5月は、エメラルド。 6月ムーンストーン、7月にルビー。
8月ペリドット、9月サファイア、10月オパール。
11月トパーズ、12月トルコ石に、1月ガーネット。
2月アメジスト、3月アクアマリン。
そして、4月の誕生石は、ダイヤモンド……。
☆ HAPPY BIRTHDAY ☆
何気なく聞いた女子の会話が、頭からはなれてくれない。
17歳の誕生日に、誕生石の指輪を相手から貰えれば、ずっと一緒に居られる。
そんな事、信じたてはいないが、それが頭から離れないのは、好きな人と、ずっと一緒に居たいから……。
そして、明日は烈兄貴の17歳の誕生日……。
「何で、宝石ってこんなに高いんだ!」
何気に立ち寄った宝石店で、俺はその値段に思わず一人呟いてしまった。
「彼女へのプレゼントかしら?」
ガラスケースの前で呆然としていた俺は、突然声を掛けられて、我に返る。
にこやかな笑顔を見せながら、店員が俺に近付いて来るのを確認して、一瞬困って立ち尽くしてしまった。
学生服で、こんな宝石店に居るなんて正直目立つだろう。
しかも、高校生男子が一人だけなのだそれだけで、十分店員には珍しい客なのは仕方ない。
「えっ、あっ……その……」
声を掛けられて困ったように口篭もりながら、どうしたものかと思考をめぐらせる。
店で、こんな風に店員に声を掛けられるのは、正直スキじゃない。
商品ぐらい自分一人でゆっくりと見させてもらいたいものだと思ってしまう。最も、店員はそれが仕事なのだから仕方ないといってしまえば、それまでなのだが……。
「学生さんでしょう?君くらいの子が、手軽に買えるって言うと……そうねぇ、前のケースのでしたら、お値段も手軽だと思うんだけど……」
俺が、学生なのは、制服を見れば一目瞭然である。それをにこやかに言われて、思わず苦笑してしまう。
でも、確かに俺が見ているケースの中は、手が出る位の値段では無いのが正直なところだ。
だから、そう教えて貰ったのは、正直有難い。
別に、絶対宝石が欲しい訳ではないのだが、どうしても頭から離れない言葉がある為に、こんな所に居るのだと言う事実は変えられない。
『17歳の誕生日に、相手から誕生石の指輪を貰うと、ずっと一緒に居られるんだって……』
そんな夢物語を本気で信じた訳じゃないけど、でもずっと一緒に居たいから、だからこそ、小さな希望にだって縋りつきたくなる。
「……ちょっと聞いてもいいかなぁ?」
俺は、意を決して、自分の後ろに居る店員を振り返った。
俺が声を掛けた事に、店員はニッコリと笑顔を浮かべて首を傾げて見せる。
「……4月の誕生石って、何ですか?」
烈兄貴に誕生石をプレゼントするのはいいとして、高校生男子が誕生石なんてものを知っているはずはないだろう。
いや、知っている事の方が、怖い。
「4月の誕生石ですか?4月は、ダイアモンドですよ」
ダ、ダイアモンドぉ?いや、その名前くらいは聞いた事がある。
でも、それって、高校生に買えるもんなのか?高価な宝石じゃねぇのかよぉ〜(><)
「彼女の誕生日、4月なのね。でも、ダイアモンドって言ってもピンからキリまであるから、心配しなくっても大丈夫よ。そうねぇ、今なら調度4月の誕生石であるダイアの種類が多くなってるから、お買い得な物もあると思うんだけど……」
俺が、余りにも落胆しているだけに、店員は気の毒そうな表情を見せてから、フォローをするように笑顔を見せた。
「う〜ん、でもやっぱり、2万くらいはしちゃうわねぇ……」
ガラスケースの中を一通り見てから、困ったように溜息をつく。
2万円位と言われて、安いですね。
なんて笑っていえない。
2万って言うと、学生には結構な大金。
いや、今の学生にとっては、大した金額ではないと言われるかもしれないが、俺には十分大金なのだ。
だが今なら、春休みの間にバイトしたので、出せない金額ではない。
自分の欲しい物を我慢すれば、何とかなるだろう。
それに、烈兄貴への誕生日プレゼント代は、ちゃんと用意してあるから、それに幾らか上乗せすれば……。
問題なく買える。
「じゃあ、悪いんだけど、2万くらいのヤツで、どれかいいの選んで貰えねぇかなぁ……」
買えると決まれば、さっさと選んでここから立ち去りてぇ……。
他の客や、店員達の視線がさっきから気になってしかたねぇんだよな。
「そうねぇ……それじゃ、彼女の特徴なんかを聞けば、イメージに合うようなのを選べると思うんだけど……」
笑顔で言われた事に、俺は一瞬言葉に詰まった。特徴ねぇ……どう説明すりゃいいんだか・・・・・・。
「ご〜う!こんな所で何してんのよ?」
兄貴の特徴ってのをどう説明するか悩んでいた俺は、突然後ろから背中を叩かれて、驚いて振り返った。
「じゅ、ジュン……お前、何で……」
「学校の帰りに、友達と買い物に来たの。そしたら、珍しい所であんたを見かけたから……何、もしかして、烈兄ちゃんへのプレゼント?」
最後の方は、俺だけに聞こえるように小声で呟かれる。
それに複雑な表情を浮かべて、俺は正直に頷いた。
今更、ジュンに隠しても仕方ない。どうせ、ジュンは知っているのだ、俺と烈兄貴の関係を……。
「まさか、17歳の誕生日にってヤツ?……女の子でも、信じてる子少ないのに……本当に好きなのねぇ……」
少し呆れたように呟かれた言葉に、俺は何も言い返せない。
俺だって、その言葉を信じている訳じゃないから……
ただ、俺が本当に兄貴と離れたくないって事を伝えたいだけなのだ。
でも、言葉にするのは照れ臭過ぎて、だから気持ちを送りたいって、それも十分照れ臭いような気がする。
自分の考えた事に苦笑を零して、溜息をつく。
そんな俺に、ジュンも苦笑すると溜息をついた、
「仕方が無いわねぇ、このジュンちゃんが、選んであげるわよ。でも、ご〜う、あんたサイズ知ってるの?」
サイズ?サイズって、何のサイズだ?
「まさか、知らないなんて言わないわよねぇ?指のサイズ。指輪にはサイズがあるのよ」
俺が不思議そうに首を傾げているのを見て、ジュンが呆れたようにもう一度溜息をつく。
そんなもん知る訳ねぇだろう!今の世の中、男でも指輪してるっても、俺はそんなもんには興味ねぇんだよ。
でも、そうか…指輪のサイズってやっぱり必要なんだなぁ・・・・・・。人によって、指の太さ違うんだから、当然か・・・。
「ちなみに、豪あんた指のサイズ幾つくらいなのか、調べてみる?」
「・・・・・・んなもん、調べられるのか?」
「当たり前でしょう!すみません、サイズ調べてもらえますか?」
俺たちの後ろで、ずっと事の成り行きを見守っている店員に、ジュンは動じる様子も無く声を掛ける。
何だか、慣れているように見えるのは、気の所為だろうか?
「サイズですね。では、こちらの方にどうぞ・・・・・・」
ジュンの言葉にニッコリと笑顔を見せて、俺たちは中へと案内された。
別に、自分の指のサイズなんてものは、どうでもいいのだ。
だが、ここで断るなんて出来ない雰囲気があるのは、どうしてだろう。
「それでは、手を出していただけますか?」
奥まで連れてこられた時、店員はリングが一杯付いている物を取り出して俺に手を差し出す。
言われるがままに手を出せば、そのリングの束の中から一つ選んで、俺の指に嵌める。
「男の方だから、この位だと思うんですけど・・・・・・キツクないですか?」
リングを嵌められて、心配そうに尋ねられた事に頷いて返す。
別にキツクは無い。
ただ、そんな物を嵌めた事が無いので、指に違和感を感じるのは止められない。
「大丈夫なようですね。これなら、14になります」
ニッコリと言って、リングを外すと俺のサイズを教えてくれた。
14って数字が、どうなのかは分からないが、良く良く考えてみれば、俺のサイズが分かっても意味がない。
俺は、烈兄貴にプレゼントする為にここにきているのに、自分のサイズ調べてどうすんだよ!
「ジュン・・・・・・お前、意味ない事してんじゃねぇよ・・・・・・」
「あら、意味なら、ちゃんとあるわよ。あんたのサイズが分かれば、烈兄ちゃんのサイズも検討付くじゃない。まっ、確実にあんたよりは細いわよねぇ・・・・・・下手すりゃ、私よりも細そうだもん、烈にいちゃん」
小声でジュンに文句を言えば、更に小声で返事が返ってくる。
その言葉に、思わず納得してしまった俺に、ジュンは呆れたように溜息をつく。
「有難うございます。それじゃ、あのケースの中見せてもらいますね。ほら、烈兄ちゃんの指輪選ぶんでしょう?」
店員に礼を告げると、また元の場所に戻るように促された。
「多分、烈兄ちゃんのサイズって、私と同じくらいだと思うんだけど・・・・・・違うようなら、サイズ直しも出来るから大丈夫だし・・・・・・今日中に欲しいんでしょ?烈兄ちゃんの誕生日、明日だから・・・・・・」
何気に言われた事に、何も返せない。
そう、前日だと言うのに、プレゼントを決め兼ねていたが為に、こんな状態になってしまったのである。
烈兄貴に喜んでもらえそうなモノって、分からないから、散々悩んだ結果が指輪。
ずっと一緒に居られるように、願いを込めて兄貴に渡したい。
「良い事教えて上げるわね。あの話には、続きがあるのよ。誕生日の12時調度に贈るのが、決まりなの。だから、今日決めないと間に合わないわよ、豪」
言われなくっても分かっている。
「わ〜てるよ!だから、さっさと選んでくれ、ジュン」
「偉そう・・・・・・いいのよ、私は帰ちゃっても・・・・・・大体、友達を先に帰してまで、付き合ってあげてるんだから、もっと感謝しても、いいと思うけど?」
俺の言葉にジト目で見詰めながら文句を言われて、思わず溜息をつく。でも、言っている事は認めるしかないので俺は、渋々頭を下げた。
「・・・・・・悪かった、お願いします」
「ヨロシイ!な〜んて、もう烈兄ちゃんに似合いそうなの、見付けてるのよねぇ」
俺の言葉に満足そうに頷くと、ジュンは小ケースの中を指差す。
「これ、烈兄ちゃんに似合いそうでしょ?」
ジュンが指差す先を見れば、そこにはシルバーのリングに、半透明の石・・・・・・
こっちはダイヤだと分かる石と、ダイヤの横に黄緑の石。
これは、何の石かは分からないが、小さな石が嵌め込まれている。
「すみません、この指輪、出してもらえますか?」
俺が、その指輪を見詰めている間に、ジュンは店員を呼び付けて、ショウケースを開けさせていた。
「これですか?珍しいでしょう。これ、ダイヤとペリドットのセットなんですよ」
嬉しそうな笑顔を見せながら、店員がジュンに指輪を取り出す。
それを受け取ると、指に嵌めている。
「うん、サイズは問題なさそうだね。豪、どう?これ、あんたの誕生石と一緒になったヤツだから、悪くないと思うけど・・・・・・?」
「あら、そうなんですか?そうですね、デザインも悪くないですし、シンプルだから着けていても邪魔にならないですから、お勧めできますよ。それに、お値段も、予算内に収まっていますからね」
確かにその通り。俺の誕生石とペアになっているなんて、これ以上ないくらいぴったりだ。
俺が、烈兄貴に送りたい気持ちが、ちゃんと形になっているそのリングは、まさにプレゼントとして送りたい物。
「んじゃ、これ下さい。あっ、プレゼント用に・・・・・・」
「はい、有難うございます。それじゃ、専用のケースに入れて、ラッピングしますので、少々お待ちくださいね」
ジュンから指輪を受け取ると、店員は奥へと入っていく。
「サンキュー、ジュン。お陰で、プレゼントが決まったぜ」
奥に姿を消した店員を待つ間、俺は満足気にジュンに礼を言う。正直、こんなに早く決まるとは思っていなかったので、本当に感謝しているのだ。
「どういたしまして・・・・・・でも、良くお金あったわねぇ、バイトでもしたの?」
「当然だろう!この日の為に、春休み返上でバイトしたんだからな」
部活とバイトで、正直かなり苦労した。それでも、烈兄貴の誕生日に、ちゃんとした物を渡したかったから、頑張れたのだ。
「それじゃ、お礼に奢ってもらちゃおうかなぁ・・・・・・」
「げっ、それは・・・・・・」
俺の言葉に嬉しそうに呟かれた言葉は、今の俺にはとてもじゃないがOKできる内容ではない。
「冗談よ。春休みくらいのバイトじゃ、タカが知れてるもんね」
俺の反応に楽しそうに笑いながら、ジュンが俺の財布の中身を見たかのようなフォローを入れる。
それに、苦笑を零すと、俺は思わず溜息をついた。
この指輪代で、俺の財布の中身は殆ど無くなってしまうのだ。
ジュンに奢る金なんて残るはずもない。
「それじゃ私、もう行くね。そうだ、豪。烈兄ちゃんに、明日プレゼント渡しに行くから、宜しく行っといて」
「おう、本当にサンキューな」
「どういたしまして・・・・・・それじゃ、12時に無事渡せる事を、祈っててあげるわね ?」
ジュンが、片手を上げて走り去っていくのに答えて、俺は小さく息を吐き出した。
今日の12時を回れば、烈兄貴は17歳になる。
「よし!気合入れて、渡すぜ!」
俺が、気合を入れた瞬間、中から店員が出てきた。
「・・・・・・お待たせいたしました。こちらが、商品になりますね。金額の方が、消費税合わせまして・・・・・・」
財布から金を取り出すと店員に手渡した。
それと引き換えに、小さな手提げ袋を渡される。
「お釣りの方がございますので、少々お待ちください」
お釣りを受け取ってから、漸く宝石店を後にする事が出来た。
男一人では、やっぱりこう言うところには、居ずらいと思うのは、俺がまだ若いからか?
そうだよなぁ・・・・・・婚約指輪とかは、男一人で買いに行くもんだろうし・・・・・・。
って、違うのか?まぁ、んな事、関係ないけどよ。
でも、出来れば、烈兄貴に・・・・・・無理だろうけどなぁ・・・・・・。
俺は、自分で考えた事に、思わず苦笑を零してしまう。
だが、それでも何時か本当に、渡せたらいいと思う気持ちは止められない。
「何時か・・・・・・本当に、渡せるならな・・・・・・」
自分に言い聞かせながら、俺は急いで帰路についた。
玄関に辿り着いて、俺は何気に腕時計に視線を向ける。PM5:35。
最近、10時過ぎが当たり前状態だったので、 こんな時間に帰ってくるのは、本当に正直久し振りである。
元々から、クラブで帰りが遅いってのもあるし、まだ空が明るい時間に帰宅出来るなんてちょっと感動ものだ。
何時もなら、この時間帯は練習中なのだから・・・・・・。
「ただいま!」
そんなくだらない事を考えながら、俺は玄関のドアを開ける。
俺の挨拶に、何時ものように母ちゃんの声が返ってくると思っていたのに、それは、意外な人物の挨拶で返された
「お帰り、今日は早いんだな」
ニッコリと笑顔って訳じゃないが、意外そうな表情を見せて、烈兄貴が俺の事を迎えてくれる。
「・・・・・・烈、兄貴?」
ドアを開けた瞬間に、兄貴が立っていた事に驚くなって方が無理な話だろう。
「ボクが居ちゃ悪いのか?」
俺が、余りにも驚いたものだから、烈兄貴が少し不機嫌そうに睨みつけてくる。
「嫌、そんな事、ねぇけど・・・・・・母ちゃんは?」
「母さんなら、叔父さんの家に赤ちゃんが生まれたって、出て行ったよ。今日は、あっちに泊まって来るって、さっき電話があった。生まれたの、女の子だって・・・・・・母さんが羨ましがってたよ」
電話の内容でも思い出したのか、烈兄貴が楽しそうに笑う。
まっ、確かに、母ちゃん女の子欲しがってたから、気持ちは分かるけど・・・・・・・。
って、ちょっと待てよ!母ちゃんが今日帰らないって事は、父ちゃんは出張中だから・・・・・・二人きり!?
「豪、二人だけだけど、夕飯どうする?出前でもとるんだったらって、母さんがお金置いてってくれてるけど・・・・・・それとも、何か作ろうか?」
俺が、二人きりって事に意識をしていると言うのに、烈兄貴は以外にもあっさりとその事実を口にして、不思議そうに俺のことを見詰めてくる。
「豪?顔、赤いけど、どうかしたのか?」
どやら、俺の顔が赤くなっているのを目聡く見つけたらしい。
「な、何でもねぇよ・・・・・・ああ、それじゃ、烈兄貴何か作ってよ・・・・・・材料、あるんだろう?」
「あるけど・・・・・・食べたい物でもあるのか?」
慌てている俺に、烈兄貴が更に不思議そうに首を傾げてみせる。
「あっ、えっと・・・・・・生姜焼き!うん、生姜焼き食いたい」
「・・・・・・いいよ、生姜焼きだな。今から作っても十分大丈夫だし、豚肉も調度買い置きあったからなぁ・・・・・・」
俺の注文に、既に烈兄貴の頭の中は、料理の事でイッパイになっているらしく、冷蔵庫の中身を必死で思い出しているようだ。
そんな姿を確認して、俺は胸を撫で下ろして、大きく息を吐き出す。
「んじゃ、俺、荷物置いてくるな。何か、手伝う事あるか?」
「ああ、いいよ。久し振りに、早く戻ってきたんだから、ゆっくりしてろ。それに、お前に手伝ってもらった方が大変そうだ」
俺の申し出を苦笑しながら断って、烈兄貴がキッチンへと入っていく。
それを見送ってから、俺も自分の部屋へと足を運んだ。
ドアを開けて、散らかっている自分の部屋へと入ると、俺は思わずその場に座り込んでしまう。
正直、うちに戻って直ぐに烈兄貴に出迎えられるなんて思っていなかっただけに、さすがに心臓に悪かった。
何時もなら、大歓迎なこの状態も、今日だけはちょっと心の準備が欲しいってもんだ。
「・・・・・・鞄に入れといて、正解だな・・・・・」
苦笑しながら、自分の鞄の中に入れてあった小さい手提げ袋を取り出す。
烈兄貴の誕生日。
今晩、これを烈兄貴に渡すのだと思うと、二人きりのうおいしい状態だと言うのに、ドキドキが止まらない。
「情けねぇよなぁ・・・・・・」
こればっかりは、さすがに自分ではどうする事も出来ないだろう。
もちろん、嫌なドキドキではないのだが、これでは本当に情けない。
「出来た!」
嬉しそうな烈兄貴の声が聞こえて、俺はTVから視線を逸らす。
「豪、出来たぞ、待たせて悪かったな」
続いて、俺を呼ぶ声がしてソファから立ち上げるとキッチンへと足を運ぶ。
時間は既に8:30を回っていて、さすがに俺もお腹が空いている。
「ほら、座れよ、冷めるぞ」
ゆっくりと顔を出した俺に、烈兄貴が笑顔を見せながら声を掛けてきた。
どうやら、料理が巧く出来て機嫌がいいらしい。
本当、烈兄貴は、自分の作るものの味に煩いので、自分の想像通りのものが出来なかったら、不機嫌になる。
母ちゃんとかが作るのには、文句なんて言わずに食べるのに、自分の作った物だけ厳しいなんて、兄貴だよなぁ・・・・・本当。
「いただきます」
お茶碗を受け取って、俺は早速挨拶すると生姜焼きの肉を一つ取ると口に入れた。
あ、兄貴の視線が痛い・・・・・・。
俺の表情をジッと見詰めてくる兄貴に、苦笑しながら口の中の物を流し込むと笑顔を向ける。
「大丈夫。おいしいぜ、ちゃんと」
「・・・・・・だ、誰も聞いてないだろう。いただきます!」
拗ねたようにそっぽを向く兄貴が、可愛い。
訊きたがってるってのは、その表情を見れば分かるから・・・・・・。
思わず苦笑を零してしまうのは、止められない。
「・・・・・・本当、素直じゃねぇよなぁ・・・・・・」
そんな兄貴を見ながら、溜息をついて呟いた言葉に、ギッと兄貴に睨まれた。
それにもう一度溜息をつくと、俺も食事に専念する。
「ごちそうさま・・・・・・どうする、何かお茶入れるけど、なにがいい?」
ぺこりと頭を下げて訊ねられた事に、俺は満足した状態で食器を重ねていた手を止めた。
「そんじゃ、コーヒー。ホットじゃなくって、アイス・・・・・・」
「・・・・・・贅沢な奴だなぁ・・・・・・まっ、良いか。アイスコーヒーな。片付け済ませてから入れてくるから、少し時間掛かるぞ。そうだ!お風呂入といてよ、こっちはボクがやるから」
ニッコリと笑顔を見せると、俺が片付けていた食器を持ってキッチンに入っていく。
俺の返事も聞かずに言われた事は、逆らう事を許さない命令なのだろう。
まっ、それくらいはしないと罰が当たるよな。
なにせ、本当に水を入れるだけなのだから・・・・・・xx
言われた通り風呂場に行って、水を出す。
勿論、温度を確認する事は忘れずに・・・・・・。
っても、本当に烈兄貴って、器用だよなぁ。
家事全般得意な高校生男児って・・・・・・『いい嫁になれる』って、褒め言葉にはならねぇだろうなぁ・・・・・・xx
「兄貴の花嫁姿って、想像しても違和感ねぇよなぁ・・・・・・」
そんな事本人の前で言おうものなら、平手が飛んでくるだろう。
ヤバイ、本当に想像しちまった。
宝石店なんかに行った所為かも・・・・・xx
でも、ちゃんと似合うから、怖いんだよなぁ・・・・・・xx
烈兄貴には、死んでも言えないけど・・・・・。
苦笑を零しながら、リビングへと戻る。
水か溜まるまでには時間が掛かるだろう。
「遅かったな、コーヒー入ってるぞ」
リビングに戻れば、既にソファには烈兄貴が座っていて自分の入れた紅茶を飲んでいた。
その姿を見て、思わず顔が赤くなるのを止められない。
「豪?」
不思議そうに首を傾げる烈兄貴から、慌てて顔を逸らす。
駄目だ。
本当に、烈兄貴の顔、まともに見れねぇ・・・・・・xx
「な、なんでもねぇよ・・・・・・それよっか、お湯入れてるから、烈兄貴先に入れよ」
テーブルに置かれているグラスを手にとると、その冷たい液体を流し込む。
本当、アイスにしておいて正解だ。冷たくって少しほろ苦い味が、今の俺の心を落ち着かせてくれる。
「・・・・・・それじゃ、先にお風呂入るけど、本当に大丈夫なのか?」
心配そうに訊ねられた事に、思いっきり頷いて返した。
それでも、納得出来ないって言う烈兄貴の視線を感じたが、俺はひたすらその視線を無視してしまう。
何も言わない俺に、兄貴は小さく息を吐き出すと、諦めたように部屋を出て行く。
そんな様子を背中で感じって、俺は大きく息を吐き出した。
「・・・・・・こんな調子で、プレゼントなんて渡せるのか?」
自分で呟いた言葉に、もう一度溜息をつく。
正直、かなり自信がない。
俺は、そんな事を考えてもう一度溜息をついた。
夕食を食べて、お風呂に入れば、時計は既に11時半を回っている。
「兄貴、まだ寝てないよなぁ・・・・・・」
俺よりも先に風呂に入った兄貴の姿は、既にリビングにはなかった。
後30分で、烈兄貴の誕生日。正直、胸のドキドキを止められない。
一度、自分の部屋に戻ると、机の上に置かれている紙袋を手に取る。
そして、大きく深呼吸をすると俺は、自分の部屋を出た。
何時もなら、簡単に開けられるドアを、今日はドキドキした気持ちで見詰めてしまう。
ノックなんて、殆どした事ねぇのに、今日だけはちゃんとしようと手を上げた瞬間、俺がドアを叩くよりも先に、それは内側から開かれる。
「何、やってるんだ、そんな所で・・・・・・」
少し驚いたような烈兄貴の言葉にも、俺はそれよりももっと驚いてて、直ぐには答えられない。
だって、ドアをノックしようとした瞬間に、その部屋の主が出てきたら、驚くなと言う方が無理な話であろう。
「春になったって言っても、湯上りにそんな所に突っ立てたら、いくらお前でも風邪ひくぞ・・・」
呆れたように言われた言葉に、漸く我に変える。
「れ、烈兄貴、なんで・・・・・・」
だが、我に返っても、自分で聞きたい事が満足に口から出てこない。
そんな俺の気持ちを察してくれたのだろう烈兄貴が、笑顔を見せて俺の事を見上げてくる。
「なんでって、喉が渇いたから、何か飲み物とって来ようかと思って・・・・・・・お前も、いる?」
少しだけ首を傾げて尋ねるのは、烈兄貴の癖。
「あっ、ああ・・・・・・」
それに、頷いて返せば、満足そうな笑顔が返される。
「了解、ポカリでいいだろう?」
「ああ、十分・・・・・・」
「んじゃ、ボクの部屋に居ろよ。持って来るから・・・・・・用事、あるんだろう?」
笑顔を向けながら尋ねられた事に、大きく頷く。
それに、もう一度嬉しそうな笑顔を見せて、烈兄貴は階段を下りていった。
「・・・・・・緊張するぜ・・・・・・」
最後に向けられた嬉しそうな笑顔が気になるが、今は緊張していて他の事に気が回らない状態。
陸上の競技会でだって、こんなに緊張した事ないのに、胸のドキドキが止まらない。
喉が渇いて仕方ないのは、やっぱり緊張している所為だろう。
烈兄貴が戻ってくる間、俺はどうやってこのプレゼントを渡すかを頭の中で考える。
時計は、既に11:55分を指していて、余り時間がない事を知らせていた。
ポカリを持って来るくらいなら、後数分もせずに、烈兄貴は戻ってくるだろう。
って、思ってる傍から、既に足音が聞こえてくる。
ドアの前で一瞬だけ足を止めて、部屋の主が戻ってきた。
「ほら、豪・・・・・・ポカリ・・・・・・んで、ボクに用事って?」
ドアを開けた瞬間、カンを投げられて、慌ててそれを受け取れば、続けざまに質問を投げつけられる。
「んっ・・・・・・先に、飲んでもいいか?」
今は、緊張の所為で、喉が渇いて仕方ない。
「ど〜ぞ」
俺の質問に、烈兄貴は笑顔を見せて頷いた。
それを確認してから、俺はプルトップを空けると一気に液体を飲み干す。
俺が、凄い勢いでポカリを飲んでいるのに、烈兄貴は不思議そうに俺のことを見詰めてくる、その視線を感じながら、俺は一気に中身を飲み干した。
「そんなに、喉か渇いてたのか?」
余りにも一気に飲み干した俺に、驚いたように呟いてから、続いて自分の持っているカンのプルトップをあける。
そんな兄貴の行動を目で追っていた俺は、何気に時計へと視線を向ければ、既に、11:59・・・・・・。
秒針が少しづつ動いていくのを見詰めて、10秒前になった時から、俺は心の中でカウントを始めた。
・・・・・・5,4,3,2,1・・・。
「HAPPY BIRTHDAY 烈兄貴!」
12時調度に、後ろに隠していた紙袋を烈兄貴へと差し出す。
行き成り言われた事に、俺が差し出したプレゼントと、言った本人である俺の顔を交互に見詰めて、兄貴は一瞬何が起きたのか 分かっていないようだ。
「受け取って、烈兄貴・・・・・・俺の、気持ちだから・・・・・・それが、俺の用事・・・・・・」
「ご、豪・・・・・・」
カンを持ったまま呆然としている兄貴に、ただ袋を差し出していればゆっくりとした手つきで、引き取られていく。
「・・・・・・あ、有難う・・・・・・そっか、今日って、10日なんだ・・・・・・すっかり忘れてた・・・・・・」
驚いたような、それでいて少し照れたように、烈兄貴が俺のプレゼントを受け取った。
「・・・・・・開けても、いいか?」
「どうぞ・・・・・・」
嬉しそうな表情を見せながら、烈兄貴が俺に尋ねてきたそれに頷けば、片手に持っていたカンを机に置いて、紙袋から綺麗にラッピングされている箱を取り出した。
それを、丁寧に開けていく烈兄貴を静かに見守りながら、中から出てきた指輪ケースの姿に、一瞬息を呑む。
「これって・・・・・・」
出て来たのは、ハート型の指輪ケース。
店員は、彼女へのプレゼントだと思い込んでいたから、サービスだと思うけど、淡いピンク色のハート形には、流石にちょっと驚かされてしまう。
「・・・・・・指輪?」
兄貴も気持ち的には、不思議な気分だろう。何せピンクのハート型ケースとくれば、流石に中身だって想像つというもの。
「ケースの方は、俺の趣味じゃないかんな。そんなのより、開けて中、見てよ・・・・・・」
ケースをマジマジと見詰めている兄貴に、俺は促すように声を掛けた。
「えっ、ああ・・・・・・・」
俺に言われるままに、烈兄貴がケースを開ける。
開いたと同時に、烈兄貴が息を飲むのが伝わってきた。
中身を確認した瞬間、兄貴が困ったような表情をする。
「これって・・・・・・・ダイヤだろう?こんな高そうなの、貰えないぞ・・・・・・」
言われるとは分かってたけど、本当に想像通りな反応に、俺は溜息をつく。
「これは、烈兄貴のために、俺が春休みバイトして買ったんだからな。だから、烈兄貴が貰ってくれなきゃ意味がねぇんだよ。それに、これには俺の気持ちが込められてるんだから、返されたら困るんだけど・・・・・・」
「こ、困るって、お前・・・・・・・大体、プレゼントなんて、気持ちだけで十分だろう!それに、ボクは、お前が居てくれるだけで、十分なプレゼントになってるんだから・・・・・・・あっ!」
勢いにまかせて言った言葉と同時に、我に返った兄貴の顔が赤くなる。
「兄貴?」
自分が言った言葉で、顔を赤くした烈兄貴に、俺は一瞬何を言われたのか分からなかったが、もう一度ゆっくりと考えた瞬間、漸く言われた事を理解して、顔を綻ばさせた。
「兄貴v もう一度言ってvv」
「だ、誰が言うかバカ!大体、用事済んだんだろう、出てけよ」
真っ赤な顔のまま、そんな事いわれったて、可愛いと思えるだけ・・・・・・。
「なんで、俺が居るだけで、プレゼントになるんだろう。ずっと、居てやるから、安心していいぜv」
ニッコリと笑顔を見せれば、兄貴の顔がますます赤くなる。
「・・・・・・分かった!ちゃんと受け取るから、そんな事言うな、バカ!」
「ばか、はねぇだろう!大体、烈兄貴が・・・・・・やめた、こんなこと言うためにここに来てるんじゃねぇからな」
人の事をバカバカと言うのは、烈兄貴の愛情表現だって分かるから、今は何も言わずに大きく息を吐き出す。
だが、俺の態度に拍子抜けしたように、烈兄貴は驚いたように瞳を見開いた。
「・・・・・・お前、変なものでも食べたのか?」
何時ものように返さないと、直ぐこれだ。
でも、今日は喧嘩(もといじゃれ合い)をしに来た訳じゃねぇから、聞こえないフリを決め込んで、俺は今だにケースの中に収まっている指輪を横から取り上げる。
「豪?」
俺の行動を不信に思ったんだろう、烈兄貴が不思議そうに首を傾げて見詰めてくるのに笑顔を見せた。
「兄貴、俺は、この指輪買うときにさぁ、烈兄貴とずっと一緒に居たいって言う願いを込めて買ったんだ。だから、困るとか言わないで、受け取ってもらいたい。だって、困るって言われたら、俺の気持ちを否定されてるみたいだから・・・」
すっと烈兄貴の左手を持ち上げると、俺はその薬指にゆっくりと指輪を嵌めてその上からキス一つ。
キザだって言われても、やってみたかったんだから、許してもらいたい。
案の定、烈兄貴の反応は予想通りで、真っ赤になって口をパクパクさせている。本当に、こんな甘いムードってヤツには何時までたっても慣れてくれない。だがそこも、スキだといってしまえばそれまでなんだろうけどな。
内心で舌を出して、もう一度烈兄貴に笑いかける。
「だからさぁ、俺の気持ち、ちゃんと受け取ってくれるだろう?」
「・・・・・・・/// 分かった。困るなんて言わない。でも、一つだけ教えてくれないか?なんで、ダイヤなんだ?」
烈兄貴の思考では、ダイヤ=自分の誕生石ってのが分からないらしい。
そりゃそうだろう、俺だって昨日までは知らなかった。
「・・・・・・4月の誕生石、ダイヤモンドなんだよ・・・・・・ちなみに、横に付いてるのが・・・・・・あれ?なんだっけ・・・・・・確か、俺の誕生石だって、ジュンが言ってたんだけど・・・・・・」
「ジュンちゃん?これってジュンちゃんが選んでくれたんだ・・・・・・すっごく、綺麗・・・・・・あっ、お前の誕生石って事は、これがペリドットって言う石?本当に黄緑色なんだね」
さっらりと俺の誕生石を言える烈兄貴に、俺はびっくりしてしまう。だって、自分の誕生石は知らなかったのに、俺の誕生石は、知ってるって・・・・・・それって・・・
「でも、豪・・・・・・なんかこれ、サイズ大きいみたいなんだけど・・・・・・指輪した事なんてないから、そう感じるのかなぁ?」
俺が、自分の考えに入る込んでいる中、烈兄貴は自分の指に嵌っている指輪を抜き差ししている。
「えっ、サイズ大きい?でも、ジュンの指じゃ、そんな風にはならなかったぜ・・・・・・」
言われた通り見てみれば、烈兄貴の指には、そのサイズは少しだけ大きいみたいで、下手をするとすべり落ちてしまいそうだ。
そんな状態を目の前にしちまうと、改めて烈兄貴の指の細さを実感しちまう。やぱり、ジュンよりも細かったらしい。
「サイズ、直してもらえるけど・・・・・どうする?」
「んっ、いいよ。指輪なんて出来ないから、チェーンで首から下げとく・・・・・・それに、学校にはしていけないだろう?」
当たり前のように言われた事に、ちょっと感動しちまった。
兄貴が、学校にも身に付けていってくれるつもりだって事が、嬉しい。
こう言う時思うのだ。烈兄貴を好きになって良かったと・・・・・・。
すっごく照れやだけど、俺の気持ちを一番に理解してくれて、大事にしてくれる。
恥ずかしい事が嫌いなくせに、時々俺よりももっと凄い事を当たり前のように言ってくれるのだ。
それに、俺がどれだけ幸せをもらっているのかって事、きっと兄貴は知らないんだろうな。
「豪?」
不思議そうに俺のことを見詰めてくる烈兄貴に、笑顔を見せる。
ずっと一緒に居たいから、誕生石を贈ろう。それが、一つの約束。
でも、烈兄貴は知ってるのだろうか、誕生石を贈る理由・・・・・・。
「兄貴、誕生石を相手に贈る理由って知ってる?」
「誕生石を、贈る理由・・・・・・?」
疑問に思った事を素直に聞けば、烈兄貴が首を傾げて見せた。その様子からも、知らないって事を受け止めて、俺は思わず溜息をつく。
これでは、俺の気持ちを贈っても意味がないではないか・・・・・・。
「・・・・・・烈兄貴に、こんなこと言うと怒られるかもしれねぇけど、俺のクラスの女子が話してたんだ。17歳の誕生日に、誕生石の指輪を贈れば、ずっと一緒に居られるって・・・だから俺は、烈兄貴にこれを贈りたっかたんだよ」
言うのが恥ずかしかったから形にしたのに、結局は口に出したら同じである。
でも、間違いなく俺の気持ちを伝えたいから、照れ臭いなんて思わない。
「・・・・・・それじゃ、ボクは来年のお前の誕生日に、ペリドットの指輪を送れば、いいんだな」
またバカにされると思って、覚悟を決めていた俺の耳に聞こえてきたのは、少しだけ照れたように呟かれた言葉。
「・・・・・・お前の指のサイズ聞かないと、贈れないな」
目の前の烈兄貴に視線を向けると、照れたような笑顔を向けられる。
「兄貴・・・・・・?」
「ボクだって、ずっと、お前と一緒に居たいから・・・・・・」
小さく、でもハッキリとした口調で言われたそれに、俺は思わず笑顔を見せた。
気持ちは、確かに伝わるから・・・・・・。
「本当、兄貴って、俺を幸せにするの巧いよなぁ」
「豪?」
自分の気持ちにちゃんと返ってくる言葉がある。それが、どれだけ大切な事だって知っているから、もう一度感謝しよう、兄貴がこの世に生まれて来てくれた事を・・・・・・。
「・・・・・・有難う、俺の兄貴に生まれてきてくれて・・・・・・誕生日おめでとう、烈兄貴・・・・・・」
「・・・・・・どういたしまして・・・・・・ボクからも、有難う。最高のプレゼントだよ」
俺に指輪が見えるように、手の甲を見せてウインク。
それに、俺は笑顔を返した。
君が生まれて17年目の今日。
その日に贈る物は、誕生石の指輪。
ずっと一緒に居られるように、願いを込めて贈ろう。
5月は、エメラルド。 6月ムーンストーン、7月にルビー。
8月ペリドット、9月サファイア、10月オパール。
11月トパーズ、12月はトルコ石に、1月ガーネット。
2月にはアメジスト、3月アクアマリン。
そして、君の生まれた4月の誕生石はダイヤモンド。
それは、約束。
ずっと一緒に居るための一つの願い。
― END ―

手直しって言っても、ただ単に長くなっただけと言う・・・・・・xx
だってだって、夕飯風景書きたかったんです!!(言い訳・・・)
本当に、時間切れで断念したシーンを付け足しただけなんですよね・・・。
でも、あいこさんが言って下さらなければ、日の目を見ることは無かったでしょう。
有難うございます、あいこさん。奇特な事を言ってもらえて嬉しいです。
でも、これ読んで後悔するかも・・・・・・(((文句はいくらでも聞きます、はい。><)
限定小説読んで下さった方、本当に有難うございました。
そんな訳で、一様新しくなったので、前のとくらべて見てください。
読み抜かった方、殆ど変わっていません。元からこんなバカなお話ですよ。<苦笑>
ただ、付け足されただけの話なので、土台は一緒。
どちらの方にも、満足していただければ幸いでございます。(こんな話じゃ、無理だって!)
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