今日は、が月に一度の定期健診の為に病院。
オレも一緒に行きたいと思っているのだけど、それはずっと前からに断られている。
だから、が戻ってくるのを心配しながら待つしかないのだ。
そんな日に、何でこんな事になったのか、ちょっとだけその原因を作った相手に殺意が浮んだのは仕方ない事だろう。
何時もの時間になっても、階下から母さんの作る料理の匂いがしてこなかったから、可笑しいとは思っていたんだけど
夕飯の時間になったので、母さんに呼ばれる前に階下へと下りる。
そろそろも帰って来る頃だからと言うのが、一番の理由だけど
「ごめんなさい、今日の夕飯ないのよ〜っ」
階段を下りる時にも、やはり何の料理の匂いもしない事に可笑しいよ思いながらキッチンに入った瞬間、テーブルの椅子に力無く座っている母さんがそんな言葉をくれた。
行き成りの言葉に、そろそろ夕飯だろうとキッチンに集まってきた居候達がそれを聞いて驚きの表情を見せる。
そして、派手に物が落ちる音が聞こえて振り返ったら人間爆弾とバカ牛が持っていた箸と茶碗を落として驚愕の表情をしていた。
どうやら、夕飯が無い発言に対して、居候全てがショックを受けているようだ。
「おサイフすられたみたいなのよ〜最近、この辺りでスリやひったくりが多いって聞いてたから、気をつけてたつもりだったんだけど…………」
そう言って、母さんが珍しくため息を付く。
頭を抱えている状態から見ても、かなり落ち込んでいるのが見て分かった。
そして、母さんの言葉を聞いた瞬間、リボーンは無言で銃を構え、ビアンキは手にポイズンクッキングを持ち、人間爆弾は拳法の構えを見せ、バカ牛はモジャモジャ頭の中からパイナップル爆弾を取り出す。
明からに、今からそのスリを殺るぞと言う4人のその姿にオレは盛大なため息をつく。
「とりあえず、今晩は買い置きしてあるカップ麺があるのに、食わないのか?」
このまま放って置いても面倒になるのは流石に望むところではないので、キッチンから出て行こうとしている4人に向けて声を掛ければ、その足がぴたりと止まった。
「私とんこつ」
「オレミソだぞ」
「オレっちシーフード」
『イーピンにんにくがいいアル』
そして、クルリと向きを変えると口々に自分が食べたいものを口に出す。
その切り替えの早さを目の前にして、再度ため息を付いた。
「心配ねーからな、ママン。明日から、スられないように護衛してやるぞ」
「まあっありがとう!たのもしいわ〜!」
それから、買い置きしてあった夜食用のカップ麺を袋ごとテーブルの上に置いた瞬間、リボーンが母さんを安心させるために口を開けば、嬉しそうにそれに返事を返す。
こんな子供に護衛してもらって、どう頼もしいんだ?
「勿論、ツナもやるんだからな」
「……なんで、そうなるんだ?」
「そんな事言っていいのか?ダメが、自分が行くと言い出すぞ」
心の中で疑問に思っていれば、リボーンが決定事項だと言うように声を掛けてくる。
その言いように不機嫌な声で返せば、小声で言われたその内容に、口を閉ざす。
それは、考えなくても分かることだ。
の事だから、心配して母さんの買い物に付き合うと言う事なんて分かり切っている。
今だに病院から戻って来ないの事を考えれば、無茶をして注意されていると考えた方がいいだろう。
なら、母さんと一緒に買い物に行かす訳には、行かないだろう。
「……オレも行けばいいんだろう!」
「有難う、ツっくん!」
複雑な気持ちで返事を返せば、母さんが嬉しそうに抱き付いて来た。
それにもう一度ため息をついて、今日の夕飯となったカップ麺を食べるためにお湯を沸かして準備を始める。
漸くカップ麺が食べ頃になって皆がそれを食べ始めた時に、玄関から帰りを待ち侘びていた人の声が聞こえてきた。
「ただいま」
挨拶と共に、足音が近付いてくる。
そしてその音の主がキッチンへと顔を覗かした瞬間、不思議そうな顔をした。
「ただいま、何があったの?」
もう一度挨拶してから、状況が理解できないと言うように質問してくる。
まぁ、母さんが落ち込んでいる上に、夕飯がカップ麺なんだから、不思議に思っても仕方ないだろう。
「ああ、お帰りなさい、ちゃん。病院に行って疲れてきているのに、料理も作ってなくてごめんなさいね」
「いや、それは全然問題ないんだけど、一体何があったの?」
に気付いた母さんが、申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にすれば、再度心配そうに質問してくる。
その表情から、本気で母さんの事を心配しているのが分かった。
「それがね、母さんおサイフすられたみたいなのよ」
再度のの質問に、母さんがオレ達に言った時と同じようにため息をつきながらに理由を話す。
「スられたって、お財布を?!」
「ええ、だから、買い物できなくて、今日はカップ麺になっちゃったの、ごめんなさいね」
その言葉に、が驚いて質問した事で、また母さんが謝罪の言葉を口にした。
そんな母さんを前に、が心配そうな表情を見せる。
きっと、母さんの事を心の中で気遣っているのだろう。
「俺は、そんなの気にしないけど……明日も買い物に行くんだよね?大丈夫??」
「お財布の中にカード類は入れてなかったから、お金は下ろして来られるから大丈夫よ」
「心配いらねーぞ、オレ達がママンの護衛につくからな」
予想通り、心配そうにが母さんに質問。
その質問に、母さんが返して続けて口を開いたのは、偽赤ん坊。
カップ麺を食べ終えたのだろう、満足そうな表情をしながら言われたその言葉に、が不安そうな表情を見せたのは、本当に一瞬。
「お目付け役に、オレも行くから大丈夫だよ」
それに気付いて、小さくため息をつきながら安心させるように口を開く。
「えっ?ツナも行くの?!なら、俺も一緒に行った方がいいかな?」
「心配しなくても大丈夫だから、は家で留守番してて、病院であんまり無理しちゃダメだって言われたんだろう?」
オレの言葉に、が驚いたように返してきて、心配そう問われた内容にもう一度ため息をついて質問するように聞き返す。
今日、定期健診の為に帰りが遅かったのは分かっているけど、それでも何時も以上に遅かったのだ。
そこから考えられるのは、医者から念を押されていたからと言う事が簡単に想像できる。
「言葉に詰まったって事は図星みたいだね。それじゃ、はお留守番決定だから」
オレの質問にが言葉に詰まったのが答えと、決定事項だと言うようにに言えば、不機嫌そうな表情を見せた。
だけどそれは一瞬で、次には何処か寂しそうな表情をしたと思ったら、決めたと言うような顔をする。
本当に、は分かりやすいよね。
「ちなみに、ケーキ作りもダメだから!立ったままの作業が負担になるんだから、ケーキを作りはタブーだよ」
の表情から何を考えたのかが分かったオレは、ため息をつきならしっかりとダメ出し。
オレがダメ出しした事で、が驚いたようにオレの事を見てくる。
どうやら、オレが思った通りの事を考えていたようだ。
「そうねぇ、ケーキを作るのは、立ち作業になっちゃうから、お医者様に無茶はダメって言われたのなら、やめておいた方がいいわね。ちゃん、お土産にケーキを買ってくるからお留守番よろしくね」
オレが言ったその内容に、母さんもの事を心配してダメだししてくれる。
流石に、母さんからもダメだしが出てしまった事で、が面白くなさそうな表情をしたけど、どうやら納得したようだ。
「……明日、大人しくしてるから、お土産に紅茶の葉買ってきてくれる?」
だから、精一杯の妥協策だと言うように、心配そうにオレの事を見ながら言われたその言葉に、一も二もなく頷いて返した。
オレが簡単に頷いた事で、はかなり驚いて、何度も確認するように問い返してくる。
「ほ、本当にいいの?!俺が良く行く紅茶の店知ってるよね?」
「うん、知ってる。あそこには、ハーブ系のオイルも売ってたね。それじゃ、一緒に買ってくるから」
心配そうに質問してくるに対して、ニコニコと笑顔で返せば、流石にそれ以上何も言わなくなった。
多分にとっては精一杯の意地悪だったんだろうと思うけど、そんな可愛い事言ってもらえるなんて思わなかったから、逆にオレとしてはかなり嬉しかったのだ。
だって、は滅多に我侭な事を言わないんだから
だから、買いに行く店がかなりの少女趣味な店でも気にならない。
オレとしては、が喜んでくれるのなら、それがどんな店でも平気で入って行けるのだから
翌日、大人数での買い物に出掛ける事になった。
家を出てくる時に、まだは寝ていたから、今日はまだ顔を見ていない事だけが今のオレの心残りだ。
の事だから、一人で留守番する事になったので、今日は不貞寝する気満々なんだろうけど
今意気揚々と、子供3人がオレ達の前を歩いている。
その後ろをオレと母さん、ビアンキが並んで歩いているのだから、大人数で迷惑極まりない。
「お前ら、幅とって歩くなよ。他の人の邪魔になるだろう」
ズンズンと歩くオレ達に、人の視線が痛い。
まぁ、この人数なのだから、目立つなと言う方が無理な話だろう。
「これくらいしねーと護衛にならねーからな…ん」
オレの言葉に、偽赤ん坊が平然と返して来る。
それが、十分迷惑な話なんだけど……
「ママン、ここのコーヒー豆のコーヒーが飲みてーぞ」
「じゃあ、買って行きましょうか」
リボーンの言葉にため息を付いた瞬間、その相手から言われた内容に、母さんが指された店に視線を向ける。
そこはコーヒー専門店で、確かに人気の高い店だ。
オレも、ここのコーヒーは確かに好きだけど……
「ランボさんはソフトクリーム!!!」
「はいはい。しょーがないわね――」
更に、続いてバカ牛が看板のソフトクリームに抱き付きながらのオネダリ。
それに対しても、母さんはニコニコ笑顔で頷く。
オレとしては、鬱陶しい以外の何ものでもないんだけど
『イーピン、甘栗が欲しいアル』
「はいはい、イーピンちゃんは甘栗食べたいのね――」
くいくいと母さんの手を引いて甘栗屋を指差すイーピンに、その言葉が分からなくても何を言いたいのか理解したのだろう母さんがこれまた笑顔で返す。
それら全てに対して、笑いながら答える母さんは、まさに大物。
更に、ビアンキまでもが何かを買ってもらおうと母さんに纏わり付く。
4人同時に懐かれている母さんは、それでも笑顔を絶やさない。
「って、お前ら何しに来てるんだよ!!!」
そんな目の前の状況に、頭を抱え込む。
本気でこいつら強請りに来ただけじゃないのか?
オレの怒りに気付いた母さんが慌てて謝罪してくるが、しっかりと皆が欲しいと言うものを買っているのは、甘やかし過ぎだ。
「ツっくんは、ちゃんのお土産買いに行かなきゃいけないんじゃないの?」
「いや、オレはお目付け役で来てるから……」
呆れているオレに気付いたのだろう母さんが、問い掛けてくるその内容に小さくため息をつく。
どう考えても、こいつらから目を離したら大変な事になりそうだ。
「ここはいいから買ってらっしゃい。母さん一人で大丈夫よ」
心配しているオレに対して、ニコニコと何時もの笑顔を見せている母さんが安心させるように口にしたその言葉に苦笑を零した。
まぁ、確かにこのままだとまだ買い物にはならないだろう。
なら、その前に用事を済ませた方がいい。
「なら、先に買ってくるよ。直ぐに戻ってくるから」
「行ってらっしゃい」
にこやかに送り出してくれる母さんに感謝しながら、が珍しく言ったお願いを聞き入れるために一旦母さん達と離れた。
それからに言われた紅茶の葉と、ハーブオイルを買ってオレが母さん達の所に戻った時に、何故か爆発音が聞こえて来たのは気の所為だと思いたい。
「…なんか、爆発音が聞こえたのは、気の所為だよね?」
「あら、お帰りなさいツっくん。爆発音?ああ、今日は日曜ですもの、きっとイベントの準備をしているのよ」
「ああ、イベントの準備か……最近嫌でも爆発音に敏感になってるんだよね」
その音にうんざりして呟いたオレに気付いて母さんが声を掛けてきたその言葉に、納得する。
今日は日曜で明日は祝日なのだから、何かイベントがあっても不思議じゃない。
「いいのあった?」
「うん、が言って新作の紅茶の葉と、ハーブオイルをばっちりね」
納得したオレに、母さんが質問してきたそれに返事を返して買って来たその袋が見えるように手を上げた。
そんなオレに、母さんが嬉しそうに笑みを見せる。
「ふふ、ちゃんが珍しく我侭言ってくれたのが嬉しくてたまらないって顔しているわよ、ツっくん」
「まぁ、事実嬉しいからね」
我侭を言わないが、意地悪するつもりだったとしても、言ってくれた内容が嬉しかったから
「それじゃ、早く買い物を終わらせて、帰りましょうか」
素直に言ったオレに対して、嬉しそうに母さんが返してくる。
確かに、早く家に帰りたいと思っているから、その申し出は有難いんだけど……
この面倒な護衛達が、素直に帰してくれるとは思えないんだけど、ね。
予想通り、のんびりした買い物は3時のお茶タイムに家に帰り着く事になった。
母さんがに買ったケーキをお茶菓子に、お土産に買って来た紅茶でティータイムを楽しんで夜はしっかりとの足をマッサージしてあげる。
予想通り、かなり疲れが溜まっていたようで、医者が無理をするなと言ったのが良く分かった。
これからは、毎日のマッサージをした方がいいのかも……
「ツっくん、悪いんだけど、ちょっと付き合ってもらえないかしら?」
次の日、朝食を食べ終わってのんびりとしていたオレに、珍しくも母さんが声を掛けてきた。
「別にいいけど、どうしたの?」
「近所の達早さんが、ご実家から沢山のお野菜を送ってもらったのをお裾分けしてくれるって連絡があったのよ。一杯あるから息子さんを荷物持ちに連れて来て下さいって」
それに返事を返して珍しい事に質問すれば、理由を話してくれる。
ああ、確かにそれじゃには頼めない事だね。
何よりもはまだ寝ているだろうし、重いものをに持たせる事は出来ない。
「いいよ。直ぐに行くの?」
「ええ、お待たせ出来ないから、直ぐに行きましょう」
言われて、上着を着てから母さんと一緒に近所の家へと向かう。
達早さんって、の事がお気に入りなのに、オレで良いのかは疑問だ。
でも、に重い物を持たせる訳にはいかないから、仕方ないんだけど
しかも、話が長いおばさんで、行ったら確実捉まる事は目に見えている。
まぁ、野菜を分けて貰うんだから、それは仕方ないんだけど……
それからしっかり2時間、おばさんの長話に捉まって漸く戻ってきた家の直ぐ傍に2人の怪しい男が居たのが気になった。
家を気にしてる様子だったが、オレと母さんの姿を見たら慌てて逃げて行ってしまう。
「何だったのかしら?」
それは流石に母さんも疑問に思ったのだろう、不思議そうに男達が去っていた方を見詰める。
「さぁ、心配なら、ちょっと見てくるけど?」
「そうねぇ、最近物騒だからお願いしようかしら」
心配そうにしている母さんに言えば、流石にスリにあったのが利いたのか珍しくお願いされた。
それに頷いて玄関前に持っていた荷物を置いてから、用心の為に近所をグルリと見回って来ることにする。
一通り見て、先の男達が居ないことを確認してから、直ぐに家に戻った。
走って見て来たのでそんなに時間も掛からずに家に戻り、ドアを開け他瞬間聞こえてきた声と家の中に明らかに胡散臭そうな背広姿の男の姿が見えて眉間に皺が寄る。
「いえ、綱吉は家庭教師ではなく……」
「、何知らない人を勝手に家に上げているの?勿論、オレに怒られるって分かっていたよね?」
母さんが言いかけたその言葉を遮って、会話に入る。
オレが会話には言った事で、が明らかに動揺したのが分かった。
きっと、まずいと思っているんだろう。
「えっと、綱吉、これは……」
「綱吉?では、こちらのお坊ちゃんが?お嬢ちゃんの家庭教師ですかな?」
しどろもどろになって言い訳しようとするの言葉を遮って、背広姿の男が割り込んで来る。
その顔は、明らかにオレの事を胡散臭いというように見詰めてくる。
何、この男、本気でうざいんだけど
「こんなお坊ちゃんに家庭教師が務まるとは……」
「おめぇ、家庭教師を馬鹿にするような事を口にしやがったな」
しかも、明らかにオレの事をバカにしていると分かる口調にピクリと眉が動く。
それに続いて、聞こえて来たのは明らかに不機嫌な声と、チャキリと聞き慣れてきた音。
その不機嫌な声からも分かるように、どうやらこの男は厄介な相手を怒らせるような事を口にしたらしい。
「ハハハハ、かわいらしい赤ちゃんですなあ!家につれて帰りたいくらいだ!!」
銃を構えたリボーンに気付いた男が、から笑いをしながらも白々しくリボーンを褒めるが、それは本心じゃないだろう。
しかも、持っている銃を偽者だと思っている事がアリアリと伝わってくる。
状況も理解できないのは、ただのバカだ。
「さて、それでは話を戻しますが、家庭教師なんて、クズ…」
そして、気を取り直したのだろう男が再度家庭教師を貶す言葉を口に仕掛けた瞬間、その言葉を遮ったのは一発の銃声音。
「あ〜、家庭教師をバカにしない方がいいんじゃない?命が欲しかったらね」
男の髪が、リボーンの撃った銃弾で剃られている。
家庭教師をバカにしている男に対して何の興味もないが、流石に家で死体を出すわけにはいかないので忠告だけはしておく。
「そうだぞ、気をつけて続きを言えよ。へた言うとぶっ殺すからな」
オレの忠告に続いて、リボーンがまたしても銃を構えながら先を促した。
もっとも、そんな事をされて普通の人が平静でいられるはずもないだろうけど
「ギャアアアア!!!」
恐る恐る自分の頭を触り、リボーンが持っているそれが偽者じゃない事に気付いた相手が煩い悲鳴を上げる。
「殺されるうぅ!!」
更に、物騒な悲鳴を上げて家から飛び出して行ってしまった。
胡散臭いくせに、肝は据わってないようだ。
「大変!あの人カバン忘れてるわ。あの、あわてようじゃあね」
煩い悲鳴を残した男に対してため息をついた瞬間、母さんの慌てた声が聞こえてくる。
どうやら、先の男が持っていた鞄が玄関に置かれていたらしい。
それに気付いた母さんがその鞄を持ち上げた瞬間、ポロリと落ちたのは一つの財布。
明らかに、男が持つには不似合いな花柄模様が入っている財布だった。
「あら、このサイフどこかで」
「それって、母さんの財布だよね?」
落ちた財布を母さんが持ち上げて、訝しげな表情を見せるのにが質問するように口を開く。
確かにそれは、母さんが気に入っていた財布で間違いないだろう。
「あの人が母さんのサイフをすったって事?!」
「綱吉」
「はぁ、面倒くさい……」
それをあの男が持っていたと言う事は、答えは簡単。
あいつが、スリに関係していたと言う事。
驚いて声を上げたに続いて、リボーンがオレの名前を呼ぶ。
それが何を意味しているのか分かって、ため息をつきながら家を出た。
そう言えば、家の周りに2人の男が居たな、もしかしてそいつらも関わりがあるのか?
本当に、面倒くさいんだけど……
そう思いながらも、走って逃げて行っただろう男を追い駆ける。
もっとも、オレから逃げるなんて事が出来るはずもなく、あっさりと3人を捕まえて警察に突き出した。
どうやらこの3人は犯罪3兄弟として、指名手配されていたらしい。
って、何ではそんな怪しい奴を家に上げての?!
それから、家に戻ったオレが、リボーンと一緒になってに説教したのは当然の事だろう。