何時もの呼び出しの為に、またと一緒に帰る事が出来なくて不機嫌になるのは止められない。
さっさと用事を終らせてから、直ぐにの後を追う。
そろそろこの呼び出しに対して、何らかの策を練った方がいいのかもしれないな……。
本気でそう思っても、仕方ないぐらい面倒なんだけど
オレが以外の誰かを好きなるなんて、有り得ないのだから
何時も通り呼び出しにさっさと返事をして、の後を追うように家路を急ぐ。
そうすれば、その姿は意外な所で見つける事が出来た。
道に座り込んだ状態のその姿を見て、慌ててしまう。
「、そんなところで何して……まさか、そのバカ犬に?」
更にその近くに転がっているバカ犬の姿が見えて、自分の声が低くなるのが分かった。
このバカ犬は、誰彼構わず吠えまくる本当にバカな犬な上に凶暴で、何度か近所の人間が怪我をさせられた事がる。
それを知っているからこそ、質問したオレにが慌てたように手を横へと振って返して来た。
「いや、うん、俺は大丈夫だから!危なかったけど、助けてもらったからね」
更に、説明するように言われたその言葉に疑問が浮かぶ。
確かに、ザッと見ても分かるようにが怪我をしているようには見えない。
「助けてもらった?誰に?」
「いや、お礼言ったら慌てて走り去って行っちゃったんだけど……」
疑問に思った事を質問すれば、少し困ったように返事が返ってくる。
そんなに手を貸して、ゆっくりと立たせてから、服に付いた汚れを掃った。
「ふーん、変わったヤツも居るんだね」
誰かがを助けてくれたらしいけど、それが誰だか分からなければ興味もない。
だから曖昧に返事を返して、いまだに気絶したそのバカ犬を家の中に投げ入れて開いていた門を閉めた。
それから、今度はと一緒にのんびりと家路を歩き出す。
何気ない事を話しながら、家に帰るのはオレにとっては何よりも大切な時間だ。
「ただいま」
「ん?」
が玄関を開けて元気良く挨拶をするそれに、誰かの声が返される。
そこにあるのは、気に食わない赤ん坊モドキの姿。
その赤ん坊が、の声に振り返った瞬間に驚いたようにが後ろに一歩下がってくるのを支えて思わずため息をついてしまう。
リボーンの顔や体には、大量のトンボが張り付いているのだ。
「な、なんか前にも同じような光景が……」
「あったね。大丈夫、?」
後ろに下がってきた事で、バランスを崩したを心配して頷いてから質問。
まぁ、オレが支えたから大丈夫だとは思うけど、バランスを崩したい=足に負担が掛かると思うと、心配になるのだ。
「だ、大丈夫……で、リボーン、一体……」
「こいつらは情報収集してくれる秋の子分達だぞ」
オレの質問に返事をしてから、は恐る恐るリボーンへと問い掛けた。
だが返されたのは、質問の返事ではなく訳の分からない言葉と言うよりも、前に聞いた事のある言葉。
「やっぱり、リボーンって虫語話せるってことなの?」
「情報によると、この町にイーピンがきてるらしいな」
「……イーピン?またビアンキの時みたいに厄介な相手じゃないだろうね」
の質問は、全くのスルー状態で、淡々とした口調でリボーンが今トンボから聞いたのだろう情報を口にする。
これまた前に聞いた事がある内容と酷似している情報に対して、不機嫌な声が出てしまうのは止められない。
「人間爆弾と言われる香港の殺し屋だぞ」
「……やっぱり、厄介な……迷惑だよね、一体何しに来るんだか」
オレの呟きに、リボーンが更に説明する内容を聞いて、盛大なため息をついてついつい本音が口から出てしまった。
「殺し屋だぞ。殺しに決まってんだろ」
そんなオレに対して、少しバカにしたようにリボーンが口を開いた内容に再度ため息をつく。
「それが厄介だって言ってるんだけど」
ため息をついてボソリと呟いたオレに対して、が苦笑を零す。
本気で、こいつが来てから迷惑以外のなにものでもないんだけど……
面倒な掃除当番の為に、廊下の掃除をしていれば不思議な子供が目に入った。
その子供に対して、笹川京子が声を掛け頭を下げる。
「昨日は落としたお金をふろうの手伝ってくれてありがとうございました!」
子供に対して丁寧にお礼を言う笹川京子の隣で、友人の黒川が珍しいというように子供を見ている。
だが、お礼を言われた子供は、そんな笹川京子をキッと睨み付けた。
なんで、お礼言ってるのに睨み付けてるんだ……あれ?そう言えば、が昨日そんな似たような事を言ってたような……
昨日の事を考えていれば、子供がオレの方へと視線を向けた瞬間、驚いたような表情を見せる。
そして、持っていた荷物から写真を取り出してそれを見た。
興味もないが、一応様子を見ていればその子供がオレの方へと走って来て直ぐ前で立ち止まると一本指を立てて上を指す。
意味が分からないが、どうやら上に何かがあるらしい。
そう思った瞬間、その子供は廊下を走って行ってしまった。
「ツナくんの知り合い?」
「ふーん、この前の牛柄の子供といい、実は子供好きなわけ?」
「…オレが子供好きに見えるなら、眼科に言った方がいいと思うけど」
意味が分からずにその姿を見送っていれば、笹川京子と黒川が声を掛けてくる。
黒川の言葉に嫌味で返せば、当然のように睨まれた。
「見える訳ないでしょ!弟の方なら見えなくはないけどね」
その上しっかりと否定されて、の事まで言われてしまう。
まぁ、確かには面倒見いいからそう見えるのは当然だ。
更に、本人も子供を嫌いじゃないみたいだから、厄介なんだよね。
「まっ、正論だね。京子ちゃんはあの子の事知ってるの?」
「うん、昨日お財布落としたときにお金もばら撒いちゃってね、そしたらあの子が拾うのを手伝ってくれたんだ」
黒川の言葉に頷いて、笹川京子に問い掛ける。
苗字を読んだら、名前で呼べと言われるのが分かっているので、名前にちゃん付けで呼ぶのは、正直慣れないが流石に名前を呼び捨てに出来ないので、オレの中では妥協策。
オレの質問に、笹川京子が昨日あった事を説明する。
どうやら、この子もドジらしい。
まぁ、そう言う所も男子に人気があるところだろう。
オレは興味ないけど
「沢田、あの子に呼ばれてたんじゃないの?」
「ああ、やっぱりそうなんだよなぁ……仕方ない、行くか」
暫く笹川、黒川と話していたのだが、黒川からのその質問で忘れかけていた現実を思いだしてしまって、盛大なため息をつく。
どう考えても、面倒だとしか思えないんだけど……
本気でこのまま帰りたい気持ちを抑えながら屋上へと行けば、先ほどの子供が服を着替えて待っていた。
しかも、その手には肉まんのようなものが……着替えて態々食事……なら、それぐらいのボケをかましてくれそうだけど、どう考えてもそんな雰囲気ではない。
「で、オレに何の用事?」
『漸く見つけた。これでターゲットを暗殺する事が出来て、帰れる!』
面倒ながらも質問すれば、聞えてきたその言葉に、目を見開く。
この言葉から考えても、これがリボーンの言っていたイーピンと言う人間爆弾の殺し屋。
『君のターゲットが、オレだったとはね。でも、簡単に殺されるつもりはないから』
「……さすがだな、こいつの言葉が分かるのか?」
相手に対して言葉を返した瞬間聞こえて来たのは、正直言って聞きたくもない声。
それに対して、盛大にため息をついてから振り返る。
「一応、基本の五カ国語の会話ぐらいはマスターしてるよ」
「流石だぞ」
ため息をつきながら返したオレの言葉に、ニヤリと満足そうな笑みを浮かべる。
別に、お前の為に身に付けたんじゃないし、こんな所で役に立てるつもりもなかったんだけど
「で、オレが、この子のターゲットみたいだけど」
「みてぇだな……だが、そんな話は聞いた事がねぇぞ」
目の前で身構えている子供を前にして、隣で何時もの表情を浮かべているリボーンへと声を掛ければ、少し意外だと言うような言葉が返された。
その言葉から考えても、情報がこちらには回ってきてないようだ。
裏社会なんて、繋がっているような物だから、オレへの暗殺依頼があったとすれば、その情報が回っていても可笑しくないというのに
「まぁ、どうでもいいさ。オレは、向かってきた相手には容赦するつもりなんてないからな」
きっと相手を睨み付けた瞬間、一瞬相手が怯む。
だがそれは本当に一瞬で、直ぐに気を取り直したのだろう、また構えを整えた。
「10代目!!変なガキに呼び出されたとお聞きして……って、こいつですか?!」
その瞬間、勢い良く屋上の扉が開かれてそこに姿を現したのは、自称オレの右腕の獄寺。
多分黒川か笹川京子にでも聞いてきたのだろう、慌てているのが良く分かる。
「ああ、獄寺いいところに来た、あいつ俺を殺しに来たらしいから、任せる」
だがタイミングよく現れた獄寺に、内心笑みを浮べて面倒な事を全てこいつに押し付ける事にした。
「10代目の暗殺だと!!10代目に変わって、お前を果す!!」
オレの言葉を聞いて、予想通りの反応を返した獄寺に全てを任せて傍観に徹する事にする。
まぁ、曲りなりにもマフィアの間で名前が知られているなら、簡単に殺される事はないだろう。
「……お前、面倒事を獄寺に押し付けたな」
「当たり前だろう、面倒なんだから」
そんなオレに対して、リボーンが不本意そうな表情を浮かべたのは言うまでもない。
だがオレの予想を裏切って、敵も殺し屋と言われるだけあって、不思議な技を使い、手も触れずに獄寺が投げたダイナマイトを弾き飛ばしていく。
「……面白い技だな……」
「なんだ、気付いたのか?」
「普通、気付くだろう…と言いたいけど、獄寺は気付いてないみたいだね」
「だな……教えてやらないのか?」
「自力で気付くだろう、何時かは」
興味ないというように目の前の攻防を見ていれば、呆れたようにリボーンがオレを見てくる。
自称右腕を名乗るのなら、これぐらいは対処出来ないなんて言わないだろう。
もっとも、そろそろ気付くだろう、大分この辺にも臭いがしてきたのだから
「なんで、手も触れねぇのに……って、この臭いは?!」
そんな話しをリボーンとしていれば、予想通り獄寺も漸く気付いたみたいだ。
辺りを漂っているその匂いに気付いて、顔を顰める。
「漸く気付いたみてぇだな。そう、それがこいつの技の正体だぞ」
驚いたような声を上げた獄寺に、満足そうな笑みを浮かべてリボーンが口を開く。
どうやら、説明する気満々のようだ。
「“餃子拳”イーピンは、食っている餃子饅のくさい息を憲法で圧縮して放っているんだぞ。目に見えないそれの所為で、お前には手も触れてないと思えたんだな」
「そ、それはつまり、くっさい拳法って事ですか?!」
リボーンの説明に、獄寺が驚いたように声を上げる。
それ聞いたイーピンが、またキッと獄寺を睨み付けた。
その表情は、先ほど笹川にお礼を言われた時と同じ表情。
「ってことは、オレは、そんな拳法に踊らされていたって事ですか……す、すみません、10代目。オレって奴は、そんなカッコわるい拳法に…」
ガックリと膝を付く獄寺の後ろで、言われているイーピンがビクリと大きく反応して、ダラダラと汗をかきはじめる。
そして、その次の瞬間額にマージャンパイで見かける九箇のマークが浮かび上がって来た。
「何?」
「“箇子時限超爆”のカウントがはじまっちまったな」
それに対して、嫌な予感しか覚えずに質問すれば、あっさりとリボーンが説明するように口を開く。
「イーピンは極度の恥ずかしがりやでな、恥ずかしさが頂点に達すると頭に九箇があらわれるんだ」
「……恥かしがり屋?ってことは、あの睨みつける反応は、恥かしがっていたって事か?」
淡々と説明される内容に、複雑な気持ちを隠しきれない。
どうやったら恥かしいからといって、相手を睨む事に繋がるんだ??
「額の箇子は時とともに一つずつ減り、全身の汗腺からギョウザガスを一気に噴射し爆発するんだ。この破壊力は小さいクレーターができるほどなんだぞ」
更に続けられる説明に、どうしてこの子供が人間爆弾と呼ばれているかが理解できたけど、もう既にそのカウントダウンが始まってから説明されても困るんだけど
「で、この状況は、どうするんだ?」
「10代目、早く逃げましょう!」
呆れて質問すれば、獄寺があっさりと逃げを決め込む。
いや、流石にここで逃げたら、間違いなく学校が壊れる。
それは、この中に居るかもしれないに危険が及ぶので、絶対に避けなければいけない。
「あ、いたいた!これ、廊下に落ちてたよ」
どうするべきかを考えていれば、新たな声が聞こえてきて笹川京子が子供が持っていた棒のような物を手に持って現れる。
その瞬間、とんでもない事にその子供が笹川京子の足に抱き付いた。
「って、恥かしがりやじゃなかったのか?」
「イーピンは、カウントダウン中恥かしさのあまり、人にすりよってくるんだ」
その行動が余りにも予想外だった事に驚いて口を開けば、またしても淡々とした口調でリボーンが説明する。
「な、なんて迷惑な奴なんだ!おい、笹川から離れろ!!」
その説明を聞いて、獄寺が慌てて笹川京子からイーピンを引き離す。
どうやら、流石に一般人を巻き込むつもりはないらしい。
「とりあえず、それはどっかに投げ……」
「ツナ、先生が呼んで……なんだ?」
それを手に持った獄寺に指示を出そうとした瞬間、今度は山本が屋上の扉を開いて顔を出す。
そして、それを確認した瞬間、何を思ったのか、獄寺は子供を山本へと手渡した。
「お前に任すぜ」
「……ああ、山本、それを思いっきり空へ向けて投げろ!」
だが、続けて言われた獄寺のその言葉で理由を理解して、山本へ向けて指示を出す。
オレの言葉に、山本の目が真剣なものへと変わり、期待通りそれを空に向けて力一杯投げてくれた。
その瞬間、派手な爆発音が辺りに響き渡る。
流石に音まではごまかす事は出来ないから、きっとまた噂を広げるだろう。
にもこの音が聞こえただろうから、慌てているかもしれない。
どういう原理なのか、屋上に落ちてきたイーピンを獄寺がロープでグルグル巻きにして捕まえ、笹川京子を誤魔化して更に部活があると言う山本と別れてから屋上を後にしたのはその爆発から数分後。
それから途中で教室に寄り荷物を持ってから、危険な子供を放置する訳にもいかずに獄寺と一緒に校舎を出る。
そう言えば、山本が先生が読んでるとか言ってたような気がするけど、スルーでいいか……
そんな事を考えながら校舎を出た瞬間、オレの一番大切な人の声が聞こえてきた。
「綱吉!」
大好きなその声に名前を呼ばれて、視線をそちらへと向ければ当然そこに居るのは、何者にも変えがたい存在。
「あれ、?も掃除当番じゃなかったっけ?」
「うん、中庭の掃除当番……ツナも廊下の掃除当番だって言ってなかったっけ?」
「そうなんだけどね、ちょっと問題が……」
から掃除当番だという事を聞いていたから外に居る事に疑問に思って問い掛ければ、オレの質問に答えてから聞き返されてしまう。
それにどう説明するべきかと迷って、隣に居る獄寺が持っているその子供へと視線を向ける。
オレのその視線に気付いたが、続けて獄寺へと視線を向けた。
「あっ!昨日俺を助けてくれた子だ」
「えっ?そうなの?京子ちゃんも、この子に財布を拾ってもらったって言ってたけど……」
そしてロープでグルグル巻きになっているその子供を見て、驚いたような声を上げる。
それに対してオレも同じように驚いたというように声を上げ、笹川京子も助けられた事を話せば、の瞳が尊敬するというように子供を見ている事に気付く。
きっと、『いい子なんだなぁ』とか思っているんだろう。
「でも、なんでその子がロープでぐるぐる巻きに?」
だが、そんな子供が何故ロープでグルグル巻きにされているか、今の状況が理解できないというように小首を傾げて質問してきた。
それはもっともな質問だが、流石にこんな場所で話が出来るような内容じゃない。
「あ〜っ、取り合えず、ここじゃ不味いから、はもう帰れるの?」
「うん、皆が掃除はいいから爆発音の確認に……そうだ、思い出した!俺、爆発音がなんだったのかを確認しに行かなくっちゃ!!」
「ああ、それも後で話すよ。取り合えず、の荷物を取りに行ってくるから、はここで待ってて」
「えっ、でも……」
の質問を誤魔化してから、逆に質問で返せばそれに頷いて思い出したというように慌てだす。
そんなに思わず苦笑を零して、だけど帰れるという事を聞いたから言いたい事だけ言ってまた校舎の中へと戻る。
後ろからの声が聞こえて来たのは、さり気なく聞えないフリをした。
「お待たせ」
ちょっとだけを待たせる事になるのを心配したけれど、その心配は杞憂に終る。
の教室に向かっていた自分に、のクラスメイトだろう女子が鞄を持って来たのだ。
話しを聞けば、と掃除当番が同じだった友人に頼まれたとの事。
本当に、こういう所でもは誰からも大切にされているのだとつくづく思い知らされてしまう。
もっとも、本人は全然気付いていないんだろうけど
「早かったね、ツナ」
「ああ、のクラスの子が誰かに頼まれたとかでの荷物持ってこっちに来てたからね」
「えっ?誰だろう??」
早く戻ったオレに対して、が不思議そうに質問してくるのに、素直にその理由を話せばが考え込んでしまう。
「のクラスの子なのは間違いないとは思うけど、流石に名前は知らない。オレからちゃんとお礼は言っといたから、が気にする必要はないよ」
何となくが考えている事が分かるから、しっかりと釘を刺すようにそう言えば、困惑したような視線を向けてくる。
なんでそんなに気にするのかが、オレには分からないんだけど
「10代目がそうおっしゃっているんだから、気にする必要はねぇだろう。そいつも、迷惑なら荷物を届けたりしねぇだろうからな」
内心でため息をついたオレに変わって、今まで黙っていた獄寺が口を開く。
その内容は、を気遣うようなもので、オレは内心舌打ちした。
と獄寺を二人になんて、するんじゃなかったと後悔する。
「獄寺の言う通りだね。それよりも、ここからちょっと早く帰りたいし、はオレが運ぶから」
内心では獄寺を警戒しながらも、それに同意して、だけどこのままここでのんびりしている気分にはなれなかったので、もう決めたというようにそれを口にした。
「えっ、ツナ?」
「獄寺、荷物任せたから」
「はい、お任せください!」
オレの言葉の意味が分からないと言うように、が名前を呼んでくるのを無視して、持っていた荷物を獄寺に預ければ嬉しそうにそれを受け取る。
それを見てから、今度はの方へと移動してその体を何時ものように抱え上げた。
突然のオレの行動に驚いたのだろうが耳元で名前を呼んでくるのを無視して、さっさと歩き出せばそのスピードに気付いても何も言わなくなる。
多分、オレが急いでいると言うのが分かったのだろう。
「それで、一体何があったの?」
時間を掛けずに戻った家で、オレの部屋へと入った瞬間が質問してくる。
ずっと気になっていたのだから、その質問は予想通りのものだ。
「こいつが、10代目のお命を狙ってきやがったんだよ!」
の質問に答えようとした瞬間、オレに代わって獄寺が口を開く。
だけどには、獄寺に言われた事が理解できなかったのか不思議そうに首を傾げて考えるようなしぐさを見せる。
「その通りだぞ、こいつがイーピンだ」
それに続いて何時戻ってきたのか分からないが、窓に腰掛けた状態でリボーンが声を掛けてきた。
「おまえ、この写真の奴を殺せって言われてきたんだろ?」
それから、ぴょんと窓から飛び降りると一枚の写真を手にしてそれを子供へと見せながら質問。
リボーンのその質問に、子供は素直に頷いて返す。
「これは綱吉じゃないぞ」
だがそれに対して、リボーンが呆れたように口を開く。
その言われた内容は、オレがターゲットじゃないという事。
ちょっと待て!なら、なんでこの子供はオレを殺しに来たんだ?
納得出来ない内容に、リボーンから写真を受け取ったの後ろに回りそれを見れば、どう見てもオレとは似ても似つかない相手が写っているのが見える。
この子供は、この写真の相手を殺せと言われたんだよな?
なら、どうしてオレにその矛先が来たのかが分からない。
そう思っていたら、その理由は迷惑以外のナニモノでもない理由だった。
この子供はド近眼で、人の顔の区別がつかないらしい。
そんなんで良く、殺し屋になれたものだと呆れを通り越して、感心してしまう。
「まだまだ未熟だな」
呆れたオレの内心など関係なく、リボーンが子供へと評価を下す。
確かに、まだまだ使い物にならないぐらい未熟だと認めよう。
どっと疲れたオレに対して、が困ったように慰めてくれた事だけが救いだったかもしれない。
そのお陰で、爆発音の説明が出来なかったけど、数日もせずに獄寺にからかわれた子供がまた爆発した事で説明しなくても納得したようだ。
なんにしても、また厄介な子供が増えた事には違いない。