〜 露天風呂にいきましょう 〜





「・・・・やめろって、いい加減にしないと、本気で怒るぞ!」

 言うと同時に、そのままその頭に拳を落とす。

「いってぇ〜」

 頭を思いっきり殴られた所為で、豪は頭を抱えて痛みに耐えている。

「自業自得だ!」

 そんな豪を前に、烈は盛大な溜息を付くとそのまま視線を豪から外す。
 今居る場所が場所なだけに、自分に触れてくる豪にはっきり言って困っているのだ。

 露天風呂。
 お風呂好きな自分が、ゆっくりと浸かっていようと思っていた所に、邪魔するかのように現れた人物。
 いや、ここで素直に大人しく入ってくれているのなら、自分に文句など無いのだが、何かって言うと自分に触れてくる相手に流石に困りだしていた。

「何で、いいじゃんか!ここは、個室なんだぜ。誰も来ねぇんだから、気にする事ねぇだろう!!」

 殴られた痛みから漸く立ち直った豪が、呆れたように景色を見ている烈に文句を言う。
 確かに、部屋についている露天風呂なので、誰かが入って来る心配は全く無い。
 しかし、まだ日も高い上に、外の景色が一望出来るこの露天風呂で、そういう気分には流石になれないのだ。

「・・・・・・十分気にするに決まってるだろう、バカ!大体、こ、こんな処で、何でそういう気分になるんだ、お前は!!」
「なれるに決まってんじゃん。こんな見事な露天風呂に、烈兄貴と二人っきり。これ以上ない状況じゃねぇかよ」
「お、お前はそうかもしれないけど、オレはそんな気分じゃないんだ!オレの邪魔するって言うのなら、追い出すぞ」

 真剣にお怒りだした烈に、豪が「チェッ」と舌打ちした。
 自分の前で「オレ」と言い出した烈が、本気で怒っているという事が、自分には嫌と言うほど分かってしまう。

「ここに来れたのが、俺のお陰だって少しぐらい感謝しても、罰は当たらねぇと思うのによぉ・・・・・・」

 ブツブツと小さな声で文句を言えば、呆れたような視線で見られて、直ぐに逸らされてしまった。
 こに来れたのは、自分が商店街の福引で2等賞の豪華旅館を当てたからなのだ。
 烈を初めに誘った時は、両親に渡すべきだと言っていたのだが、その両親が二人で行って来いと言ってくれたお陰で、今にいたるのである。
 勿論、両親の方は別の旅行計画があるので、自分達だけで行く事を進めてくれたのだが・・・・・・。

「・・・・・感謝はしてても、お前みたいに何時でもそんな気分になれる訳ないだろう・・・・・・」

 ブツブツと文句を言う自分に、そっぽを向いたままでポツリもらされたそれに、豪は驚いて視線を烈に向けた。

「烈、兄貴?」
「ボクが、温泉とか好きなの知ってるから、父さん達にお願いしたって事知ってるよ・・・・・・ここに来れたのは、お前のお陰だって事も、ちゃんと分かってる」

 溜息を付きながら言われた事に、豪は驚いて瞳を見開く。
 知らないと思っていたのだ、自分が両親に二人だけで旅行に行きたいと我侭を言っていた事を・・・・・。

「あっ、烈兄貴、何で・・・・・・」
「言われなくっても、お前の考えてくる事ぐらいちゃんと分かるに決まってるだろう!」

 少し呆れたように言われたそれに、豪はグッと言葉を詰まらせた。
 別に、両親は直ぐに納得してくれたから問題はないのだ。
 しかも、烈に日頃の感謝を込めて連れて行きたいと言えば、即頷いて貰えると言うもである。
 それだけ、両親から見て、自分は烈に迷惑を掛けていると見られているのだと分かるのだ。

「お前、こんなに長い時間お風呂にはいてるのに、大丈夫なのか?」

 言葉を返せず俯いていた自分に、烈が少しだけ心配そうに声を掛けてきたことで、豪は一瞬首を傾げて見せた。

「何が?」
「・・・・・お前、ボクと違って、長風呂じゃないだろう。のぼせたりしないか?」

 そう言われて、確かにかなりの時間風呂に浸かっている事を思い出して、思わず納得してしまう。
 家では殆ど烏の行水のような入り方をしていたので、烈にそう言われても仕方ない。
 だからと言って、自分が長風呂が嫌いな訳ではないのだ。
 別に長時間入っていたからと言って、簡単にのぼせたりはしない。

「ああ?別に、平気だぜ・・・・なんだよ、烈兄貴、俺が邪魔なのか?」
「べ、別に、そうは言ってないだろう!」
「あっそ、ならいいじゃんか・・・・でも、何も出来ねぇんなら、俺は先に上がるぜ」
「えっ?豪!?」

 言うが早いか、豪が風呂から上げってさっさと中に入っていく。
 それを見送りながら、烈は小さく息を吐き出した。

「・・・・・いやな訳じゃないんだよなぁ・・・・恥ずかしいってのは、どうにも出来ないんだぞ、豪・・・・・・」

 ポツリと呟いて、もう一度溜息をつく。
 この旅行に対して、ちゃんとそう言う覚悟はしていたのだが、やっぱり太陽が出ているこんな時間にそう言う気分にだけはなれないのだ。

「・・・・・・今更だって、言われそうだけどな・・・・・」

 苦笑をこぼして、烈はゆっくりとお湯を掬い上げた。
 少し濁りのある白いお湯が、掌から零れていくのをたじっと見詰めながら、もう一度だけ苦笑をこぼした。








 

  

      

 



    

     って事で、1502ゲッターのHYATTさんリクエスト小説です。
     題名間違えてるよ、もう行ってるじゃん、二人とも・・・・<>
     しかも、無茶苦茶な所で終わってる死・・・・xx

     んでもって、『露天風呂』それはクリアーしてるんですが、
     その後はここでは書けないので、リタイアです。(要するに、これの続きね。完全体じゃないって事ですよ)
     その内、こっそりとUPするかもですので、それまでお待ちいただければ幸いですね。
     ええ、この小説から行けるように、こっそりとね。(笑)
     その時には、更新で分かるようにしますので、探してみてください。
     隠すのヘタだから、直ぐばれると思いますけどね。<苦笑>

     そんな訳で、HYATTさんお許しを・・・・・・xx