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なして、こないな事が出来るのか分からへんのやけど、オレにしか見えへんかったジョットが、周りの人にも見えるようになっとった。
いや、確かにジョットから、自分で説明すると言われたんやけど、普通はそないな事信じられる訳あらへんやろう。
やけど、綱吉言う人の指輪が火事になったとたん、ジョットの姿が他の人にも見えるようになったんや。
そんでもって、綱吉言う人は、ジョットの事をプリーモと呼んどるんやけど
実は、ジョットの苗字なんやろうか?
「……なぜ、プリーモがそいつと一緒に居るんだ?」
疑問に思っているオレを他所に、黒づくめの子供が、ジョットへと質問を投げ掛ける。
黒づくめの子供も、綱吉言う人と同じように、ジョットの事をプリーモと呼んどるって事は、やっぱり愛称なんやろうか?
本名の方が呼び易い思うんは、オレだけか?
「お前達、今日は大阪へ日帰り旅行に行っただろう。それにデーチモに憑いている私も同行していたんだが、この子には姿を具現化していないのに見られていたから興味を持ったのが始まりだ」
「えっ?!プリーモって、オレに憑いてるの?!」
子供の質問に淡々とした口調で説明するジョットに、綱吉言う人が驚きの声を上げる。
なんやろう、今、そこが重要な所やないと思うねんけど……
でもきっと、綱吉言う人には、大事な事やったんやろう。
「何を言っている。私は、指輪に残るモノだと言ったと思うが」
「へぇ〜、んじゃ、オレ等の指輪にもそれぞれ初代の守護者が憑いてるって事なのな」
綱吉言う人の驚きの声に、ジョットがあっさりと説明する。
説明された内容に、オレの事を助けてくれた少年が先程のまでの警戒心を解いて笑顔で口を開いた。
何て言うんやろう、この少年の適応能力言うんやろうか、めちゃめちゃ良くないか?
銀色の髪の少年は、まだオレの事を警戒しとるみたいやねんけど、なぁ。
きっと、人見知りとは無縁何やろう、ちょっと羨ましい。
「そう言う事か……」
黒づくめの子供もジョットが出てきた事によって、オレへの警戒は薄れたみたいや。
本人が説明しとるんやから、それでもまだ警戒されても困るんやけど
何やろう、並盛中で知り会うた雲雀恭弥といい、ここの並盛は不思議なところや。
だって、こないに短時間でオレの言う事を信じてくれる人が仰山居るなんて、初めてなんやから
まぁ、ジョットの場合は、ちょっと特殊やから信じるしかあらへんのやろうけど
「そ、それじゃ、オレを見てプリーモの名前を呼んでも全然可笑しくないし、オレ達この子にとんでもない言い掛かり付けちゃった事なるんじゃないの!?」
納得した子供の呟きを聞いて、綱吉言う人が困惑した声を上げる。
まぁ、その通りやから、否定せぇへんのやけど
「ツナの言う通りなのな、悪かったな」
「けっ!そいつが紛らわしい態度をとるのがいけないんですよ!!」
綱吉言う人の言葉に、オレを助けてくれた少年が素直に謝罪してくれたんやけど、銀髪の少年は謝る気ゼロ。
別に、オレかてもう気にしてへのやから謝ってもろうても困る。
確かに、紛らわしい事した言う自覚はしっかりもっとるし、でもなぁ、突然目の前に自分の知っとる人と良く似た奴が居ったら、思わず名前をつぶやいてしまうんは、仕方ない事やと思うねんけど
「獄寺くん!今回は、誤解したオレ達が悪いんだから、素直に謝ろうよ」
そないな銀髪少年に、綱吉言う人が嗜める様に口を開く。
「気にしてへんよ。オレが紛らわしい事した言うんは、事実やからな」
困ったような表情を見せとる綱吉言う人……なんや、面倒になってきたから綱吉はん言う事にしよう、勿論、心の中でだけやけど
綱吉はんの言う言葉に、オレは小さく首を振って返す。
気にしてへんのはホンマのことやし、銀髪少年の言うことやって、間違いやないねんから無理に謝る必要はあらへん。
「野球馬鹿と違って、分かってんじゃねぇかよ」
思った事を口にしたオレに、銀髪少年がちょっと緩和した態度を返してくる。
なんや分からんのやけど、好印象に取られたように思うんは気の所為やろうか?
なして、態度が緩和されたんか分からへんオレが思わず首を傾げてしまえば、綱吉はんが苦笑を零しとるのに気付いた。
「獄寺くんは、あれが何時もの事だから、気にしなくて大丈夫だよ。でも、本当に誤解して、言いたくない事まで言わせちゃって、ごめんね」
視線を綱吉はんに向けたら、こちらからも謝罪の言葉を貰うてしまう。
そして、言われたその内容に、オレは驚いて瞳を見開いて綱吉はんを見詰めてしもうた。
本当は言いたくない事。
それは、オレが幽霊言われるんが、見える言うた時の事や。
この人、気付いとったんか?!
「なして……」
ほわほわしとる上にお人好しそうな人やのに、まさか気付かれとるなんて思いもせぇへんかったんや。
気が付いたら、聞き返すように、口を開いとった。
「気に障ったんなら、謝るよ、ごめんね。君がね、自分の事を言った時、震えていたから……」
聞き返したオレに、綱吉はんが少しだけ困ったような表情で謝罪しながら理由を教えてくれる。
確かに、あの時オレは震えとった事は否定できへん。
だけど、それを気付かれとったなんて、想像もしてへんかったんや。
綱吉と言う人は、見かけに騙されとったら、あかん言う事やろうか?
「心配しなくても、お前を傷付ける者はここには、居ない」
怖いと思った瞬間、直ぐ傍から聞いた声が聞こえて来た。
知ったその声に安心して、ホッと体から力を抜く。
「ああ、脅しちまった事は、謝罪するぞ。悪かった」
ジョットに続き、黒づくめの子供が素直に謝罪の言葉を口にして、頭を下げる。
まさか、この子供がこないに簡単に頭を下げるやなんて思いもよらんかったオレは、ちょっと驚いてしもうた。
「リボーンが素直に謝るなんて珍しいな」
「悪いと思ったんなら、謝るのは当然だからな」
綱吉はんもオレと同じで、子供が謝った事に驚いとるんやから、オレが思った事は間違いやないやろう。
やけど、続けて言われたその言葉に、この子供も綱吉はんと同じように、オレがあの時怯えていた事に気付いていたんやと言う事が分かった。
だからこその、謝罪なんやと
「…………ほなら、オレへの用事は終わったんやろう?もう、行ってもええんか?」
謝罪された言う事は、オレへの疑いは晴れたと思ってええんやろうと、少しだけ震える声で質問する。
「ああ、プリーモが世話になったみたいだからな、礼を言うぞ」
オレの質問に、子供が返して来たその内容を聞いて、思わずジョットを見上げてしまう。
そうやった、良く考えたら、ジョットの宿主?言うんやろうか…が、見つかったんやから、当然ジョットとはここでお別れなんやな。
オレがジョットを見れば、少しだけ困ったような顔をしたジョットが見詰め返してくる。
「……短い間やってんけど、一緒に居れたんは、楽しかったで」
そないなジョットに、オレは精一杯の笑顔で返す。
ほんまは、一日も一緒に居らんかったはずやのに、もっと前から一緒に居ったような気がするくらい、離れるんが寂しい思うんは、しゃーないやろう。
ああ、これで、ほんまに一人になるんやなぁ。
「ほんなら、オレはもう行くな」
「行くって、一人で大丈夫なの?送って行こうか?」
さっさとこの場所を去りたい思うて、口にしたオレの言葉に綱吉はんが慌てたように質問してくる。
な、何やろう、一人で大丈夫とか、偉い子供扱いされとるように思うんは気の所為やろうか?
「オレは、一人でも大丈夫や」
だからこそ、精一杯の言葉で返した。
そうや、ジョットが居らんようになるんやから、本当にオレは一人になるねん。
だからこそ、誰にも頼ったらあかんのや。
口に出した精一杯の言葉は、誰に向けて言った訳でもなく、自分自身に言い聞かせる為の言葉やったのかも知れへん。
思いを振り切るように、ジョット達に背を向けて歩き出そうと一歩を踏み出した。
が、歩き出したとたんグイッと後ろに引っ張られてしまう。
な、なんや?一体、何が起こっとるんや?
驚いて状況を確認しようと周りを見回せば、困ったようなジョットの顔が目に飛び込んでくる。
「…………、言い難い事なんだが、お前との繋がりが切れてないようだ……」
な、なんやってぇ〜!!
そして、言われたその言葉は、その場をカッコ良く去ろうとしとった自分に、とんでもない衝撃を与えてくれたんは、言わんでも察してもらえるやろうか……。
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