リボーンの出て行った部屋で、もう一度ため息をつく。

本当に、こんな気持ちは初めてだ。
自分で、自分の気持ちが分からないなんて

「……その原因が、(セツ)にあるって事だけは分かってるんだけど……」

呟いて再度ため息をつく。

本当に、どうしてこんな気持ちになるのだろう。

買い物だって、本当は自分が一緒に行きたかった。
武が言っていたように、自分も雪の可愛い姿を見てみたかったのだ。
だからこそ、武が嬉しそうに言った時、羨ましいとそう思った。

そして、自分では警戒されたのに、リボーンは警戒されない事にショックを受けたり、本当に、訳が分からない。
あの子が、自分に心を開いてくれない事が、こんなにもショックだったのが

「本当に、何なんだろう、この気持ちは……」

ああ、またリボーンにダメツナって言われるだろうなぁ。
自分の気持ちさえ、分からないなんて、本当に我ながら情けなくなる。

「ダメツナは、とっくに返上したつもりだったんだけど、なぁ……」

自分の呟きに、またため息をつく。
何時まで経っても、オレはダメツナのままなのかもしれない。

「はぁ、取り合えず、部屋に戻らないと……」

気持ち良さそうに眠っている雪に、視線を向ける。
起こすのは、気の毒だけど流石にここで寝かして置く訳にはいかない。

でも、どう考えても、雪を起こさずに連れて行くのは自分には無理そうだ。

気配を消して近付く事は出来るが、抱き上げればどんなに気配を消しても警戒されてしまう事は分かっている。

「折角寝てるんだけど、仕方ないよね」

このままここに居る訳にもいかないし、流石にオレも疲れたから部屋に戻って休みたい。

そう考えて、椅子から立ち上がり雪の方にゆっくりと近付く。
そろそろ雪が起きてしまうだろう程の距離に近付いて、思わず身構えてしまった。

「あれ?」

だが、予想に反して手が届く範囲に近付いても、雪が起きる気配がない。
リボーンと違って、今のオレは気配を消してないのに、起きないなんて

「オレには、気を許してもらったと思ってもいいのかな?」

そっと、手を伸ばして雪に触れる。
一瞬ピクリと小さく反応したが、それだけで目を覚ます事はない。

ああ、この気持ちは、なんて言うんだったかな?

「……愛おしいって、気持ちなのかな?」

胸に浮かんだその言葉を口に出して、オレは小さなその体をゆっくりと抱き上げた。