ずっと、自分は汚いものだと言われていた。
だから、自分が綺麗なものに触ると、それを汚してしまいそうで、怖かったのだ。
実際に、初めて自分から触ろうとしたら、酷く怒られた事を良く覚えている。
だからその時、自分から、触る事はダメなのだと、そう思っていた。
でも、綱吉が教えてくれたのだ、シャワーに入ると、綺麗になれるって
こんな自分でも、綺麗になれるかもしれないのだと思うと、とっても嬉しかった。
気味の悪いガキと言われ続けていた自分でさえも、受け入れてくれた綱吉たちだから、その言葉を信じたい。
綱吉と一緒にシャワーを浴びて、昨日と同じように頭と体を洗って貰った。
あわあわしたそれは、とっても優しい香りがして、本当に綺麗になれるような気がする。
「それじゃ、流すから目を閉じてね」
そう言われたので、ギュッと目を閉じたら、頭から温かな水が流れてきた。
シャワーって、ずっと冷たい水しか出ないものだと思っていたけど、ここのシャワーは、とっても温かい。
そう言えば、昨日のお風呂は、とっても熱かった。
でも、綱吉が入っていてと言ったから、熱くても我慢して入っていたら、頭がクラクラして、その後の事は覚えていない。
「もう開けて大丈夫だよ」
温かな水と、綱吉の手が頭に触れているのを感じていれば、その手が止まり優しい感触の物で顔を拭かれてから、また声が掛けられる。
それにゆっくりと目を開いたら、目の前に綱吉の顔があって、少し驚いた。
「はい、綺麗になった。後は、髪を乾かしてから、寝ようか」
わしゃわしゃと頭を柔らかなモノで拭かれて、ニッコリと笑った綱吉に言われた言葉に意味が分からないままに頷けば、何時も着ていた服と同じような物を着せられて、ふっかふかの大きなべっどって言うのに座らされる。
こんな綺麗な所に居てもいいのか不安に思うけど、綱吉が『そこに居てね』って言うから、ここから動けない。
何をされるのか分からなくて、不安に思って綱吉を視線で追い掛けていれば、手に何か不思議なものを持って戻ってきた。
「?」
「これは、ドライヤーって言って、髪の毛を乾かすものだよ。リボーンには怒られるけど、オレは自然乾燥派なんだよね。だけど、雪の髪は綺麗だから、ちゃんとした方がいいと思うんだ」
綱吉が持っているものが分からなくて、じっとそれを見詰めていれば、不思議に思っていたのが伝わったのか、手に持っていたそれの事を教えてくれる。
どらいやぁと言うのが、良く分からなかったので首を傾げた瞬間、ブオーって凄い音がして、ビックリした。
しかも、良く分からないけど、その機械から出てくるのは、ちょっと熱い風。
それが、自分に向けられると思うと、とっても怖い。
「雪?」
それを綱吉が自分に向けた瞬間、ギュッと目を瞑ってしまう。
「ご、めん、なさい、ごめん、なさい」
出来るだけその風が当たらない様に、自分の体を抱えるようにして、小さくなる。
ここに来て、初めて怖いと思ったのは、どらいやぁって言うものだった。