対象エリアに仕方なく駐輪したケースは存在しない。駐輪したか否かは、施錠行為をもって判断された。こうした手続きにより、上記の5つの違反抑止メッセージの相対的な効果を測定したが、結果は強い禁止において1人が駐輪したのみで、このほかにはだれも駐輪違反を行わなかった。

 実験2では実験1の結果について、2つの看板の間に一台も自転車が駐輪されていなかったことが大きな原因であると考えた。そこで、あらかじめ2つの看板の間に1,2台の自転車を駐輪させるなど、研究1で問題があると考えられた点をいくつか改良し、再度メッセージの効果を測定した。その結果、メッセージ間に効果の違いが見られ、制裁の提示が駐輪違反に対して劇的な効果を示すことが明らかとなった。それ以外の4種類のメッセージについては、いずれも半数程度に駐輪を抑止する効果があった。よって、どのメッセージも全く効果が見られないわけではなく、逸脱者の存在が顕示された場合、駐輪するケースが出てくると解釈された。つまり、駐輪違反の自転車が示す記述的規範に影響され、駐輪するかどうかを判断する上で、メッセージの提示方略が行動判断に影響していた。

 そこで実験3では、多数の逸脱者の存在がアピールされた時の違反抑止メッセージ効果を検討した。すなわち実験1,2の問題点を改良し、さらに2つの看板の間に5台の自転車をあらかじめ置いておき、メッセージ間の相対的効果を測定した。その結果、5つの違反抑止メッセージ間に抑止効果の違いは検出されなかったが、メッセージの抑止効果がなくなり、全ての被験者が気にしないで駐輪したわけではなかった。すなわち、5つ全てのメッセージにおいて、目にした約半数の被験者が駐輪違反をやめ、別の場所に自転車を移動させていた。よって、実験2で顕著に見られた制裁提示の抑止効果が、他のメッセージと変わらない程度になり、メッセージの効果は、多数の逸脱者の存在がアピールされていても、一定の抑止力を持つことが明らかとなった。

 以上をまとめて総合考察では、違反抑止メッセージの効果が、周囲の行動に大きく影響されることについて議論した。すなわち、1台も自転車が置かれていなければ(実験1)誰も駐輪違反をせず、どのようなメッセージについても劇的な抑止効果が見られた。逆に、一般に議論されるような制裁の効果についても、逸脱者の存在が示されれば(実験2,3)、抑止効果が異なってくることが、3つの実験を通じて示された。

 以上の知見をふまえ、最後に本研究での問題点をまとめ、今後の研究の方向性を展望した。

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(コメント)

 実社心研のネタをそのままコピー&ペーストして、大幅削除してちょろっと体裁を整えた。ま、意味さえ分かればいいでしょ。

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 ・・・以上、こんな感じでした。あ、あと指導教官の推薦状もあるけど、これは何かいてくれたのか判らないので(封したものを渡された)、公開できません。ちなみにテキストは秀丸、印刷はワードでやりました。

あ、あと、大事なことかも。

 私は字が汚い人間で、指導教官に「お袋さんに書いてもらえ、マジで。」と言われるほどでした。さすがに小学生のインフルエンザ予防接種の申し込みじゃないので親には頼みませんでしたが、1枚目の履歴書の部分は字がきれいな友人に¥2,000で書いて貰いました(実話)。だから、「本人記入の場合は押印しなくてもいいです」と書いてあったけど押印して出した。後にこれは、留学生なんかが申請する場合の押印だと言うことを知りました、、、どうやら日本人ではないらしい(笑)。まぁでも、字が汚い人はそれくらい気を遣ったほうがいいかもということです。通ればモトは回収できます。

 

◎北折へのMailはこちら(kitaori@kinjo-u.ac.jp) まで。 ぽすぺうぇるかむ。


 

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